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35-1 恐怖
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急いで硝子の破片を拾ったため、ズキリと手のひらに痛みが走った。おそらく硝子で手が切れたのだろう。しかし、そんなことを気にしている暇はない。開かれる扉を睨み付けながらも、必死に縄へと硝子を押し当てる。
「お、お姫さんがお目覚めだな」
「こいつが起きた音だったか」
入って来た男たちはジウシードたちと比べると、それほど大きくはないが、それでも俺よりは背も高く筋肉質な男たちだった。羽交い絞めにされてしまうとおそらく逃げられない。一気に恐怖心が沸き立つ。
ヤバい……ヤバい……早く……早く外れろ……早く!!
後ろ手に縛られた縄をバレないように必死に硝子の破片で切って行く。
「あんたラルストン領主様の伴侶なんだろ? 可哀想になぁ、あんな女が母親の領主のせいであんたがこんな目に遭ってんだもんなぁ」
「本当にな、あんな熱烈な溺愛っぷりを披露しておきながらなぁ」
そう言いながら男たちはクックックッと喉を鳴らす。ジウシードを馬鹿にするような発言に怒りが込み上げる。
俺自身のことならなにを言われても良い。実際こんな平凡なおっさんだしな。でもジウシードを馬鹿にするのは許せない。母親に従っていたとしても、領民のために国王になろうとしているジウシードを……あんなに悩んで必死に考えているジウシードを馬鹿にしていい訳がないんだよ!!
怒りのままに男たちを睨む。しかし、男たちはニヤニヤとしながら近付いて来る。じりっと後退るも、もうすでに背後には棚がある、逃げ場などどこにもない。
「せっかく俺たちは同情してやってんのに、なんなんだその目。どうせもうあんたは必要なくなるんだから、最期に俺たちが可愛がってやるよ」
「!?」
「そうそう、俺たちが気持ち良くさせてやるよ。嬉しいだろ?」
こ、こいつら……男の俺を犯すつもりか!?
「領主様に抱かれまくって、さぞいい具合になってんだろうなぁ」
ニヤリと下卑た笑いを浮かべた男たちは、じりじりと俺に近付いて来る。
い、嫌だ……殺されたくもないが、それ以上にこんな奴らにヤラれるなんて絶対嫌だ!! ジウシード以外に抱かれるなんて……死んでも嫌だ!!
そう思った瞬間、ブツリと縄が切れた!!
硝子の破片をナイフ代わりに持ったまま、一気に腕を前へと振り上げ、男たちの目の前を斬り裂いた。硝子の破片は俺に向かい伸ばしていた男の腕を僅かに斬り裂き、男は一瞬怯んだ。
その瞬間を逃さないよう、男たちに体当たりをし、一気に走る。
「おいこら!!」
「このやろ!!」
お約束のような台詞を吐き、怒り心頭の男たちは俺を追いかけて来る。
隣の部屋へと飛び出すと、先程いた部屋とは違い、明るい上に窓がある。テーブルと椅子があり、生活感などがある訳ではないのだが、倉庫とは違うと思える部屋だった。そして部屋の端にはおそらくジウシードの母親が出て行ったと思われる扉がある。あそこから外へ出られる!!
思い切り扉に体当たりしながら外へと飛び出す。外へ出られた!! そう思ったとき、俺は腕を掴まれ部屋のなかへと引き戻された。
ドターンッ!! と、激しく身体を床に打ち付け倒れ込んだ。持っていた硝子の破片はその勢いで手から離れてしまった。慌てて立ち上がろうとするが、目の前には男の脚……見上げると、扉の前にはふたりの男が立ち、俺を見下ろしている。
「舐めた真似をしてくれる」
男は冷たい表情で俺を見下ろし、そして見上げる俺の顔目掛けて蹴りを入れた。
「うぐっ」
思い切り横っ面を蹴り上げられ、横に吹っ飛ぶ。痛い……口のなかに血の味がする……。頭が激しく揺さぶられたせいかクラクラする……ヤバい……に、逃げないと、と思うのに力が入らない……。
ズリズリと這いつくばりながら、窓へと逃げる。あの窓を蹴り破れば外に……。
「諦めな、あんたも殴られたくなんかないだろ? せっかく気持ちいい思いだけさせてやってから誓約の証に触れて苦しまずに死なせてやろうと思ったのになぁ」
「誓約の証ってどんな死に方すんだろうな」
「さあねぇ、今までそんなやついなかったらしいしな」
「不貞なんて普通しねーわな。兄ちゃん、初だな!」
そんなことを言いながら俺を見下ろし笑ってやがる。くそっ……くそっ……嫌だ……こんなやつらに誓約の証に触れられたくなんかない……。嫌だよ……。涙が滲む。情けない……俺はなんでこんななんだ。知恵もなければ力もない……悔しい……俺がもっと完璧な人間なら……もっと周りを納得させられる人間なら……こんなことにはならなかったんだろうか……。
男たちは俺の背中を踏み付け、そしてひとりは俺のズボンを剥ぎ取った。
「お、お姫さんがお目覚めだな」
「こいつが起きた音だったか」
入って来た男たちはジウシードたちと比べると、それほど大きくはないが、それでも俺よりは背も高く筋肉質な男たちだった。羽交い絞めにされてしまうとおそらく逃げられない。一気に恐怖心が沸き立つ。
ヤバい……ヤバい……早く……早く外れろ……早く!!
