努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果

ひむよ

文字の大きさ
41 / 95

四十話 階層主は可哀想だった

しおりを挟む
下の階層へ降りるとそこは変わらず草木が生えていた。瑞希に8階層へ降りてきたからもう大丈夫だ、と声をかけると瑞希は頭を振りながら叫び気味に話し始めた。

「10階層までの敵は全部虫なの!早く10階層に行って!」

瑞希はそう叫んだ後、更にしっかりと俺に引っ付いてくる。やばい、色々とあたってる。特に胸(2回目)。俺の理性が持たない。
すぐに襲いたいぐらいだ。だが、それはダメだ。俺は無理やりは好きじゃない、というか嫌いだ。

俺が自分と戦っているとエリスが早くいこうよ、と言ってくる。俺はなんとか返事をして進むことにする。だが、今の状態はやばい。敵が出てきても戦える気がしない。
だから俺は瑞希に少し提案しようと思う。

「なあ瑞希、お姫様抱っこじゃダメか?」

これが1番大丈夫だろう。普通の抱っこなら後ろが前になるだけ、おんぶなら更に引っ付くだけ、ならばこれしかない。俺はそう思い提案したのだが、瑞希は顔を真っ赤にして、ブツブツと何かを呟いている。そして、独り言を終えると何かを決意したような顔をして俺を見てきた。

「それでいいよ、頼んでいい?」

俺はおう、と言って瑞希をお姫様抱っこする。だが、これは思っていた以上にやばかった。さっきまでは体があたってやばかったが、今回は顔が近すぎてやばい。
実際にはそこまで近くないのだが、お姫様抱っこ効果によって、瑞希の可愛い顔がとても近く感じる。更に瑞希が真っ赤になった顔で俺をじっと見つめてくるので、すごい恥ずかしい。多分俺の顔も真っ赤だろう。
なぜか、今なら唇ぐらいなら奪っていい気がする。俺がそんなことを考えていると、エリスが少し怒りだした。

「だから進もって言ってるでしょ!」

俺はエリスのその言葉でハッとして、顔を前に向ける。瑞希をずっと見ていたい気もするが、瑞希に虫を見せるわけには行かないのでとにかく集中する。

音を聞き、目で見て、鼻で臭い、肌で感じ、カンを働かせる。全神経を使い、瑞希の視界に虫が入る前に、討伐する。瑞希が目を閉じてたらいいだけの話なのでは?と思うかもしれないがそれではダメだ。瑞希には虫の音すら聞かせない。

俺は10階層に少しでも早く行くために
軽く(エリスにとっては全力)走る。
すると俺のカンが何かがいるとうったえてくる。俺は瑞希に目を瞑っとけよ、と言って全速力で瑞希をお姫様抱っこしながら走る。

そこにはハエの魔物がいた。大きさは30cm程だ。俺は剣でハエを真っ二つにして、そのままエリスのところへ戻る。
それを繰り返す事によって、瑞希には虫の音は聞こえないはずだ。

そうして、軽く(エリスにとっては全力)走ることによって10階層まで10分でつくことが出来た。そう言えば最初に8階層まで行くとか言っていた気がしたが、10階層まで来てしまった。まだ2時間半程しか経っていないんだけどな。

俺は10階層についたので、瑞希を下ろす。
もう少しお姫様抱っこしてたかったな、と俺は思ったがこの階層に虫は出ないらしいので、仕方がない。瑞希は少ししょんぼりとして、俺の手を見ていた。何故なのだろうか。
俺は取り敢えず進むぞ、と言って一本道を進む。前の階層主の時も一本道だったから階層主がいる階層は全て一本道なのだろう、たぶん。

しばらく進むと、5階層より大きな扉が出てきた。そこには大きな文字で10階層とだけ書かれている。瑞希はまだしょんぼりとしているが、扉を開けた。
その部屋は5階層と同じで真っ暗だった。俺とエリスは、前の階層の時と同じように部屋の端っこにいき、瑞希は真ん中に向かって歩いていく。すると部屋が明るくなる。地面は草で覆い尽くされており、壁も蔦が伸びている。
そして、部屋の真ん中には人型の魔物がいた。ステータス鑑定スキルで見てみると、ドリヤードという名前だ。

瑞希はドリヤードを見た瞬間、ファイアボールを打った。すると、ドリヤードは勢いよく燃えて、一瞬で消滅した。
ドリヤードは1歩も動けていない。敵ながら、少し可哀想だ。

そして、ドリヤードが消えたあと、今回もドロップがあったようで、何かが落ちた音が聞こえた。今回のドロップ品は前回と同じポーションだった。何か違う種類のものを見たいんだけどな。


俺は瑞希に労いの言葉をかけた後、下の階層へと進むのだった───。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

処理中です...