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第十九話 未知の体験
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「すごい、屋台がこんなにもたくさんあるんですね!」
周りをきょろきょろと見まわしながら、クルトは歓声を上げる。
道には串焼き、ドーナッツ、酒、小物などを売る様々な屋台が立ち並んでおり、街はいい香りで満たされてる。
多くの人が思い思いに買い物を楽しんでおり、中には異国から来たと思われる人も混じっていた。
「おい、気を付けないと馬車に轢かれるぞ」
バルハルトにそう言われ腕を掴まれながら、クルトは街の香りを胸一杯に吸い込んだ。
神殿で暮らしていたら知ることなどなかったであろうそれは、クルトの期待を高めるには十分だった。
「バルハルト殿、あそこの鶏の串焼きを食べてみましょうよ、脂がたっぷりでおいしそう!」
彼の腕を引っ張りながらクルトがその屋台へ向かっていけば、バルハルトは苦笑しながらもついてきた。
「色々な味があるんですね!バルハルト殿はどれにしますか?」
「私は塩味にしよう。クルトはどうする?」
「私も同じのにします」
食べたい物を決めるとクルトは屋台の店主に声を掛け、注文する。
クルトが財布をポケットから引っ張り出そうとすると、横から手が伸びてきてさっさと支払ってしまった。
「自分の分くらいは流石に自分で払います!!」
「まだお前に今月分の給料は渡してないのだから、今日は私が払う」
彼の口調から決して引かない、という意思を感じ取ったクルトはそれ以上断るのも気が引け、彼の好意に甘えることにした。
「じゃあ次また街に遊びにいくことがあったら、私が払いますね」
そんな話をしている間に、店主は鶏肉を炙り始めており、香ばしい匂いがあたりいっぱいに広がり、クルトは腹が鳴ってしまいそうになった。
あっという間に串焼きは出来上がり、クルトとバルハルトはそれを受け取ると近くにあったベンチに腰掛けた。
一口かぶりつけば口の中には肉汁が溢れ、そしてしっかり目についた塩味が食欲をそそる。
「美味しいっ!!」
一口、また一口とクルトは夢中になって串焼きを食べていく。皮の部分もこんがりと焼けていてパリパリとしている。
「やはりここの串焼きは旨いな」
先に食べ終わったバルハルトが口元を拭いながら呟く。
「バルハルト殿はここのを食べたことがあったんですか?」
「ああ。よく騎士学校の授業を抜け出しては街に繰り出し、買い食いをしていたな」
いかにも真面目一徹な彼が学校の授業を抜け出して、買い食いをしていたことが想像できず、クルトは首を傾げた。
堅物として世間に知られている彼にそんな過去があったなんて誰が想像しようか。
「意外とやんちゃだったんですね」
最後の一口を食べながらクルトが相槌を打つと彼は微かに頷き、少し懐かしむような顔をした。
「一緒に抜け出した友人のうちの何人かとはもう会うことはできないが、いい思い出だ」
そう言いながら彼はベンチから立ち上がり、クルトに次はどこに行きたいか尋ねてきた。
クルトは彼の先ほどの感傷に浸るような、少し寂しげな顔を思いだし口を開いた。
「じゃあバルハルト殿が昔行った屋台のものが食べたいです」
周りをきょろきょろと見まわしながら、クルトは歓声を上げる。
道には串焼き、ドーナッツ、酒、小物などを売る様々な屋台が立ち並んでおり、街はいい香りで満たされてる。
多くの人が思い思いに買い物を楽しんでおり、中には異国から来たと思われる人も混じっていた。
「おい、気を付けないと馬車に轢かれるぞ」
バルハルトにそう言われ腕を掴まれながら、クルトは街の香りを胸一杯に吸い込んだ。
神殿で暮らしていたら知ることなどなかったであろうそれは、クルトの期待を高めるには十分だった。
「バルハルト殿、あそこの鶏の串焼きを食べてみましょうよ、脂がたっぷりでおいしそう!」
彼の腕を引っ張りながらクルトがその屋台へ向かっていけば、バルハルトは苦笑しながらもついてきた。
「色々な味があるんですね!バルハルト殿はどれにしますか?」
「私は塩味にしよう。クルトはどうする?」
「私も同じのにします」
食べたい物を決めるとクルトは屋台の店主に声を掛け、注文する。
クルトが財布をポケットから引っ張り出そうとすると、横から手が伸びてきてさっさと支払ってしまった。
「自分の分くらいは流石に自分で払います!!」
「まだお前に今月分の給料は渡してないのだから、今日は私が払う」
彼の口調から決して引かない、という意思を感じ取ったクルトはそれ以上断るのも気が引け、彼の好意に甘えることにした。
「じゃあ次また街に遊びにいくことがあったら、私が払いますね」
そんな話をしている間に、店主は鶏肉を炙り始めており、香ばしい匂いがあたりいっぱいに広がり、クルトは腹が鳴ってしまいそうになった。
あっという間に串焼きは出来上がり、クルトとバルハルトはそれを受け取ると近くにあったベンチに腰掛けた。
一口かぶりつけば口の中には肉汁が溢れ、そしてしっかり目についた塩味が食欲をそそる。
「美味しいっ!!」
一口、また一口とクルトは夢中になって串焼きを食べていく。皮の部分もこんがりと焼けていてパリパリとしている。
「やはりここの串焼きは旨いな」
先に食べ終わったバルハルトが口元を拭いながら呟く。
「バルハルト殿はここのを食べたことがあったんですか?」
「ああ。よく騎士学校の授業を抜け出しては街に繰り出し、買い食いをしていたな」
いかにも真面目一徹な彼が学校の授業を抜け出して、買い食いをしていたことが想像できず、クルトは首を傾げた。
堅物として世間に知られている彼にそんな過去があったなんて誰が想像しようか。
「意外とやんちゃだったんですね」
最後の一口を食べながらクルトが相槌を打つと彼は微かに頷き、少し懐かしむような顔をした。
「一緒に抜け出した友人のうちの何人かとはもう会うことはできないが、いい思い出だ」
そう言いながら彼はベンチから立ち上がり、クルトに次はどこに行きたいか尋ねてきた。
クルトは彼の先ほどの感傷に浸るような、少し寂しげな顔を思いだし口を開いた。
「じゃあバルハルト殿が昔行った屋台のものが食べたいです」
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