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8-1 ディーク敗北…勝者メリッサ
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自身の部屋へと戻り仮眠を取ったディークは朝食後、そのまま仕事へと向かった。昨夜のセルヴィの姿を一瞬でも思い出さないために気合いを入れる。
「よし、今日は皆の仕事の手伝いでもしてみるか」
使用人たちの動向や仕事内容の把握のために、ディークはそれぞれの仕事を手伝いに向かうのだった。
(しかし殿下は持病でもあるのか? トルフさんに知らせたくない、ということはトルフさんも知らないのか……)
歩きながら考えてはみるが、セルヴィが隠したいほどの持病がある、ということ、と、医者を呼ぶほどの病でもない、ということがどうにも矛盾しているような気がしてならない。ディークはトルフに知らせるべきか悩んだ。
一番近くにいるだろうディークがなにかしらセルヴィの病に接する機会が増えるのではないかと考える。そのときもし命に係わるような病なのだとしたら、ディークには対処しきれない。
(やっぱりトルフさんに……いや、とりあえず殿下に聞いてみるか?)
うーん、と考えている間に厩舎で作業するダンとザックがなにやら大きな木材を運んでいるのが見えた。
「おーい、お疲れ。なにやってんだ?」
声を掛けると二人ともディークのほうへ向き手を振った。
「お、ディークじゃないか、そっちこそなにやってんだ? 殿下の護衛は?」
「あー、好きにしろって言われたから、今はまだ現状把握のためにうろうろしている」
「あぁ、そういや食事のときにそんなこと言ってたな」
そう話しながら三人で苦笑する。ダンはディークと同い年、ザックは二歳上ということで、年齢が近いこともあり話が合う。食事中に他愛のない話をする仲となっていた。ちなみにセルヴィもディークとダンと同じく二十五歳だ。こちらは一切気が合うということはなさそうだが。
「で、ダンとザックはなにしてたんだ?」
ダンとザックは顔を見合わせ苦笑する。
「厩舎の修理だ。さすがに古くなりすぎて危険だから」
そう言いながら目線を厩舎へと移すと、木造で出来た厩舎は一部崩れ落ちそうな傷み方をしていた。
「「「…………」」」
男三人で厩舎を見上げ沈黙。その後乾いた笑いが広がった。
「よし、俺も少しだけだが手伝うよ」
「え、良いよ良いよ、城のなかの確認作業をするんだろ?」
「いや、大体の把握はもう出来てるから問題ない。後は皆の仕事を確認しようと思ってたんだ」
「へー、さすが王城から来た人間は仕事が早いな!」
ニヤッと笑ったザックにからかうような視線を投げかけられ苦笑する。
「なんせ暇だったもんで……ハハハ」
それを聞いたダンとザックも苦笑。
「じゃあ頼むよ」
「ああ」
そうやって昼頃まで厩舎の修理を手伝い、昼食を終えると今度はメイドたちの仕事を……と若干の抵抗を感じながらもディークは意を決して向かった。
ちょうどメイドたちは全員で大量の洗濯を行っていたようで、洗濯場で賑やかな声がした。ディークの姿を見付けた瞬間、案の定黄色い悲鳴が響き渡り、ディークは卒倒しそうになった。
「きゃぁぁぁああ!! ディーク様!! こんなところへなにをしに!?」
メリッサがディークに駆け寄り、前のめりに聞く。ディークは後退り、顔を引き攣らせながらもなんとか笑顔で話す。
「あー、いや、君らの仕事を手伝ってみようかと……」
「「「「「「えぇ!?」」」」」」
全員の声が重なった。
「え? 駄目?」
ディークはメイド全員が驚愕の顔をしたためたじろいだ。
(く、くそっ、女子の集団は苦手なんだよ! 駄目なら駄目と言ってくれ! すぐさま退散するから!)
