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35-2 恐怖
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「い、嫌だ!! やめろ!!」
「ハハ、大丈夫だって、ここは緩々なんだろ? すぐに気持ち良くなる」
そう言いながら俺の尻をワシッと掴んだ。ギリッと爪を立てられ痛みが走る。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!
背中を踏み付けていた足を払いのけ、身体を翻し思い切り男の腹を蹴った。しかし、その脚を掴まれ、もう片方の足で蹴りを入れようとするも、その足首もまた掴まれる。必死に逃れようと脚をばたつかせるが、両脚を抱えられ、さらには腕までも上部へと抑えつけられ身動きが取れなくなった。
上半身を起こされ、再び後ろ手に縛り上げられる。下着までも剥ぎ取られ、脚は強引に押し広げられた。
「ハハ、可愛らしいモノ付けてんじゃないか」
ふたりがかりで両脚を広げられ、そして俺の下半身へと手が伸びる。必死に暴れるが先程蹴られた頬を再び殴られ、ぐらりと床に倒れ込んでしまう。
「やめろ!! 嫌だ!!!!」
泣き叫ぶが男たちは俺の腰を抑え付けニヤニヤと笑うだけだ。そして、俺の上着を強引に開いたせいでシャツのボタンが飛び破れる。露わになった胸には誓約の証。ドクンと心臓が跳ねる。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!! ジウシード……
「ジウシードォォ!!!!」
涙でぐしゃぐしゃになりながら叫んだ。あぁ、俺はこんなところでジウシードを裏切って死ぬのか? こんな男たちに抱かれて死ぬのか? 嫌だ……嫌だ……ジウシード……。
そのときバンッ!! と、扉が強引に開かれた音がした。その瞬間、俺の脚を押し広げ、下半身に触れようとしていた男たちが勢い良く横に吹っ飛んだ。
「!?」
涙で滲む目を必死に凝らす間に、ドダッ!! ドガッ!! と音が鳴り響き、男たちの怒声が響き……そして静かになった。
「兄貴!!!!」
「リョ、リョウ?」
扉から差し込む光で逆光になり、すぐさま顔を認識出来なかったが、声ですぐに分かる。俺の家族。間違うはずがない、弟のリョウ。
リョウは自身の着ていたジャケットを脱ぎ、俺の下半身へと掛けてくれた。そして俺を抱き起しグッと抱き締める。その身体は少し震えているようだった。
「兄貴……ごめん、見付けるのが遅くなって……間に合って良かったけど……こんな……くそっ……くそっ……」
ぎゅうっと手に力が籠るのが分かった。痛いくらいに強く抱き締められる。あぁ、めちゃくちゃ心配をかけてしまった。
「リョウ……助けに来てくれてありがと……だ、大丈夫だ……まだなにもされてない……される前に助けてくれてありがとな」
「なにもされてないことないだろ!!!! こ、こんな……」
ガバッと身体を離し、俺の顔を真っ直ぐに見詰めたリョウの目は涙で滲んでいた。
「いやまあ、剥き出しにはされたけど……掴まれるのもなんとか阻止出来たし……、ア、ハハ……」
「それだけじゃない……顔も腫れてる」
あぁ、蹴られた上に殴られたやつか……。今まで必死過ぎて忘れていたが、ホッとした瞬間、痛みを感じるようになってきてしまった。ズキズキと疼く頬。それに手や男たちに掴まれた腕や脚も痛い……。
「アキラ様……本当にご無事でよかったです……いえ、無事だとは言えませんかね……」
リョウの背後から聞こえた声はラウルだった。ラウルは後ろ手に縛られた縄を切ってくれ、そして毛布を掛けてくれた。
「こんな男たちが大事なアキラ様を泣かせるなんて許せませんね……この男たちは厳重に処罰致しますので」
氷のように超絶冷たい表情のラウルは、床に伸びている男たちを汚いものでも見るような目で見下ろし、そして外に待機していた騎士たちに指示を出していた。
「そ、そういえばジウシードは?」
扉が開いた瞬間、正直なところジウシードが来てくれたのかと思った。そんなドラマじゃあるまいし、都合良く好きな相手が助けてくれるとかないよな……乙女過ぎな発想に自身で恥ずかしくなった。
すると、リョウとラウルは顔を見合わせ、真剣な顔をこちらに向けた。
「アキラ様……ジウシード様を止めてください」
「え?」
「ハハ、大丈夫だって、ここは緩々なんだろ? すぐに気持ち良くなる」
そう言いながら俺の尻をワシッと掴んだ。ギリッと爪を立てられ痛みが走る。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!
