実は俺が二重人格で配信者?そんなわけねえだろw

らむす。

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♯4 出会い

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2週間前、特にやるべきことも予定もない俺はいつもの様に配信サイト”MouTube”を見ていた。

MouTubeとは毎日様々なジャンルの動画が世界中の人間によって投稿されているサイトのことであり、動画を投稿する人たちはMouTuberと呼ばれる。

なぜ世界中でMouTuberが動画を上げているのかというには理由がある。それはMouTubeでは収益を得ることができるからだ。

流れとしては、運営の方からランダムで付けられる15秒ほどの広告が差し込まれた動画が視聴者に再生されることによって収益を得られる。

もちろんを得るために申請が必要でその申請にも総再生回数やらチャンネル登録者数やら条件はあるが。つまり、再生回数の多ければ多いほど収益が入ってくるというわけだ。

それだけでなく大物MouTuberはメンバーシップや配信での投げ銭、通称"ライブマネー"でも収益を得ている。羨ましい限りだ。

ただの一般人が動画を上げるだけで有名人になれるだけでなくお金も貰えるとなればそりゃあ世界中のユーザーがMouTuberになるだろう。

ネットかテレビかどこかで見たニュースでは学生が将来なりたい職業ランキングでMouTuberが上位に入っているのも目にしたことがある。

それだけでなく雑誌でよく見るモデルもテレビでよく見る芸人もみんなMouTubeで動画を上げている。まあ彼らの大半は自身の宣伝だったり有名人とのコラボ動画しか上げていないが。

そういえば休日は家でMouTubeを見て過ごすと話していたアイドルがいたな。今の俺みたいに彼女もだらだら見るのだろうか。

ま、そんな世界の人間たちも利用しているし詳しいことはよくわかんないけど世界で1番の動画共有サイトなんじゃないか?


しかし俺は長尺の動画は見ない。
飽き性な自分の性格が影響しているのか、十数分同じ内容の動画を見続けると寝落ちしてしまうのだ。なので見るのは専らショート動画だ。

ショート動画とはその名の通り短いもので10秒未満、基本は1分を切る程度の動画のことである。内容は日常系やあるある系、雑学系にゲーム系など種々様々だ。

また、通常の動画とは違い一般人が投稿する動画の比率が高い。簡単に数十秒で動画を上げられるため投稿するハードルが低いのだろう。

見る側としてもその動画が合わなければすぐスクロールをすればいいだけなので手頃だ。
収益の方は長尺動画と算出方法が違うらしい。詳しいことは知らない。

あと最近は、その手頃さが話題となり参入者が増えているとかなんとか。

ごろりとベッドの上で体制を変えながらサイドテーブルに置いたペットボトルに左手を伸ばす。
やっぱショート動画だな。長々と同じ動画を見るなんて俺には合わねぇし。
スクロールしながら目に止まる動画を探す。

そんなときだ。あの人に出会ったのは。




あれは有名FPSゲームのクリップだった。
自分がハマっている事もあってスクロールせずにその動画を見ることにした。

『おっけ後ろのやつ殺った、あとは前2人』
軽快な動きで敵を次々と制圧。それだけでなく

『ここで見とけばじゃあ行けるはず........』
味方が全員脱落しているという逆境にもかかわらずそれを感じさせない冷静なトーン。

恐らく配信中のワンシーンを切り抜いたのだろう、右横には当時のコメントが流れている。

【ないすー】【うっまww】
【そのキャラコンやば】
彼を褒めるコメントが多数だ。

『うしっ、もひとり倒したと.......。
これであと1人か』
残った敵のうちの1人も危なげなく倒し最後の敵を探しに動く。

被弾による負傷を最低限に抑えるための立ち回り、1vs2の不利な盤面でも焦らず的確に射線管理をしつつ攻撃、倒し切れば回復と物資調達をすぐに済ませて敵の動きをうかがえるように上の方へ向かう。

上手い。まだ20秒ほどしか彼のプレーを見ていないがそれでも分かる。

そこまで興味が湧かなかったらすぐスクロールをしようと右下にスタンバイさせていた親指をスマートフォンの縁に沿わせた。

先ほどいた場所から少し移動したところで
『ん~?どこにいんだ~~~あ、いた』

【よく見えてんな】【これ勝ったろ】
木の裏に隠れていた。まだこちらには気付いていない様子で違う方向を睨んでいる。

ならここでちゃちゃっと倒してゲームセットか、と思った。が、

『ま、これで勝ちですと......。
あっ、やべミスった。』

【あ】【おい】
キーボードの押しミスなのか、照準を合わせるよりも前に撃ってしまった。

おいおい、何してんだもったいねぇな。
思わず、はぁ...とため息が出る。
本当にもったいない。

もちろん敵には掠りもしていない。
宛先を持たない銃弾は明後日の方向へ去った。

そしてその音で気付いたのだろう、こちらを向いた。それと同時に銃弾が飛んでくる。

『い、いやまあこっからよ!これで実質プラマイゼロ!それに不意打ちは卑怯だしな!
あと俺は正々堂々倒すのがモットーだし!』

【???】【なに言ってんねん】
訳の分からない理論を並べながら少し後ろに下がり距離をとる。その言い草にリスナーも呆れているようだ。

少し距離がある、さらに敵は木の陰にいることからこの中距離で互いに牽制しつつ撃ち合うかと思いきや敵が突っ込んできた。
しかもその手には

『おいまてまてまてこいつロケラン持ってら』
完全にセオリーから外れた動きのうえ、上手く遮蔽物を使って着実に近づいているため焦っているのか。あんなに的確だったエイムに乱れが生じ碌に当たらない。