後ろ手に縛られた縄をバレないように必死に硝子の破片で切って行く。
「あんたラルストン領主様の伴侶なんだろ? 可哀想になぁ、あんな女が母親の領主のせいであんたがこんな目に遭ってんだもんなぁ」
「本当にな、あんな熱烈な溺愛っぷりを披露しておきながらなぁ」
そう言いながら男たちはクックックッと喉を鳴らす。ジウシードを馬鹿にするような発言に怒りが込み上げる。
俺自身のことならなにを言われても良い。実際こんな平凡なおっさんだしな。でもジウシードを馬鹿にするのは許せない。母親に従っていたとしても、領民のために国王になろうとしているジウシードを……あんなに悩んで必死に考えているジウシードを馬鹿にしていい訳がないんだよ!!
怒りのままに男たちを睨む。しかし、男たちはニヤニヤとしながら近付いて来る。じりっと後退るも、もうすでに背後には棚がある、逃げ場などどこにもない。
「せっかく俺たちは同情してやってんのに、なんなんだその目。どうせもうあんたは必要なくなるんだから、最期に俺たちが可愛がってやるよ」
「!?」
「そうそう、俺たちが気持ち良くさせてやるよ。嬉しいだろ?」
こ、こいつら……男の俺を犯すつもりか!?
「領主様に抱かれまくって、さぞいい具合になってんだろうなぁ」
ニヤリと下卑た笑いを浮かべた男たちは、じりじりと俺に近付いて来る。
い、嫌だ……殺されたくもないが、それ以上にこんな奴らにヤラれるなんて絶対嫌だ!! ジウシード以外に抱かれるなんて……死んでも嫌だ!!
そう思った瞬間、ブツリと縄が切れた!!
硝子の破片をナイフ代わりに持ったまま、一気に腕を前へと振り上げ、男たちの目の前を斬り裂いた。硝子の破片は俺に向かい伸ばしていた男の腕を僅かに斬り裂き、男は一瞬怯んだ。
その瞬間を逃さないよう、男たちに体当たりをし、一気に走る。
「おいこら!!」
「このやろ!!」
お約束のような台詞を吐き、怒り心頭の男たちは俺を追いかけて来る。
隣の部屋へと飛び出すと、先程いた部屋とは違い、明るい上に窓がある。テーブルと椅子があり、生活感などがある訳ではないのだが、倉庫とは違うと思える部屋だった。そして部屋の端にはおそらくジウシードの母親が出て行ったと思われる扉がある。あそこから外へ出られる!!
思い切り扉に体当たりしながら外へと飛び出す。外へ出られた!! そう思ったとき、俺は腕を掴まれ部屋のなかへと引き戻された。
ドターンッ!! と、激しく身体を床に打ち付け倒れ込んだ。持っていた硝子の破片はその勢いで手から離れてしまった。慌てて立ち上がろうとするが、目の前には男の脚……見上げると、扉の前にはふたりの男が立ち、俺を見下ろしている。
「舐めた真似をしてくれる」
男は冷たい表情で俺を見下ろし、そして見上げる俺の顔目掛けて蹴りを入れた。
「うぐっ」
思い切り横っ面を蹴り上げられ、横に吹っ飛ぶ。痛い……口のなかに血の味がする……。頭が激しく揺さぶられたせいかクラクラする……ヤバい……に、逃げないと、と思うのに力が入らない……。
ズリズリと這いつくばりながら、窓へと逃げる。あの窓を蹴り破れば外に……。
「諦めな、あんたも殴られたくなんかないだろ? せっかく気持ちいい思いだけさせてやってから誓約の証に触れて苦しまずに死なせてやろうと思ったのになぁ」
「誓約の証ってどんな死に方すんだろうな」
「さあねぇ、今までそんなやついなかったらしいしな」
「不貞なんて普通しねーわな。兄ちゃん、初だな!」
そんなことを言いながら俺を見下ろし笑ってやがる。くそっ……くそっ……嫌だ……こんなやつらに誓約の証に触れられたくなんかない……。嫌だよ……。涙が滲む。情けない……俺はなんでこんななんだ。知恵もなければ力もない……悔しい……俺がもっと完璧な人間なら……もっと周りを納得させられる人間なら……こんなことにはならなかったんだろうか……。
男たちは俺の背中を踏み付け、そしてひとりは俺のズボンを剥ぎ取った。
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