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第二章
39.バスケットに男の生首をたくさん詰め込んでいた
しおりを挟む「どういうことだ?」
「カクカクシカジカってヤツ。あとで説明する」
「そんなので、こっちが納得するか!!あの女がじいちゃんを殺したのか?バスケットに男の生首をたくさん詰め込んでいた」
「空港から行きすがら、教会に規制線が張られていたのは、あの女が起こした事件かもしれないねえ。そして、未成年収容所から出された君もロンドンに」
「また、僕に罪を着せようと?」
「そんな些末な事件ではないよ」
「些末ぅ?!殺人犯にされそうになったんだぞ、僕」
「実に些末だ。我々の世界ではなね」
サライは死神の腕の中でもがく。
「なあ、あの女と戦ってとどめを刺してくれ!あんたなら勝てるだろ?」
「落ち着きたまえ。戻ったとしてももうリチャード・クリスティンの社屋から追い出されている。連中が捕まえたいのはドブネズミとアンジェロだからね」
「グルなんだろう?!」
「どうかな。あの女が素直に誰かの下につくとは思えない。だとしたら、やはり絵描きの差金か?」
「また絵描き?」
「あ、目メジャーの絵描きとは別だから」
「おい。あの女は、人じゃないよな?」
「まあね」
「あんた、さっき、絵描きって言ったな。そいつらが描くのは……」
「物。風景。そして」
死神がロンドンの夜景を見つめる。
「勿体ぶらずに言えよっ!。あの女、絵の中から出てきたってことだな?」
「我々の世界では、肉体を持つ絵の登場人物のことをマテリアと呼ぶ。つまり、君がまともに戦っても勝てない相手」
「ロレンツォ公!だから、頼む!その鎌であの女を。一生奴隷でいい。あんたが依頼するネットのダークな仕事は全部する。それで警察に捕まっても構わない」
「ハハハ」
と死神が笑う。
「今まで何を聞いていた?ベアリング・キャット殿。まともに戦っても勝てないと私は言っただろ?君は特定屋だ。その能力は何のためにある?」
「やりようによっては、僕にも勝機があるってことか?」
「肉弾戦ならまあ、勝ち目は無いだろうさ。あの女の剣戟は凄まじい。アンジェロも呆気に取られていた。音楽学校の練習室に突撃してきたからね」
サライは凄まじい速さで動いていた女を脳裏に思い浮かべる。
そして、ちょっと待て、と思った。
「アンジェロは既に会っていたのか?どうやって助かった?」
「私が助けた。この格好でね」
「あんたの本性は?」
黒衣の巨体は、ぬっと顔を近づけてくる。
「どこかで見たことがあるぞ!あ、バーントなんとか。そうだ!館の壁に飾られていたでかい死神そのものじゃないか!!」
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