【完結】異世界転移で落ちて来たイケメンからいきなり嫁認定された件

りゆき

文字の大きさ
76 / 120

38-2 仲間外れ作戦

しおりを挟む

「せっかくだし、このまま皆で酒でも飲むか!」

 ジェイクが楽しそうに言い、給仕の使用人に手を振り合図をした。使用人は頷き、部屋から出たあと、しばらくした後、ワゴンに酒とつまみのようなものを乗せ現れた。

 ワインのような果実酒や、これはビールや日本酒!? というような味の酒まで、様々な酒が用意され、なにやら急に宴会のようになってしまった。
 しかし、しばらくずっと沈んだ気分だった俺は、こうして皆が一緒に過ごしてくれ、楽しい時間を共にしてくれることに感謝した。
 案の定というかなんというか、酒に弱い俺は久々の酒で早々に撃沈していたのだが……。

「おーい、兄貴、大丈夫か? そろそろ部屋に戻るか?」
「んん……もう少し……みんなといたい……ひとり、寂しい……」
「!?」

 ふわふわとした気分で、今が楽しくて、ジウシードがいるかどうかも分からないあの部屋にひとり戻るのが寂しかった。
 ぼんやりとしながら皆の顔を見詰めていると、なにやら皆が驚いた顔をしている?

「ハハ、皆酔ってんだな? 顔が赤いぞー……意外とみんなも酒弱いのかぁ?」

 ぼぉっとしながら呟くと、ジェイクがリョウに声を掛けていた。

「おい、さすがに……ちょっと……じゃないか?」

 酒のせいで耳が遠くなっているのか、ジェイクの声が聞こえ辛い。ジェイクに近寄り顔を近付けた。

「お、おい!!」

 なにやらジェイクの焦った顔。それがなんだか可笑しくて笑った。

「アハハ、ジェイクが変な顔」
「あ、兄貴、とりあえずこっちで横になれ」

 リョウが慌てて俺の肩を掴み、テーブルから離れた場所にある長椅子へと俺を連れて行った。そしてそこに座らせる。背凭れに深く凭れ掛かり、ぼんやりと天井を見上げた。ゆらゆらと天井が揺れている。

「ジウシードはもう俺のこと好きじゃないのかなぁ……」

 ぼそりと呟いた言葉が自分自身に突き刺さり、なんだか涙が零れてしまった。

「うっうっ……俺……もう嫌われちゃったのかなぁ……」

 酒のせいなのか、ますます涙が止まらなくなり、子供のようにべそべそと泣いてしまう。

「あー、ラ、ラウルを呼ぶか……」

 ウェジエがなにやら苦笑しながらそう言って、誰かに指示をしていた。俺はぼんやり周りを眺め、ここにいる皆は相手と幸せそうでいいなぁ、とか考えてしまい、余計にボロボロと涙が溢れた。あぁ……子供じゃあるまいし……なに泣いてんだろ……まあいっか……泣いたらすっきりするかな……。

 そんなことを考えながらぼんやりしていると、いつの間にか眠ってしまっていたようだ。

 ゆらゆらと身体が揺れている。酒が抜けていないのかふわふわとした気分だ。なにか温かいものに包まれているような気がして、気持ち良さを感じ擦り寄った。
 頬を摺り寄せしがみ付く。温かくて気持ちいい。ぼんやりとしていた頭が少しずつ覚醒していく。なにやら暗い廊下を歩いている?

 そういえばさっきまで皆と飲んでいたんだよな。もう解散してしまったのか。酔った俺を抱き抱えて運んでくれているのか?

「ジウシード?」

 あの場にはいなかったがもしかして迎えに来てくれたのか? そう思うと胸が高鳴り、スリッと頬を寄せた。

「アキラ様、ジウシードではなく申し訳ございません」

 その声にハッとし、ガバッと顔を離し見上げた。そこにはラウルが申し訳なさそうな、しかし、なにやら意味ありげな微笑みで俺を見下ろしていた。

「ラ、ラウル!!」
「お目覚めですか? かなり酔われていたようで、リョウ様に呼ばれ、私が部屋までお運びしているところです」

 横抱きに抱えられ、どうやら俺はラウルの首元に擦り寄っていたようだ。ひぃぃ。
 ラウルはフフッと微笑み、俺の額にキスをしそうな勢いで顔を寄せ呟いた。その吐息が額にかかりドキリとする。
 一気に思考がハッキリとし、慌てて身体を離した。

「ご、ごめん!! も、もう大丈夫だから下ろして!!」
「フフ、お気になさらず。まだ足元がおぼつかないでしょう。部屋まではこのままお運び致しますよ」
「い、いや、でも!!」
「暴れると危ないですよ? 大人しく運ばれておいてください」

