虐げられた黒髪令嬢は国を滅ぼすことに決めましたとさ

くわっと

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終章

104.誰かのために、誰かになる人生

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私は懐かしの犬さんたちを連れて、再度地上へと向かいます。
足取りは軽く、通りがかりにマーテルロ家の管理する動物さんたちの部屋の鍵を鼻歌混じりに開けていきました。

「貴方達はもう自由です。好きに生きてください」

私は一言だけ告げて、彼らの『これまで』と『これから』を分けました。
屋敷を取り囲んでいる方々を殲滅するには、この子達で十分です。
お釣りが来てしまいます。
それはいけません。

私はスキップでもするように、舞うように歩きました。
面倒ごとからの解放(諦めただけなのですが)のせいか、体が軽いです。
もう、考えなくてもいい。
もう、頑張らなくてもいい。
過去の私に縛られることなく、今を生きられる。

私は自由になれたと思っていましたが、中途半端な状態でした。
過去の自身の願いを叶えようと、不自由に生きていました。
加えて、オルコットという妹様の人生にも縛られる結果になっていました。

結局、振り返ってみれば何も変わっていなかったのです。
虐げられるか、甘やかされるかの違い。
誰かに、何かに縛られているという意味では、全く同じだったのです。

「もう、全てお終い、です。それならーー」

こんなものを、つける必要もありませんね。
私はぱちり、と金色の被り物を外しました。
思えば、きっかけはここでした。
フォルテシアからオルテシアになって、
お兄様に反逆して、
そこから。

あの時の被り物は、ここまで品の良いものではなかったけれど、私を変えてくれたという点では、重要なものでした。
けれど、あの時に、私というーーいえ、フォルテシア=マーテルロという少女は、死んだのでしょうね。
自分を捨て、他者に成り代る。
その間に、この私は何度も死んだ。
そして、都合よく生き返ることを強いられた。

常に、
誰かのために他者であることを強要された。
そんな、可愛そうな私。
けど、もうそれもお終い。
だから、フォルテシア=マーテルロとして、この生を終わらせましょう。

「神の裁きを!」

「厚き信仰を!」

「神の下、正しい国を取り戻せ……って、あれは何だ?」

視界に、白い方々が映ります。
彼らは先頭に立つ私を見て、
両横に控える犬さん達を見て。

「おいおいおい、あれは何だーー」

「巫山戯るなよ、流石にこいつはっ」

最後に、背後から連なってきた動物さんたちを見ました。
私も振り返り、ついてきてくれた彼らに笑いかけました。
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