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4章:十八禁BLゲームの中に迷い込んだら、最愛の人が出来ました!
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しおりを挟む――また意識を失ってしまった。
目が覚めたら明け方だった。おれは一体何時間気を失っていたんだろうか。ここまで意識を失うのは久しぶりのことでちょっとした罪悪感が……。ちらりと横を見るとルードがおれを抱きしめながらすやすや眠っていた。
大分、意識を失うことはなくなってきていたのに……! 終わった後のあの雰囲気を楽しむことが出来るようになるのはいつになるんだろう……。いつもほぼ気を失うか、ルードがおれを気遣ってルード自身を抑えてしまうような。体力の差? 体力の差なの?
「どうした、ヒビキ。悲しそうな顔をして」
「いえ、あの……また意識を飛ばして……」
おれが起きたからか、ルードも目を覚ましたようだ。
気にしていたのか、とルードの目が丸くなった。そりゃあ気にするよ! 恋人残して意識を失うなんて……!
「それほど感じていたということだ。私としては喜ばしいが……」
「ええ?」
「ヒビキの場合は理性が勝って、羞恥心からショートしてしまうのかもしれないな」
媚薬を使っても理性が残っているようだし、とルードの言葉が続いた。そうなんだろうか? すりすりとおれの頬を撫でるルードの目はすごく優しくて、思わず胸がどきどきと高鳴る。寝起きもイケメンとか本当、その顔面偏差値の高さずるくないですかね……?
「私としては、どんなヒビキでも見てみたいが」
「…………ぅぅ」
ふふ、とルードが笑う。その柔らかい微笑みに余計胸が高鳴ってしまう。そして、ちゅっとおれの額にキスをするととろけるような視線を向けた。
「もう何ヶ月もヒビキを抱いているのにね。まだまだヒビキの感度を引き出せていない気がする」
「ほどほどで……! ほどほどでお願いします……!」
「……そういうことも、ちゃんと言えるようになったね。さ、まだ早いからもうちょっとお休み」
ぎゅうっと抱きしめられた。……おれがわがままをあまり言わないことを、ルードは気付いていた……?
……もしかして、おれが嫌がるのを待っていたりしたんだろうか。もしもそうなら、受け入れたおれって、おれって……! ひとりで冷や汗を流していると、ぽんぽんと頭を撫でられた。
「おやすみ」
「……おやすみなさい」
……とはいえ、ルードがおれにすることでイヤなことはないのだから仕方ない。流石に尿道の初めても奪われるとは思わなかったけど! おれは目を閉じて何度か深呼吸を繰り返してからルードにぴったりくっついた。ルードはそんなおれの様子に気付いて小さく笑い、おれが寝るまで優しく頭を撫でてくれた。
「行為の時に『いや』や『だめ』って言ってる?」
「……なんで、そーいうのをオレにッ! 聞くんですかね……?」
明日出発なので今日はニコロと一緒に荷造り中。明け方、ルードに抱きしめられたまま眠り、次に起きた時にはルードは既にいなく、ただ今日は早めに帰って来るって言うメモがナイトテーブルの上に残されていた。
ニコロに荷造りを手伝ってもらいながら尋ねると、彼は「はぁぁあ~」と深いため息をしてから呆れたように叫び……語尾は小さくなっていった。
「おれさ、そう言う時に言ったことがあまりないんだよね、多分……」
「はぁ、そうですか」
「触られるのも嫌じゃないし……、むしろ気持ち良いし……」
「ソーデスカ」
「でも今は言っちゃうのなんでだろ……?」
「それだけ隊長に慣れたっていうか、信じることが出来たってことじゃないですか?」
荷造りの手を止めてニコロを見る。どういう意味だろうと首を傾げると、ニコロは頭をカリカリと掻いて肩をすくめた。
「『いや』も『だめ』も、そう言っても隊長がヒビキさまを嫌うことがないって、ヒビキさまがわかってるからじゃないんですか?」
「……そうなのかな?」
「知りません。俺、ヒビキさまじゃないので」
そりゃそうだ。ちょっと突き放したような言い方だけど、ニコロは「それでいい」とばかりに微笑んでいた。
「おふたりのバカップル……いえ、お付き合いは見ていてとても、幸せそうだなぁって思いますから」
「サディアスさんと付き合えば、ニコロも幸せになれると思うけど」
「あはは、お断りします」
――く、これほどサディアスさんを推しているのにニコロは全然なびかない。ニコロもサディアスさんのことを好きだと思うんだけどなぁ。
「サディアスさんのなにがダメなのさ?」
「あいつを取り巻く環境全部」
――つまり、サディアスさんが身分を捨てれば……?