背中を踏み付けていた足を払いのけ、身体を翻し思い切り男の腹を蹴った。しかし、その脚を掴まれ、もう片方の足で蹴りを入れようとするも、その足首もまた掴まれる。必死に逃れようと脚をばたつかせるが、両脚を抱えられ、さらには腕までも上部へと抑えつけられ身動きが取れなくなった。
上半身を起こされ、再び後ろ手に縛り上げられる。下着までも剥ぎ取られ、脚は強引に押し広げられた。
「ハハ、可愛らしいモノ付けてんじゃないか」
ふたりがかりで両脚を広げられ、そして俺の下半身へと手が伸びる。必死に暴れるが先程蹴られた頬を再び殴られ、ぐらりと床に倒れ込んでしまう。
「やめろ!! 嫌だ!!!!」
泣き叫ぶが男たちは俺の腰を抑え付けニヤニヤと笑うだけだ。そして、俺の上着を強引に開いたせいでシャツのボタンが飛び破れる。露わになった胸には誓約の証。ドクンと心臓が跳ねる。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!! ジウシード……
「ジウシードォォ!!!!」
涙でぐしゃぐしゃになりながら叫んだ。あぁ、俺はこんなところでジウシードを裏切って死ぬのか? こんな男たちに抱かれて死ぬのか? 嫌だ……嫌だ……ジウシード……。
そのときバンッ!! と、扉が強引に開かれた音がした。その瞬間、俺の脚を押し広げ、下半身に触れようとしていた男たちが勢い良く横に吹っ飛んだ。
「!?」
涙で滲む目を必死に凝らす間に、ドダッ!! ドガッ!! と音が鳴り響き、男たちの怒声が響き……そして静かになった。
「兄貴!!!!」
「リョ、リョウ?」
扉から差し込む光で逆光になり、すぐさま顔を認識出来なかったが、声ですぐに分かる。俺の家族。間違うはずがない、弟のリョウ。
リョウは自身の着ていたジャケットを脱ぎ、俺の下半身へと掛けてくれた。そして俺を抱き起しグッと抱き締める。その身体は少し震えているようだった。
「兄貴……ごめん、見付けるのが遅くなって……間に合って良かったけど……こんな……くそっ……くそっ……」
ぎゅうっと手に力が籠るのが分かった。痛いくらいに強く抱き締められる。あぁ、めちゃくちゃ心配をかけてしまった。
「リョウ……助けに来てくれてありがと……だ、大丈夫だ……まだなにもされてない……される前に助けてくれてありがとな」
「なにもされてないことないだろ!!!! こ、こんな……」
ガバッと身体を離し、俺の顔を真っ直ぐに見詰めたリョウの目は涙で滲んでいた。
「いやまあ、剥き出しにはされたけど……掴まれるのもなんとか阻止出来たし……、ア、ハハ……」
「それだけじゃない……顔も腫れてる」
あぁ、蹴られた上に殴られたやつか……。今まで必死過ぎて忘れていたが、ホッとした瞬間、痛みを感じるようになってきてしまった。ズキズキと疼く頬。それに手や男たちに掴まれた腕や脚も痛い……。
「アキラ様……本当にご無事でよかったです……いえ、無事だとは言えませんかね……」
リョウの背後から聞こえた声はラウルだった。ラウルは後ろ手に縛られた縄を切ってくれ、そして毛布を掛けてくれた。
「こんな男たちが大事なアキラ様を泣かせるなんて許せませんね……この男たちは厳重に処罰致しますので」
氷のように超絶冷たい表情のラウルは、床に伸びている男たちを汚いものでも見るような目で見下ろし、そして外に待機していた騎士たちに指示を出していた。
「そ、そういえばジウシードは?」
扉が開いた瞬間、正直なところジウシードが来てくれたのかと思った。そんなドラマじゃあるまいし、都合良く好きな相手が助けてくれるとかないよな……乙女過ぎな発想に自身で恥ずかしくなった。
すると、リョウとラウルは顔を見合わせ、真剣な顔をこちらに向けた。
「アキラ様……ジウシード様を止めてください」
「え?」
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