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恋の焼け跡④
豪邸に招かれ…
しおりを挟むしばらく廊下を歩き続け、やっと弥生ちゃんの部屋へ辿り着いた。
慣れない土足が緊張を呼び、更にどっと疲れてしまった。
「どうぞ!お入りになって下さい」
弥生ちゃんはとても嬉しそうにニコニコと私の背中を押す。
促されるままにおずおずと入室すれば、夢のような空間が広がった。
まず目に入ったのが、天蓋付きの、いわゆるお姫様ベッド。
それもキングサイズではないかと思うほどで、女の子ひとりが寝るようなベッドじゃない。
まあ、これは一般人の感覚だけど。
「言葉にならないわ……ホントにすごいよ」
感心を込めて私は言った。
一言、とにかく綺麗。
薄紫の壁には花柄が散りばめられ、ベッドからかなり離れた向かい側の壁には、一面本棚が埋められていた。
窓からはバルコニーが見え、その向こうに広がる青空がいつもの空とは全く別の物に見えるほど、何もかもが素晴らしかった。
「わたくし本当に感激ですわ……別邸にはお友達も呼んだことがなくて」
弥生ちゃんは嬉しさで頬を紅潮させていた。
「そうなんだ?じゃあ、何で私を?」
ごく普通の質問をしたつもりだったのだが、何故か弥生ちゃんは再び口をつぐんだ。
施設にいる時から気にしていたが、何かが引っかかる。
もしかして何か隠していることがあるんじゃ?
私はなるべく顔をしかめないように努め、話題を変えた。
「あ、そうだ!
友達と写った写真、見たいな」
「……あ、はいっ、それならこの棚にありますわ!」
無理に作った笑顔はバレバレだった。
少し大人びた彼女だけれど、やはり子供であるが故なかなか嘘は完璧に吐けない。
弥生ちゃんは明らかに焦りながら本棚からアルバムを取り出してきた。
「真ん中にいるのがわたくしで、右隣にいる方が美咲さん。
左隣にいる方が梓さんですわ!」
「へ~、皆賢そうな子だねぇ」
まるでオバサンが口にする言葉が出てしまった。
まさしく、お嬢様学校!って感じのクラスだ。
弥生ちゃんはお上品に目を細めて微笑んでおり、自分が描いた絵を両手に持っている。
林檎とバナナと花が描かれたシンプルな静物画だったが、その確かなデッサン力には入賞も頷けた。
大人顔負けの腕前である。
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