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16-1 初めての感情
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ぐぐっと力強く合わせ、セルヴィの唇を食べるかのように口を動かし啄む。ちゅっちゅっと水音が響く。セルヴィは身体を固くし、目をぎゅっと瞑り、唇も強く噤んでいる。
「嫌ですか?」
少し唇を離し、そう聞くと、セルヴィはバッと目を見開き、口を開く。
「ち、違っ……んんっ」
口が開いた瞬間、ディークはその口内に侵入した。柔らかい唇をこじ開けるように、舌を挿入し口内をまさぐる。セルヴィの熱い舌に触れると小さな声と共にビクッと身体が震えるのが分かった。
「はっ、あ、ディー……」
口を塞ぐように大きく開き合わせると、セルヴィの口もそれに釣られるように大きく開かれた。そして言葉を飲み込み、熱い舌が絡まる。逃げようとするセルヴィの舌を容赦なく追い、絡ませ、なぞる。ぞわぞわと身体が快感に包まれていくのが分かる。
上顎をなぞるとセルヴィの身体はビクンと跳ね嬌声が漏れる。
「あ、んっ……」
舌を甘噛みし、吸い付く。
「んふっ……んっ、んん」
貪るとはこういうことか、と思うほど、ディークはセルヴィの唇に夢中になった。
ちゅっ、くちゅっ、と卑猥な水音だけが響き渡る部屋。何度も何度も唇を合わせ、次第に息が上がってくる。
ちゅぱっと唇を離すと、お互いの舌からは透明の糸が垂れ、真っ赤な顔にとろけたような表情のセルヴィ。ディークはもうなにも考えられなかった。
セルヴィの顎に垂れる透明の雫を舐めるように、唇を這わせる。そしてそのまま首筋へと移動し、舐め上げる。
「んんあっ、あっ」
セルヴィはくすぐったいのか、見悶え身体を捩る。そんな身体を抑えつけるように、セルヴィの後頭部と背中に手を回したディークは、ぐっと抱き締めた。
首筋に顔を埋めたディークは、セルヴィの甘い香りに頭がおかしくなりそうだった。荒い息のなか必死に頭を働かせ、冷静さを取り戻そうとした。そして深呼吸し心を落ち着けると、自身の下半身がガチガチになっていることにハッとする。
(あ、あぁ、まずい……さすがにこれはまずい……)
セルヴィの肩を掴み、ガバッと身体を離したディークは俯き、必死に呼吸を整える。
(落ち着け、落ち着け、俺……さ、さすがにこれ以上はまずいだろ……)
「ディ、ディーク……?」
荒い息のまま頭上からはセルヴィの声が聞こえた。そろりと顔を上げたディークは、セルヴィの火照った顔にとろけた表情、そしてきょとんとした姿に「んぐっ」と変な音が喉から漏れた。
ディークはガバッと再び思い切りセルヴィを抱き締めた。ぐぐっと力を籠め抱き締めたセルヴィからはやはり良い匂いが漂い、ドクンと心臓が跳ねる。重ねた身体からはセルヴィの早い鼓動も感じ、緊張と衝動と欲情と高揚と……様々な感情が渦巻き、ディークは今までにない自身の変化に戸惑った。
(こんなに冷静になれない自分は初めてだ……)
「ディーク?」
セルヴィはそっとディークの背に腕を回した。遠慮がちに触れられたセルヴィの手に、それにすらドキリと心臓が跳ねる自身に驚く。
(思春期男子かよ……かっこわる……)
「す、すみません。そ、その……き、気持ち悪くなかったですか?」
「え?」
セルヴィはディークの質問の意味が分からない、といった声。ディークは顔を合わせることに気まずさを感じ、顔を上げられない。抱き締めたまま呟く。
「そ、その……男に……キ、キスされるとか……気持ち悪くなかったですか……」
最後は尻すぼみになる。
(な、情けない……)
抑えが利かなかったことに、セルヴィの意思を確認することがなかったことに、欲情するまま唇を合わせてしまったことに、ディークは酷く後悔する。
自分の感情をこれほど暴走させたことなどなかった。団長を殴ってしまったときはカッとなったが、それとはまた違う。一瞬の昂ぶりではない。唇を合わせた瞬間だけの昂ぶりではなく、そのあとこれ以上のことを求めてしまいそうになる自分がいた。そのことにディークは自分自身が怖くなった。
「…………」
セルヴィはそんなディークの感情を感じたのか、ディークの背に回した手にぐっと力を籠め、自ら力強く抱き締め返す。
「い、嫌ではないし、気持ち悪くもない……そ、その……どちらかというと……」
もごもごと最後は聞き取れない。
「殿下?」
身体を離し、聞き返そうとすると、セルヴィはぐいっとさらに力強く抱き締め、ディークは「ぐえっ」と口から漏れた。
「な、なんでもない!」