内心逃げ出したい気持ちとなっていたディークはじりじりと後退る。
「ディーク様はメイドの仕事なんてしていないでセルヴィ殿下の元にいないと駄目なんです!!」
「え?」
「よし、今日は皆の仕事の手伝いでもしてみるか」
使用人たちの動向や仕事内容の把握のために、ディークはそれぞれの仕事を手伝いに向かうのだった。
(しかし殿下は持病でもあるのか? トルフさんに知らせたくない、ということはトルフさんも知らないのか……)
歩きながら考えてはみるが、セルヴィが隠したいほどの持病がある、ということ、と、医者を呼ぶほどの病でもない、ということがどうにも矛盾しているような気がしてならない。ディークはトルフに知らせるべきか悩んだ。
一番近くにいるだろうディークがなにかしらセルヴィの病に接する機会が増えるのではないかと考える。そのときもし命に係わるような病なのだとしたら、ディークには対処しきれない。
(やっぱりトルフさんに……いや、とりあえず殿下に聞いてみるか?)
うーん、と考えている間に厩舎で作業するダンとザックがなにやら大きな木材を運んでいるのが見えた。
「おーい、お疲れ。なにやってんだ?」
声を掛けると二人ともディークのほうへ向き手を振った。
「お、ディークじゃないか、そっちこそなにやってんだ? 殿下の護衛は?」
「あー、好きにしろって言われたから、今はまだ現状把握のためにうろうろしている」
「あぁ、そういや食事のときにそんなこと言ってたな」
そう話しながら三人で苦笑する。ダンはディークと同い年、ザックは二歳上ということで、年齢が近いこともあり話が合う。食事中に他愛のない話をする仲となっていた。ちなみにセルヴィもディークとダンと同じく二十五歳だ。こちらは一切気が合うということはなさそうだが。
「で、ダンとザックはなにしてたんだ?」
ダンとザックは顔を見合わせ苦笑する。
「厩舎の修理だ。さすがに古くなりすぎて危険だから」
そう言いながら目線を厩舎へと移すと、木造で出来た厩舎は一部崩れ落ちそうな傷み方をしていた。
「「「…………」」」
男三人で厩舎を見上げ沈黙。その後乾いた笑いが広がった。
「よし、俺も少しだけだが手伝うよ」
「え、良いよ良いよ、城のなかの確認作業をするんだろ?」
「いや、大体の把握はもう出来てるから問題ない。後は皆の仕事を確認しようと思ってたんだ」
「へー、さすが王城から来た人間は仕事が早いな!」
ニヤッと笑ったザックにからかうような視線を投げかけられ苦笑する。
「なんせ暇だったもんで……ハハハ」
それを聞いたダンとザックも苦笑。
「じゃあ頼むよ」
「ああ」
そうやって昼頃まで厩舎の修理を手伝い、昼食を終えると今度はメイドたちの仕事を……と若干の抵抗を感じながらもディークは意を決して向かった。
ちょうどメイドたちは全員で大量の洗濯を行っていたようで、洗濯場で賑やかな声がした。ディークの姿を見付けた瞬間、案の定黄色い悲鳴が響き渡り、ディークは卒倒しそうになった。
「きゃぁぁぁああ!! ディーク様!! こんなところへなにをしに!?」
メリッサがディークに駆け寄り、前のめりに聞く。ディークは後退り、顔を引き攣らせながらもなんとか笑顔で話す。
「あー、いや、君らの仕事を手伝ってみようかと……」
「「「「「「えぇ!?」」」」」」
全員の声が重なった。
「え? 駄目?」
ディークはメイド全員が驚愕の顔をしたためたじろいだ。
(く、くそっ、女子の集団は苦手なんだよ! 駄目なら駄目と言ってくれ! すぐさま退散するから!)
内心逃げ出したい気持ちとなっていたディークはじりじりと後退る。
「ディーク様はメイドの仕事なんてしていないでセルヴィ殿下の元にいないと駄目なんです!!」
「え?」
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