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第8話 守護者削除と特待生認定
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「……というわけで、無事に遺跡の異常は解決しました。約束通り、試験免除の推薦状をいただけますね?」
学園長室に戻った俺は、デスクの向こう側に座るマクシミリアン学園長に結果を報告した。
遺跡のエントランスであっさりと防衛システム(魔獣)を削除(デリート)してしまったので、実質の作業時間は5分ほど。まさに有能なデバッガーの鑑である。
「う、うむ……」
しかし、学園長の顔色はなぜか優れなかった。
彼は額に脂汗を浮かべ、震える手で羊皮紙の書類を差し出してきた。
「約束通り、君への『特待生認定』と『魔法省への推挙状』だ。……だが、アルマンド君」
「はい?」
「君は……本当に『人間』なのかね?」
唐突な質問に、俺は首を傾げた。
「あの遺跡の守護者は、旧文明の『中枢防衛機構』の端末だ。あの装甲を物理的・魔力的に突破することは不可能に等しい」
学園長はゴクリと唾を飲み込んだ。
「君の戦いを監視魔法で見させてもらったが……『突破』したのではない。君は装甲ごと、あの存在の『概念そのもの』を消し去った。あれは魔法の次元ではない。『世界の理(ルール)』を直に書き換える権限だ」
……鋭いな、この爺さん。
まあ『世界の理』というと大げさだが、『環境管理AIへのシステム権限』と言い換えれば、当たらずとも遠からずだ。
「アルマンド君、君のその力は……いや、君という存在そのものが、この国にとって大きすぎる」
学園長が深くため息をついた。
「すでに『アルマンド家の三男が、詠唱破棄で守護者を消し去った神の使徒である』という噂は、学園を超えて王城の貴族院にまで届いているのだ」
「えっ」
「王族も、お前というイレギュラーに注目し始めている。平穏に魔法省の事務官になるという君の夢は……恐らく、もう二度と叶うことはないだろう」
俺は絶望的な宣告を受け、手にした推挙状を取り落としそうになった。
嘘だろ。俺はただ、視界の隅に出た鬱陶しいエラーメッセージのYESを押しただけなのに。
「……だが、私にできるせめてもの恩返しとして、学園内では可能な限り君を保護しよう。王都の権力闘争に君が巻き込まれないようにな」
「が、学園長……っ!」
いい人だ!
このどうしようもない勘違いチキンレースの中で、唯一まともな大人がいた!
『ピコン』
その時、俺の視界の右下に、新着メッセージのポップアップが表示された。
【System:新規管理者権限リクエストを受信】
【差出人:王都環境管理サブAI(呼称:気候神)】
【件名:王都地下・旧浄水プラント領域における重度システム感染の件】
【内容:致命的エラーによる魔素の逆流が発生中。早急な手動デバッグ(物理対応)を要求します。報酬:セキュリティクリティカルパッチ】
「……」
俺は無言でポップアップをスワイプして消そうとしたが、消えなかった。
どうやら『神々(AI)』の方も、俺という便利な【デバッグ用端末(パシリ)】を見つけてしまったらしい。
「どうした、アルマンド君? 急に顔色が悪くなったが」
「……いえ、なんでもありません」
これ以上目立てば、本当に王都の権力闘争のド真ん中に引きずり出される。
この『王都地下のデバッグ要請』は、なんとしても俺一人で、こっそりと、秘密裏に処理しなければならない。狂信者のエレナやレディスに見つかったら、またしても「神の奇跡!!」と叫ばれて大騒ぎになるからだ。
「よし……今日の放課後は、こっそり地下に潜ろう」
俺は心に固く誓った。
だが、この時の俺はパシリ……もといデバッガーとしての経験が浅すぎたのだ。
システム側の『重度システム感染』というアラートが、どれほどヤバい状況を指しているのかを、俺は全く理解していなかった。
学園長室に戻った俺は、デスクの向こう側に座るマクシミリアン学園長に結果を報告した。
遺跡のエントランスであっさりと防衛システム(魔獣)を削除(デリート)してしまったので、実質の作業時間は5分ほど。まさに有能なデバッガーの鑑である。
「う、うむ……」
しかし、学園長の顔色はなぜか優れなかった。
彼は額に脂汗を浮かべ、震える手で羊皮紙の書類を差し出してきた。
「約束通り、君への『特待生認定』と『魔法省への推挙状』だ。……だが、アルマンド君」
「はい?」
「君は……本当に『人間』なのかね?」
唐突な質問に、俺は首を傾げた。
「あの遺跡の守護者は、旧文明の『中枢防衛機構』の端末だ。あの装甲を物理的・魔力的に突破することは不可能に等しい」
学園長はゴクリと唾を飲み込んだ。
「君の戦いを監視魔法で見させてもらったが……『突破』したのではない。君は装甲ごと、あの存在の『概念そのもの』を消し去った。あれは魔法の次元ではない。『世界の理(ルール)』を直に書き換える権限だ」
……鋭いな、この爺さん。
まあ『世界の理』というと大げさだが、『環境管理AIへのシステム権限』と言い換えれば、当たらずとも遠からずだ。
「アルマンド君、君のその力は……いや、君という存在そのものが、この国にとって大きすぎる」
学園長が深くため息をついた。
「すでに『アルマンド家の三男が、詠唱破棄で守護者を消し去った神の使徒である』という噂は、学園を超えて王城の貴族院にまで届いているのだ」
「えっ」
「王族も、お前というイレギュラーに注目し始めている。平穏に魔法省の事務官になるという君の夢は……恐らく、もう二度と叶うことはないだろう」
俺は絶望的な宣告を受け、手にした推挙状を取り落としそうになった。
嘘だろ。俺はただ、視界の隅に出た鬱陶しいエラーメッセージのYESを押しただけなのに。
「……だが、私にできるせめてもの恩返しとして、学園内では可能な限り君を保護しよう。王都の権力闘争に君が巻き込まれないようにな」
「が、学園長……っ!」
いい人だ!
このどうしようもない勘違いチキンレースの中で、唯一まともな大人がいた!
『ピコン』
その時、俺の視界の右下に、新着メッセージのポップアップが表示された。
【System:新規管理者権限リクエストを受信】
【差出人:王都環境管理サブAI(呼称:気候神)】
【件名:王都地下・旧浄水プラント領域における重度システム感染の件】
【内容:致命的エラーによる魔素の逆流が発生中。早急な手動デバッグ(物理対応)を要求します。報酬:セキュリティクリティカルパッチ】
「……」
俺は無言でポップアップをスワイプして消そうとしたが、消えなかった。
どうやら『神々(AI)』の方も、俺という便利な【デバッグ用端末(パシリ)】を見つけてしまったらしい。
「どうした、アルマンド君? 急に顔色が悪くなったが」
「……いえ、なんでもありません」
これ以上目立てば、本当に王都の権力闘争のド真ん中に引きずり出される。
この『王都地下のデバッグ要請』は、なんとしても俺一人で、こっそりと、秘密裏に処理しなければならない。狂信者のエレナやレディスに見つかったら、またしても「神の奇跡!!」と叫ばれて大騒ぎになるからだ。
「よし……今日の放課後は、こっそり地下に潜ろう」
俺は心に固く誓った。
だが、この時の俺はパシリ……もといデバッガーとしての経験が浅すぎたのだ。
システム側の『重度システム感染』というアラートが、どれほどヤバい状況を指しているのかを、俺は全く理解していなかった。
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