ディークはなにやらよく分からないが、セルヴィが不快感を持った訳ではない、ということが分かりホッとしたのだった。
そしてディークはセルヴィを抱き締めたまま、セルヴィの髪や背中を撫でた。
「嫌ですか?」
少し唇を離し、そう聞くと、セルヴィはバッと目を見開き、口を開く。
「ち、違っ……んんっ」
口が開いた瞬間、ディークはその口内に侵入した。柔らかい唇をこじ開けるように、舌を挿入し口内をまさぐる。セルヴィの熱い舌に触れると小さな声と共にビクッと身体が震えるのが分かった。
「はっ、あ、ディー……」
口を塞ぐように大きく開き合わせると、セルヴィの口もそれに釣られるように大きく開かれた。そして言葉を飲み込み、熱い舌が絡まる。逃げようとするセルヴィの舌を容赦なく追い、絡ませ、なぞる。ぞわぞわと身体が快感に包まれていくのが分かる。
上顎をなぞるとセルヴィの身体はビクンと跳ね嬌声が漏れる。
「あ、んっ……」
舌を甘噛みし、吸い付く。
「んふっ……んっ、んん」
貪るとはこういうことか、と思うほど、ディークはセルヴィの唇に夢中になった。
ちゅっ、くちゅっ、と卑猥な水音だけが響き渡る部屋。何度も何度も唇を合わせ、次第に息が上がってくる。
ちゅぱっと唇を離すと、お互いの舌からは透明の糸が垂れ、真っ赤な顔にとろけたような表情のセルヴィ。ディークはもうなにも考えられなかった。
セルヴィの顎に垂れる透明の雫を舐めるように、唇を這わせる。そしてそのまま首筋へと移動し、舐め上げる。
「んんあっ、あっ」
セルヴィはくすぐったいのか、見悶え身体を捩る。そんな身体を抑えつけるように、セルヴィの後頭部と背中に手を回したディークは、ぐっと抱き締めた。
首筋に顔を埋めたディークは、セルヴィの甘い香りに頭がおかしくなりそうだった。荒い息のなか必死に頭を働かせ、冷静さを取り戻そうとした。そして深呼吸し心を落ち着けると、自身の下半身がガチガチになっていることにハッとする。
(あ、あぁ、まずい……さすがにこれはまずい……)
セルヴィの肩を掴み、ガバッと身体を離したディークは俯き、必死に呼吸を整える。
(落ち着け、落ち着け、俺……さ、さすがにこれ以上はまずいだろ……)
「ディ、ディーク……?」
荒い息のまま頭上からはセルヴィの声が聞こえた。そろりと顔を上げたディークは、セルヴィの火照った顔にとろけた表情、そしてきょとんとした姿に「んぐっ」と変な音が喉から漏れた。
ディークはガバッと再び思い切りセルヴィを抱き締めた。ぐぐっと力を籠め抱き締めたセルヴィからはやはり良い匂いが漂い、ドクンと心臓が跳ねる。重ねた身体からはセルヴィの早い鼓動も感じ、緊張と衝動と欲情と高揚と……様々な感情が渦巻き、ディークは今までにない自身の変化に戸惑った。
(こんなに冷静になれない自分は初めてだ……)
「ディーク?」
セルヴィはそっとディークの背に腕を回した。遠慮がちに触れられたセルヴィの手に、それにすらドキリと心臓が跳ねる自身に驚く。
(思春期男子かよ……かっこわる……)
「す、すみません。そ、その……き、気持ち悪くなかったですか?」
「え?」
セルヴィはディークの質問の意味が分からない、といった声。ディークは顔を合わせることに気まずさを感じ、顔を上げられない。抱き締めたまま呟く。
「そ、その……男に……キ、キスされるとか……気持ち悪くなかったですか……」
最後は尻すぼみになる。
(な、情けない……)
抑えが利かなかったことに、セルヴィの意思を確認することがなかったことに、欲情するまま唇を合わせてしまったことに、ディークは酷く後悔する。
自分の感情をこれほど暴走させたことなどなかった。団長を殴ってしまったときはカッとなったが、それとはまた違う。一瞬の昂ぶりではない。唇を合わせた瞬間だけの昂ぶりではなく、そのあとこれ以上のことを求めてしまいそうになる自分がいた。そのことにディークは自分自身が怖くなった。
「…………」
セルヴィはそんなディークの感情を感じたのか、ディークの背に回した手にぐっと力を籠め、自ら力強く抱き締め返す。
「い、嫌ではないし、気持ち悪くもない……そ、その……どちらかというと……」
もごもごと最後は聞き取れない。
「殿下?」
身体を離し、聞き返そうとすると、セルヴィはぐいっとさらに力強く抱き締め、ディークは「ぐえっ」と口から漏れた。
「な、なんでもない!」
ディークはなにやらよく分からないが、セルヴィが不快感を持った訳ではない、ということが分かりホッとしたのだった。
そしてディークはセルヴィを抱き締めたまま、セルヴィの髪や背中を撫でた。
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