『ちょまてまておいまておいおい』

【!?】【エイムどした】【やばくねこれ】
そして彼の右前にある岩の後ろから敵が飛び込んでくる。次の瞬間、


『おいマジでやば、、、ウアァァァァァァ!!!』
敵は自爆覚悟の超至近距離で撃ってきた。だがこの感じだとこちらの方がよりダメージを食らうだろう。

あーあ2位か、あの撃ちミスが無かったらなぁ。

そして、表示されたその順位は




「え、マジ?」

『..........あ!?なんか勝ってら!?!?
よっしゃー!!』

【ガチか!?】【やべえええwww】
【これはクリップだわw】
なんと2位ではなく1位と表示されていた。
おそらく、敵が近づいてきていた際に当てていた数発で敵のHPがこちらよりも削れていた。

もしくは接敵する前の時点ですでに相手のHPが少なかった。そして突っ込んできた際の自爆で敵の方が先にHPが削り切られて倒れた。
こういうことだろうか。

『ま、まあGGってことよ!!
正々堂々やったったぞ!!リスナー!!』

【神クラッチ】【情けない声だったなww】
【計算通りですか?】
リスナーの煽り交じりのコメントに笑いながら

『あったりめーだろ!これが俺よ!』
動画冒頭の冷静なトーンとは打って変わって底抜けに明るい声で答える。

ここでクリップは終わった。
1分程度と思えない内容に満足感を感じつつこの動画のコメント欄を開くと、

【やば、この人うんまww】
【オチまで完璧すぎる】【さすがZer0やな】

ここでも褒めるコメントが多数。1週間前に上げた動画にもかかわらず再生回数と高評価の数はかなりの数字だった。それを見ながら

上体を起こして先ほどから握っていたペットボトルに口を付ける。
ふむふむ、Zer0さんねぇ......。
アイコンをタップし、チャンネルを開くと配信アーカイブがズラッと並んだ。

ショート動画は20本上げているようだが再生回数は先程の動画が1番の数字を叩き出している。
長尺動画は10分ほどの動画が2本しか上がっていない。なるほど配信メインの人か。

この人のようなスタイルのMouTuberは珍しくない。先ほど言ったように最近はMouTubeを始める芸能人は多い。

そういった人たちはもともとの知名度があることで初回の動画から多くの反応を得られるが、我々のような一般人の長尺動画は伸びにくい。

さらに毎日世界中の人が動画を上げていることため、どうしても大量の動画の波に飲み込まれて埋もれてしまう。過重な編集作業を終えてもほとんど再生回数が出ないなんてことが大半だ。なのでもちろん収益は得られない。

そんなこともあり、編集の必要がない配信や少ない編集で済むショート動画をメインにしてあわよくば収益を小遣い程度に稼ごうという方向で舵を取る人が多い。これもショート動画等が人気な理由なのかもしれない。まあ中には収益など関係なくただ楽しいからという理由でMouTubeを始める人もいるであろうが。

配信を何本か見てみたい気持ちがあるが俺は配信も長尺動画と同様寝落ちしてしまう。
興味と躊躇いが共立するが即時決断する。
まあ最悪寝落ちでもいっか。見よ。
適当に目についたアーカイブを開く。


「すげぇなこの人」
ショート動画恐るべきプレースキルで敵を次々と撃破する。それだけでなく

『なんか最近あちいわ、最近あの太陽とかいうやつ調子乗ってね?みんな無視しよ』

『無自覚イケメンてなんだよこちとら有自覚ブスだわ』

『銃持つやつ全員銃刀法違反な、俺以外』
ボケも交えて軽く聞き流せるトークを進める。

「ははっ、なに言ってんだよ」
その後も見続けてくうちに

『んじゃこの辺で終わりますかー!
お疲れさまー!!』

「あ...終わった。」
2時間ほどあるアーカイブを寝落ちせずに見終わった。しかもスキップせずに。

.....やべ、ハマりそうだわ。
一度も眠くならずに見れた謎の達成感と面白い配信者を見つけれた高揚感が混ざって思わず伸びをする。

もう一度スマホを開いた俺は気づけばチャンネル登録と通知オンにしていた。

「つーか何者だろこの人」
気になった俺は検索エンジンにて調べてみる事にした。


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