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泣き腫らした目を隠すように眼鏡をかけて登校する。
帰ってすぐ冷やしたけれどあまり効果はなかったようだ。
主人公とはちがうクラス、セオドアとは学年がちがう。
1ヶ月に1度を目安に婚約者としてお茶会をするがせいぜい1時間ほど。特にデートみたいな外出もなかったし、基本的には忙しいセオドアに私が予定を合わせていたから学園に入って私にも用事が出来れば自然とお茶会自体が無くなるかもしれない。
フェードアウトする事が難しくないというのもなかなかに寂しいものがある。
ゲームのレイチェルはセオドアに少しでも構ってもらおうと暇があれば3年の教室に顔を出していたらしい。
同年代の友人はあまり作れていなかったかもしれない。
大丈夫。恋がなくても仕事と趣味。学生なら勉学と友人と趣味それがあれば十分幸せになれるはず。そもそもメインのストーリーはこの1年の話だし、1年を乗り越えるだけなら文字通りあっという間に過ぎ去るだろう。
下を向きそうになる心を無理やり上向かせ、教師の言葉に意識を向ける。
忘れないように所々メモを残しながらノートを埋めていく。
チャイムが鳴り、教材を仕舞おうと片付けているとふと視線を感じる。
隣を見ると、綺麗なアンバーの瞳と目が合った。
「あ、ごめんなさい。綺麗なノートだなって思って思わず」
「いえ、そう言っていただけると嬉しいです。えっと、エリーゼ・フォーミュラ様でしたかしら?レイチェル・アンブルと申します。」
「えぇ。エリーゼとお呼びください。レイチェル様とお呼びしてもよろしいかしら?」
エリーゼはフォーミュラ商会のご令嬢で、ハキハキとした明るい少女だった。
ノートを見せながら書き方のコツを少しだけ話した。
目をキラキラさせながら話を聞いてくれる彼女は
新商品のヒントにならないかしらと可愛らしく首を傾げている。
実家の商会の手伝いもしているという彼女はなかなかに好奇心旺盛で、博識である。
すっかり意気投合して、ランチも一緒に過ごした。
授業も問題なく進みあっという間に下校時間となる。
持つべきものは友人。充実した学園生に欠かせないポイントだわ。
この調子なら本当に気がついたらエンディングかもしれないわね。
エリーゼに感謝しないとと彼女の方を向くとニコニコと話し掛けられる。
「レイチェル様!お店にお菓子の新商品が入荷しましたの。もしよろしければ、近いうちにお茶会にご招待させてくださいませ!!」
「ええ!是非!私は何時でも大丈夫ですからご都合がよろしい時に是非お声がけください」
「ありがとうございます!では早速帰って予定を確認しますわね!!それではごきげんよう!!」
にこやかに手を振りながら席を立つエリーゼに手を振り返す。
今まではセオドアに合わせられるように、外せない予定以外は基本的に入れてこなかった。
が、今はこの心の隙間を埋めるためにもガンガン予定を入れていこう!
いつもであればこの時期に次のお茶会の予定を伺う手紙をセオドアに出していたが、今月はひとまず送らないことに決めた。
代わりに色んな人に会ってみよう。婚約が破棄になってしまったら新しい相手も早く見つけないといけないだろうし。
苦い思いに思わず自嘲気味に笑う。
さて、私も帰りますかと鞄を持ち上げたところで、教室内がザワザワと騒がしくなる。
「レイチェル様?レイチェル様をお呼びの方がいらっしゃってるようですわ」
帰ったはずのエリーゼの声にはて、と首を傾げる。入学してまだ2日目、クラスメイト以外にはまだ友人と呼べるような人は居ない。私に用事??
ザワつく教室の入口に目を向け、ガタンと鞄を落とす。
「え?セオドア様?」
帰ってすぐ冷やしたけれどあまり効果はなかったようだ。
主人公とはちがうクラス、セオドアとは学年がちがう。
1ヶ月に1度を目安に婚約者としてお茶会をするがせいぜい1時間ほど。特にデートみたいな外出もなかったし、基本的には忙しいセオドアに私が予定を合わせていたから学園に入って私にも用事が出来れば自然とお茶会自体が無くなるかもしれない。
フェードアウトする事が難しくないというのもなかなかに寂しいものがある。
ゲームのレイチェルはセオドアに少しでも構ってもらおうと暇があれば3年の教室に顔を出していたらしい。
同年代の友人はあまり作れていなかったかもしれない。
大丈夫。恋がなくても仕事と趣味。学生なら勉学と友人と趣味それがあれば十分幸せになれるはず。そもそもメインのストーリーはこの1年の話だし、1年を乗り越えるだけなら文字通りあっという間に過ぎ去るだろう。
下を向きそうになる心を無理やり上向かせ、教師の言葉に意識を向ける。
忘れないように所々メモを残しながらノートを埋めていく。
チャイムが鳴り、教材を仕舞おうと片付けているとふと視線を感じる。
隣を見ると、綺麗なアンバーの瞳と目が合った。
「あ、ごめんなさい。綺麗なノートだなって思って思わず」
「いえ、そう言っていただけると嬉しいです。えっと、エリーゼ・フォーミュラ様でしたかしら?レイチェル・アンブルと申します。」
「えぇ。エリーゼとお呼びください。レイチェル様とお呼びしてもよろしいかしら?」
エリーゼはフォーミュラ商会のご令嬢で、ハキハキとした明るい少女だった。
ノートを見せながら書き方のコツを少しだけ話した。
目をキラキラさせながら話を聞いてくれる彼女は
新商品のヒントにならないかしらと可愛らしく首を傾げている。
実家の商会の手伝いもしているという彼女はなかなかに好奇心旺盛で、博識である。
すっかり意気投合して、ランチも一緒に過ごした。
授業も問題なく進みあっという間に下校時間となる。
持つべきものは友人。充実した学園生に欠かせないポイントだわ。
この調子なら本当に気がついたらエンディングかもしれないわね。
エリーゼに感謝しないとと彼女の方を向くとニコニコと話し掛けられる。
「レイチェル様!お店にお菓子の新商品が入荷しましたの。もしよろしければ、近いうちにお茶会にご招待させてくださいませ!!」
「ええ!是非!私は何時でも大丈夫ですからご都合がよろしい時に是非お声がけください」
「ありがとうございます!では早速帰って予定を確認しますわね!!それではごきげんよう!!」
にこやかに手を振りながら席を立つエリーゼに手を振り返す。
今まではセオドアに合わせられるように、外せない予定以外は基本的に入れてこなかった。
が、今はこの心の隙間を埋めるためにもガンガン予定を入れていこう!
いつもであればこの時期に次のお茶会の予定を伺う手紙をセオドアに出していたが、今月はひとまず送らないことに決めた。
代わりに色んな人に会ってみよう。婚約が破棄になってしまったら新しい相手も早く見つけないといけないだろうし。
苦い思いに思わず自嘲気味に笑う。
さて、私も帰りますかと鞄を持ち上げたところで、教室内がザワザワと騒がしくなる。
「レイチェル様?レイチェル様をお呼びの方がいらっしゃってるようですわ」
帰ったはずのエリーゼの声にはて、と首を傾げる。入学してまだ2日目、クラスメイト以外にはまだ友人と呼べるような人は居ない。私に用事??
ザワつく教室の入口に目を向け、ガタンと鞄を落とす。
「え?セオドア様?」
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