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恋の焼け跡④
気が気じゃない会話
しおりを挟む「澪様」
「は、はい!?」
緊張に耐えかね、固唾を飲み込む。
「千鶴様から常々、お話を伺ってはおりましたが……」
「……はいっ」
変な汗が頭から垂れ流れてきた。
「挙式は地上を見下ろしての星空、とのことで?」
「は、はい!?」
「いやぁ~この貝森、そのようなロマンチックなプランを千鶴様からお聞きした時には、胸が高鳴りましたぞ!
永遠の愛は銀河で誓われるのですな!?ほっほ!これはこれは、挙式が楽しみで眠れませんな!」
……何だか私の思い過ごしだったみたい。
この人も、千鶴属性の人間だわ。
そんな私の憂いも貝森さんのサンタクロースを連想させるおおらかな笑い声の前では、小さなゴミのように思えてしまった。
「あの、そういえばどこへ向かってるんですか?」
華やかな世界に目が眩み、すっかり目的地を忘れ去ってしまった。
「おお、そうでしたな。
藤堂の別邸へ向かっている所でございます」
「べっ」
「おや、どうされましたか?」
「……いいえ」
一瞬だけ心臓が喉元まで上昇してきたが、それは俄かに沈んでいった。
いいわ、もう何があっても驚かない。
別邸でも、プライベートビーチでも、世界各国に所有する別荘でも、何でも来い。
「わたくしのお部屋なんですけど、今は別邸の方を使用していますの!」
一見嫌味に聞こえる発言だが、弥生ちゃんの可愛らしい声で話されると不思議にもそんな風には全く感じなかった。
むしろ鼓膜に優しく響くようだ。
「そうなんだ……あ、千鶴もそこに?」
話の流れの都合上、口が勝手にそれを聞いてしまった。
今はあまり千鶴のことを話題に出したくないというのに。
ふいに心臓が、針を刺されたように痛んだ。
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