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2章 第2の婚約者
47.良いニュースは『××』
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「百合百合しい感動的な再会シーンはそこまでにして、次のお話にいきたいのだけれど」
パンパン、とクラップ音。
私とメノウの間に、バルバトロスは割って入る。
「メノウさんが完全復活した。これが、凄い良いニュース」
屈託のない笑顔を向ける。
悪意のない、ただの可愛い笑顔。
「これぞ余の誇るステノン家の技術力、農業ーーつまりはバイオなテクノロジーの応用。メノウさんの自然治癒力を強制的に活性させて、一晩待てばあらびっくり、綺麗な体に元どおり、というわけさ♪」
「強制的だと?それはメノウの体に負担を強いるのではないのか?」
「そんなことはないよ♪ステノン家の技術は自然にも人にも、そして経済にも優しい、エコエコエコなテクノロジー。寿命も減らないし、別に老化もしないよ。けど、証明のしようがないから、余の口からは信じて、と言うしかないのが、心苦しいところだけれどね」
確かに。
実害があるかどうかなんて、確認のしようがない。
彼女の体は見るからに回復しているし、どこか痛みを耐えている様子も、不都合を庇っている様子もない。
とりあえずは、彼の言葉を信じる他ないか。
それに、私が思考を巡らすべきことは他にある。
良いニュースと、
凄い良いニュース。
私に伝えたいことが、その二つだと彼は言った。
後者は終わった。
メノウの復活という、間違いなく凄く良いニュース。
では、前者は何だ?
どんなニュースだ?
「じゃあ、良いニュースの方のご紹介といこうか」
バルバトロスは私から数歩離れると、パチンと指を鳴らした。
重々しい黒布に包まれた何かを、従者が私たちの眼前へと運んでくる。
「これはーー」
「うん、これがね、良いニュースだよ」
そう言って、バルバトロスは笑顔で布を取り払った。
その笑顔はどこか邪悪で、悪魔的なソレだった。
「これ、だーれだ?」
ポップでキュートな口調と共に、彼は尋ねた。
布の覆いの下にあった『××』が誰なのかを、
より正確には誰の『××』なのかを
彼は尋ねた。
楽しそうに、
私たちの反応を面白がるように、
彼はたずねた。
『××』は瓶のような容器に、腐敗防止処理なのか、液体に漬けられていた。
短い髪、
屈強な首、
後ろ姿なので、それが誰のものかは分からなかった。
私に認識できるのは、
その情報から認識できるのは、
『××』の持ち主が人間、それも男だと言うことくらいだ。
だけれど、『××』があるということは、その持ち主の命は既に終了しているということ。
会話を交わすこともできなければ、
抱き合うこともできない。
いや、動かなくなった残りの肉の塊となら、できるかもしれないが。
「ほら、教えてよ、アリシアさん。これ、だーれだ?」
バルバトロスは質問を繰り返す。
瓶に手をかけ、ゆっくりと『××』の向きを動かす。
「ヒントはアリシアさんの知ってる人、それも男の人♪」
ここに彼の姿はない。
私のことを慕い、
優しく寄り添ってくれた彼の姿はいない。
かつての主人に人間扱いされず、
自身の目は既に光を失った、
可哀想な彼の姿はいない。
まさか、
いや、
でも、
だけれどーー
パンパン、とクラップ音。
私とメノウの間に、バルバトロスは割って入る。
「メノウさんが完全復活した。これが、凄い良いニュース」
屈託のない笑顔を向ける。
悪意のない、ただの可愛い笑顔。
「これぞ余の誇るステノン家の技術力、農業ーーつまりはバイオなテクノロジーの応用。メノウさんの自然治癒力を強制的に活性させて、一晩待てばあらびっくり、綺麗な体に元どおり、というわけさ♪」
「強制的だと?それはメノウの体に負担を強いるのではないのか?」
「そんなことはないよ♪ステノン家の技術は自然にも人にも、そして経済にも優しい、エコエコエコなテクノロジー。寿命も減らないし、別に老化もしないよ。けど、証明のしようがないから、余の口からは信じて、と言うしかないのが、心苦しいところだけれどね」
確かに。
実害があるかどうかなんて、確認のしようがない。
彼女の体は見るからに回復しているし、どこか痛みを耐えている様子も、不都合を庇っている様子もない。
とりあえずは、彼の言葉を信じる他ないか。
それに、私が思考を巡らすべきことは他にある。
良いニュースと、
凄い良いニュース。
私に伝えたいことが、その二つだと彼は言った。
後者は終わった。
メノウの復活という、間違いなく凄く良いニュース。
では、前者は何だ?
どんなニュースだ?
「じゃあ、良いニュースの方のご紹介といこうか」
バルバトロスは私から数歩離れると、パチンと指を鳴らした。
重々しい黒布に包まれた何かを、従者が私たちの眼前へと運んでくる。
「これはーー」
「うん、これがね、良いニュースだよ」
そう言って、バルバトロスは笑顔で布を取り払った。
その笑顔はどこか邪悪で、悪魔的なソレだった。
「これ、だーれだ?」
ポップでキュートな口調と共に、彼は尋ねた。
布の覆いの下にあった『××』が誰なのかを、
より正確には誰の『××』なのかを
彼は尋ねた。
楽しそうに、
私たちの反応を面白がるように、
彼はたずねた。
『××』は瓶のような容器に、腐敗防止処理なのか、液体に漬けられていた。
短い髪、
屈強な首、
後ろ姿なので、それが誰のものかは分からなかった。
私に認識できるのは、
その情報から認識できるのは、
『××』の持ち主が人間、それも男だと言うことくらいだ。
だけれど、『××』があるということは、その持ち主の命は既に終了しているということ。
会話を交わすこともできなければ、
抱き合うこともできない。
いや、動かなくなった残りの肉の塊となら、できるかもしれないが。
「ほら、教えてよ、アリシアさん。これ、だーれだ?」
バルバトロスは質問を繰り返す。
瓶に手をかけ、ゆっくりと『××』の向きを動かす。
「ヒントはアリシアさんの知ってる人、それも男の人♪」
ここに彼の姿はない。
私のことを慕い、
優しく寄り添ってくれた彼の姿はいない。
かつての主人に人間扱いされず、
自身の目は既に光を失った、
可哀想な彼の姿はいない。
まさか、
いや、
でも、
だけれどーー
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