 全く下ろす気配のないラウルは俺を抱えたままスタスタと歩き続ける。そして部屋の扉を開けようとした瞬間、バンッ! と、扉が開き、ラウルは扉に伸ばそうとしていた手を止めた。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

天使のような子の怪我の手当てをしたら氷の王子に懐かれました

藤吉めぐみ
BL
12/23後日談追加しました。 ================= 高校の養護教諭の世凪は、放課後の見回り中にプールに落ちてしまう。カナヅチの世凪は、そのまま溺れたと思ったが、気づくと全く知らない場所にある小さな池に座り込んでいた。 ここがどこなのか、何がどうなったのか分からない世凪に、「かあさま」と呼んで近づく小さな男の子。彼の怪我の手当てをしたら、世凪は不審者として捕まってしまう。 そんな世凪を助けてくれたのは、「氷の王子」と呼ばれるこの国の第二王子アドウェル。 冷淡で表情も変わらない人だと周りに言われたが、世凪に対するアドウェルは、穏やかで優しくて、理想の王子様でドキドキしてしまう世凪。でも王子は世凪に母親を重ねているようで…… 優しい年下王子様×異世界転移してきた前向き養護教諭の互いを知って認めていくあたたかな恋の話です。

《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年

【3/11書籍発売】麗しの大公閣下は今日も憂鬱です。

天城
BL
【第12回BL大賞 奨励賞頂きました!ありがとうございます!!3/11に発売になります、よろしくお願いします!】 さえないサラリーマンだったオジサンは、家柄・財力・才能と類い稀なる美貌も持ち合わせた大公閣下ルシェール・ド・ヴォリスに転生した。 英雄の華々しい生活に突然放り込まれて中の人は毎日憂鬱だった。腐男子だった彼は知っている。 この世界、Dom/Subユニバースってやつだよね……。 「さあ気に入ったsubを娶れ」 「パートナーはいいぞ」 とDomの親兄弟から散々言われ、交友関係も護衛騎士もメイド含む屋敷内の使用人全てがSubで構成されたヴォリス家。 待って待って情報量が多い。現実に疲れたおっさんを転生後まで追い込まないでくれ。 平凡が一番だし、優しく気立のいいsubのお嫁さんもらって隠居したいんだよ。

目が覚めたら宿敵の伴侶になっていた

木村木下
BL
日本の大学に通う俺はある日突然異世界で目覚め、思い出した。 自分が本来、この世界で生きていた妖精、フォランだということを。 しかし目覚めたフォランはなぜか自分の肉体ではなく、シルヴァ・サリオンという青年の体に入っていた。その上、シルヴァはフォランの宿敵である大英雄ユエ・オーレルの『望まれない伴侶』だった。 ユエ×フォラン (ムーンライトノベルズ/全年齢版をカクヨムでも投稿しています)

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

朱と銀の誓約〜二人の銀獣を保護したら執愛されました〜

たもゆ
BL
【和風異世界ファンタジーBL】 元陰陽師の家系に生まれた夕陽様と、彼に拾われ育てられた2人の銀妖――獣人種の朱雀と銀郎。 今では立派に成長して、祓い屋『夕月庵』として一緒に妖退治の日々を送っています。 けれど、2人の想いは主様に届かなくて……? 主従、切な甘、ほのぼのお仕事パートありの恋慕BL。 ※話数未定/後半にR展開あり

ルイとレオ~幼い夫が最強になるまでの歳月~

芽吹鹿
BL
夢を追い求める三男坊×無気力なひとりっ子 孤独な幼少期を過ごしていたルイ。虫や花だけが友だちで、同年代とは縁がない。王国の一人っ子として立派になろうと努力を続けた、そんな彼が隣国への「嫁入り」を言いつけられる。理不尽な運命を受けたせいで胸にぽっかりと穴を空けたまま、失意のうちに18歳で故郷を離れることになる。 行き着いた隣国で待っていたのは、まさかの10歳の夫となる王子だった、、、、 8歳差。※性描写は成長してから(およそ35、36話目から)となります

大魔法使いに生まれ変わったので森に引きこもります

かとらり。
BL
 前世でやっていたRPGの中ボスの大魔法使いに生まれ変わった僕。  勇者に倒されるのは嫌なので、大人しくアイテムを渡して帰ってもらい、塔に引きこもってセカンドライフを楽しむことにした。  風の噂で勇者が魔王を倒したことを聞いて安心していたら、森の中に小さな男の子が転がり込んでくる。  どうやらその子どもは勇者の子供らしく…

処理中です...