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この世界は

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リランディアに話しによると、昔は誰もが魔法を使えた訳ではなかった。まじないのようなものを使える人達が試行錯誤の上に出来上がったのが魔法。まじないは使う本人の感情に引っ張られて効果が表れるから不安定らしい。色んな話をしながら歩いているとあっという間に領主様の邸宅についた。


「さあ、ついたよ。レミは特に何もすることはないから僕の後を付いて大人しくしていてね。」

「はい」


門番の人に話しかけるとあっという間に応接間に案内される。さり気なく周りを見渡すとクラレンス様は豪邸って感じだったのを思い出す。何故か1か所だけ真っ黒い霧みたいなモノが出てるけど、ホラー展開だったらNGなので見ないふりしよう。座ってからお茶が出てきたと思えば領主様が入ってきた。うーんやっぱり白髪のイケオジだわ。


「リランディア様、お待たせしました。」

「ヴェルト伯爵、たいして待っていないから気にしないでくれ」

「ありがとうございます。」

「これが今回の栄養剤とポーションだ」

「最近は卸してくださる量が増えましたね。」

「ああ、彼女のおかげで卸せる量が増えただけだよ。今回は別の用があって来たんだ。」

「別の用事ですか?」

「ヴェルト伯爵の息子についてだけど、彼女なら治せると思う」

「彼女が?」


さっきまで穏やかだったヴェルト伯爵が少し強めの口調になった。


「…名のある神官や魔法使いにも治せなかったのですよ?」

「だろうね、僕もそれなりに魔法が使える方だけど僕じゃ治せない。でも彼女なら治せる。」

「何故ですか?」

「彼女の魔力が治癒に向いているのと、魔力の質かな…特殊なんだ」


トントン拍子に私がヴェルト伯爵の息子を治すことが決まっている。治癒魔法なんて使ったことないと思いながら、リランディアを見るとにっこり笑っていた。大人しくしてろと言われたからしているものの何だこのよく分からない状況は…。


「息子が目覚めてくれればもう、それだけで良いのです。頼んでもいいですか。」

「彼女と僕を息子の所まで案内してくれる?」


こちらです、と案内された場所はさっき見た真っ黒い霧の場所だった。ポツンとベットがあってそこに男の人が眠っていた。


「リランディア、私、怖いのダメなんだけど…何するの」

「黒い霧が見えてるだろう?」

「うん、ていうかあの鎖何?」

「鎖?」

「ヴェルト伯爵の息子さんの身体にすごい巻きついてるんだけど…怖いの本当に嫌なの、これ以上出てこないよね?」

「鎖か随分と頑丈だね、怖いの多分出てこないと思うけど。彼を治すことが目的だから、その鎖を外して霧を払うように想像してごらん、上手く想像出来たらそのまま魔力で包む感じ」


言われた通りにやってみたら上手くできたようで真っ黒い霧と鎖は無くなっていた。


「出来た?」

「成功だね、これで目覚めるよ」


それからすぐ彼は目覚めた。邪魔しないためにも私達は部屋を出ると使用人さんが同じ応接間に案内してくれる。帰ろうかと二人で話していたところにヴェルト伯爵がやってきてお礼がしたいから今日は泊まってほしいと懇願されてしまい、リランディアが断わっていたけど、根負けした。


「…どうするつもり?リランディア」

「そうだね、大人しくご飯食べて泊まって明日帰るしかないね。」


あははと笑うリランディア軽く睨んでいると使用人さん達がどばっとやってきて私とリランディアを引き離し、正装に着替えさせてくれた。そしてそのまま夕飯の待つ食堂まで案内してくれる。
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