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第二十話 あなたは誰?
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串焼き屋の後、二人はドーナツ屋や、カットした果物を売る屋台などの様々な店を訪れ、料理やスイーツを思う存分楽しんだ。
「もうお腹いっぱいです.......。これ以上は食べられないです」
満足げな笑みを浮かべながらお腹をさするクルトに、バルハルトは呆れたような笑みを浮かべた。
「お前は食べすぎだ。ドーナツを二つも食べて、おまけに辛いスープも飲んでいたんだから当然だ」
「食べ物が美味しすぎるのが悪いんですよ~」
口を尖らせてクルトが言い訳をしていると、ちょうど反対側から歩いてきた人と肩がぶつかってしまった。
「あっ、ごめんなさい。前を見てませんでした」
クルトが慌てて謝れば相手もゆったりと笑いながら謝ってきた。
「いえいえ、私の方こそ周りを確認していませんでしたから」
そういうのは豊かな商人の子息風の青年だった。
年の頃はバルハルトと同じくらいで、柔らかそうな金髪を一つにまとめ、蒼い瞳には穏やかな光が浮かんでいた。
彼はクルトから隣に立っているバルハルトに目を移すと、おやっと眉を上げた。
「お前はバルハルトじゃないか?街に繰り出すとは珍しいね。普段は館に引きこもっていると聞いていたけど」
「.......ご無沙汰しております。普段館から出ないのは、特に用事がないからです」
むっつりとした、不機嫌そうな表情を隠すこともせず、バルハルトは挨拶をする。
(あれ?もしかしてバルハルトの知り合いかな。珍しいなあ、バルハルトが使用人以外と話しをしているのを見るのは初めてかも)
バルハルトと青年の会話に耳をそば立てていると、不意に青年がこちらを向いた。
「先ほどはごめんね。ところで君のこと、どこかで見たことある気がするんだよなー?神殿だっけ?」
彼のその一言でクルトは飛び上がりそうになった。
(もしかして知り合い?でもこんな人見たことあったっけ?元神官とバレたら蔑まれるかな?)
彼のことを恐る恐る見上げ、震える声で否定する。
「いえ……気のせいでは?あなたにお会いしたことはないと思いますが」
目を泳がせながら、そろりそろりとバルハルトの背後に隠れようとするが、そんなクルトに青年はさらに追い打ちをかけた。
「いや、やっぱり君のこと見たことあるなあ。君、マクシミリアンの番だった子だよね」
クルトの耳元で囁かれたその言葉に、クルトは青ざめ唇を噛み締めた。
「まったく……。バルハルトは何でこの子と一緒にいるのかな?本来ならこの子は神殿の外に出てはいけないはずなんだけど。まさか攫ってきたりした?」
軽い口調にも関わらず、彼の瞳に先程まであった穏やかな光は消えさり、代わりに二人を探るような、鋭い目つきで眺めてきた。
(この人…….、只者じゃない!!でも何故私のことを?この人は一体誰?)
取り乱しながらも横のバルハルトを見ると、彼も眉間に皺を寄せ何を言っているのか理解ができない、という顔をしていた。
「何をおっしゃっているのか分かりませんが」
彼はバルハルトの言葉にため息をつくと、ドンっとバルハルトの肩を叩いた。
「とりあえずお前の館に行こうか。ここだと聞かれたらまずいからね」
その声は妙に威厳があり、有無を言わせないものだった。
「もうお腹いっぱいです.......。これ以上は食べられないです」
満足げな笑みを浮かべながらお腹をさするクルトに、バルハルトは呆れたような笑みを浮かべた。
「お前は食べすぎだ。ドーナツを二つも食べて、おまけに辛いスープも飲んでいたんだから当然だ」
「食べ物が美味しすぎるのが悪いんですよ~」
口を尖らせてクルトが言い訳をしていると、ちょうど反対側から歩いてきた人と肩がぶつかってしまった。
「あっ、ごめんなさい。前を見てませんでした」
クルトが慌てて謝れば相手もゆったりと笑いながら謝ってきた。
「いえいえ、私の方こそ周りを確認していませんでしたから」
そういうのは豊かな商人の子息風の青年だった。
年の頃はバルハルトと同じくらいで、柔らかそうな金髪を一つにまとめ、蒼い瞳には穏やかな光が浮かんでいた。
彼はクルトから隣に立っているバルハルトに目を移すと、おやっと眉を上げた。
「お前はバルハルトじゃないか?街に繰り出すとは珍しいね。普段は館に引きこもっていると聞いていたけど」
「.......ご無沙汰しております。普段館から出ないのは、特に用事がないからです」
むっつりとした、不機嫌そうな表情を隠すこともせず、バルハルトは挨拶をする。
(あれ?もしかしてバルハルトの知り合いかな。珍しいなあ、バルハルトが使用人以外と話しをしているのを見るのは初めてかも)
バルハルトと青年の会話に耳をそば立てていると、不意に青年がこちらを向いた。
「先ほどはごめんね。ところで君のこと、どこかで見たことある気がするんだよなー?神殿だっけ?」
彼のその一言でクルトは飛び上がりそうになった。
(もしかして知り合い?でもこんな人見たことあったっけ?元神官とバレたら蔑まれるかな?)
彼のことを恐る恐る見上げ、震える声で否定する。
「いえ……気のせいでは?あなたにお会いしたことはないと思いますが」
目を泳がせながら、そろりそろりとバルハルトの背後に隠れようとするが、そんなクルトに青年はさらに追い打ちをかけた。
「いや、やっぱり君のこと見たことあるなあ。君、マクシミリアンの番だった子だよね」
クルトの耳元で囁かれたその言葉に、クルトは青ざめ唇を噛み締めた。
「まったく……。バルハルトは何でこの子と一緒にいるのかな?本来ならこの子は神殿の外に出てはいけないはずなんだけど。まさか攫ってきたりした?」
軽い口調にも関わらず、彼の瞳に先程まであった穏やかな光は消えさり、代わりに二人を探るような、鋭い目つきで眺めてきた。
(この人…….、只者じゃない!!でも何故私のことを?この人は一体誰?)
取り乱しながらも横のバルハルトを見ると、彼も眉間に皺を寄せ何を言っているのか理解ができない、という顔をしていた。
「何をおっしゃっているのか分かりませんが」
彼はバルハルトの言葉にため息をつくと、ドンっとバルハルトの肩を叩いた。
「とりあえずお前の館に行こうか。ここだと聞かれたらまずいからね」
その声は妙に威厳があり、有無を言わせないものだった。
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