「あ、変なコト考えないでくださいね」
先に言われてしまった。……でも、ほんの少しずつではあるけど、彼らの関係も動いているんだろう。ニコロの首筋に見えるサディアスさんの独占欲。ニコロは気付いていないのかな。
「ニコロはサディアスさんの幸せを願っているんだよね……?」
「そう見えます?」
こくりとうなずいた。サディアスさんを突き放せないでいるのは、ニコロの優しさなのか甘さなのか。突き放したつもりなのかもしれないけれど、サディアスさんは諦めないでニコロを口説いているのか。
「公開告白の件もあるしね?」
「サディアスの具合が悪かったからでしょう。少し考えればわかることです」
それは違うと思うけど……。
「って言うかアレの後からまた色々言われるようになったし……」
「え?」
「ヒビキさまには関係ないことですよ」
やっぱりなにか言われていたのかな。だから、サディアスさんのことに消極的だった? おれが口を開く前に、バンッと扉が乱暴に開いた。そこに居たのはルードとサディアスさんで、サディアスさんはニコロのほうへと駆け足で近寄る。
「どこから聞いていたんですか」
おれが呆れたように近付いてきたルードに尋ねると、ルードは「ニコロの『あいつを取り巻く環境全部』から」と答えた。
「――なにを言われたの?」
サディアスさんの低い声が部屋の中に響く。ニコロは唇を閉ざして、サディアスさんから逃げるように一歩下がった。ニコロを掴まえようとサディアスさんの手が伸びる。だけど、ニコロは静かに微笑んだ。
「お前には関係ない」
ばっさり。そんな言葉がぴったりだ。ニコロは告げるつもりないみたいで、おれはどうしたら良いのだろうとルードを見上げる。ルードはそんなおれの視線を受けて、口を開いた。
「『サディアスへ取り入った庶民』、『躰を売っている』が主だったか?」
「隊長!?」
ぎょっとしたのはニコロだ。おれの前でルードがそんなことを言うとは思わなかったのだろう。
「『むしろサディアスのほうが抱かれているんじゃないか』という噂話もあったな」
「わぁ……」
……誰が言っていたかは知らないけれど、中々に棘のある言葉の数々だ。それに、ルードの口ぶりからするにまだまだありそう。
サディアスさんは「……そう」と口にした。そして、ゆっくりと顔をルードに向ける。その表情はとても怖かった。目のハイライトが消えていますよ、サディアスさん!
「あーもう、こうなるだろうから言わなかったのに!」
目を覚ませとばかりにサディアスさんの頭を叩くニコロ。その手を掴んでサディアスさんは微笑む。
「ね、言った人を教えて? ――この世に生まれたことを後悔させてあげるから」
「言うか!」
「聖騎士団の人? それとも王立騎士団? ――ああ、誰でも良いね。終わらせてあげよう、この国」
この人、怒らせるとダメな人だ……! アデルからの情報でなんとなくわかっていた気になっていたけど……! 国を滅ぼす方向に向かうか普通……!?
「……サディアス、これはあなたが招いたことだ」
そう、ルードが言い放った。
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