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第八話 悶絶
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屋敷に戻り自室に着いてから、俺はじわじわと込み上げてくる喜びを、噛み締めていた。
「……蕭将軍の手、大きくて温かかった……」
剣をずっと握っているせいでできるタコも、ゴツゴツと骨ばった指も、全てが最高だった。
「やばい、想像していた百倍カッコいい……」
俺は一人で部屋をぐるぐると無駄に歩きながら、この気持ちを咀嚼しようとしていた。
何より驚いたのは、蕭将軍はとてもいい香りだったことだ。武人だから汗の匂いがするかと思いきや、香のいい匂いを纏っていた。
「カッコいいだけでなく、いい香りまでするなんて」
推しの概念香水ではなく、実際の推しの香りを嗅いだのは、俺が人類で初かもしれない。
「あーやばい!まだ心臓がどきどきする」
気持ちを消化できず、俺は布団にダイブした。そのまま手足をばたばたと動かして、気持ちを落ち着けようとする。
しかしなかなか落ち着かず、一人で悶絶していた時。
誰かが部屋の戸を叩いてきた。
「兄上、入ってもいい?」
「翠麗、何の用?」
先ほどまで騒いでいたせいで、ちょっと恥ずかしいが俺は何食わぬ顔で彼女に尋ねた。
「兄上うるさすぎ。帰って来てからずっと蕭将軍のことばかりって侍女が文句言っていたよ」
翠麗の部屋の方まで聞こえているとは、流石に思っていなかった。
「ごめんって!でも蕭将軍すごくカッコいいんだ。しかも何と!!いい匂いまでするんだ」
そこまで俺はべらべらと話した後、ふっとある考えが浮かんできた。
「翠麗、お前は将軍のことどう思う?男前で素晴らしい男性だと思わないか?」
「えっ?おじさんでしょ」
ばっさりと切り捨てる翠麗に俺は口をあんぐりと開けた。
(17歳から見た26歳はおじさんなのか……)
あわよくば推しを身内に引き入れようとしたが、どうやら難しそうだ。
「はあ……俺は蕭将軍との繋がりが欲しいんだ」
「なんで?あんなに嫌っていたのに」
妹ですらそういう認識であるということは、明星と将軍は本当に仲が悪かったのだろう。
「今は違うんだ。俺は将軍の漢気に惚れたんだ。あれこそまさに男の中の男!そう思わない?」
俺が熱く語っているのに、翠麗は何故か若干冷たい眼差しで眺めてきている。
「何か問題ある?」
「…….ちょっと気持ち悪い」
翠麗の容赦ない言葉に、俺は心を抉られた。確かに気持ち悪く見えるかもしれないが、これはまごうことなき愛なのだ。推しへの愛だ。
「まあ理解してもらえなくてもいいよ。俺は明日将軍に会う為に早く家を出ていくからね」
「はーい」
彼女はうるさいと苦情を入れるのが目的だったのだろう、さっさと部屋から出ていった。
翠麗が出て行った後、俺は急にどっと疲れに襲われた。今日一日中気が張り詰めていたのかもしれない。
今度こそ布団にちゃんと潜り込み目を瞑ると、俺は一気に眠気に襲われた。
「……蕭将軍の手、大きくて温かかった……」
剣をずっと握っているせいでできるタコも、ゴツゴツと骨ばった指も、全てが最高だった。
「やばい、想像していた百倍カッコいい……」
俺は一人で部屋をぐるぐると無駄に歩きながら、この気持ちを咀嚼しようとしていた。
何より驚いたのは、蕭将軍はとてもいい香りだったことだ。武人だから汗の匂いがするかと思いきや、香のいい匂いを纏っていた。
「カッコいいだけでなく、いい香りまでするなんて」
推しの概念香水ではなく、実際の推しの香りを嗅いだのは、俺が人類で初かもしれない。
「あーやばい!まだ心臓がどきどきする」
気持ちを消化できず、俺は布団にダイブした。そのまま手足をばたばたと動かして、気持ちを落ち着けようとする。
しかしなかなか落ち着かず、一人で悶絶していた時。
誰かが部屋の戸を叩いてきた。
「兄上、入ってもいい?」
「翠麗、何の用?」
先ほどまで騒いでいたせいで、ちょっと恥ずかしいが俺は何食わぬ顔で彼女に尋ねた。
「兄上うるさすぎ。帰って来てからずっと蕭将軍のことばかりって侍女が文句言っていたよ」
翠麗の部屋の方まで聞こえているとは、流石に思っていなかった。
「ごめんって!でも蕭将軍すごくカッコいいんだ。しかも何と!!いい匂いまでするんだ」
そこまで俺はべらべらと話した後、ふっとある考えが浮かんできた。
「翠麗、お前は将軍のことどう思う?男前で素晴らしい男性だと思わないか?」
「えっ?おじさんでしょ」
ばっさりと切り捨てる翠麗に俺は口をあんぐりと開けた。
(17歳から見た26歳はおじさんなのか……)
あわよくば推しを身内に引き入れようとしたが、どうやら難しそうだ。
「はあ……俺は蕭将軍との繋がりが欲しいんだ」
「なんで?あんなに嫌っていたのに」
妹ですらそういう認識であるということは、明星と将軍は本当に仲が悪かったのだろう。
「今は違うんだ。俺は将軍の漢気に惚れたんだ。あれこそまさに男の中の男!そう思わない?」
俺が熱く語っているのに、翠麗は何故か若干冷たい眼差しで眺めてきている。
「何か問題ある?」
「…….ちょっと気持ち悪い」
翠麗の容赦ない言葉に、俺は心を抉られた。確かに気持ち悪く見えるかもしれないが、これはまごうことなき愛なのだ。推しへの愛だ。
「まあ理解してもらえなくてもいいよ。俺は明日将軍に会う為に早く家を出ていくからね」
「はーい」
彼女はうるさいと苦情を入れるのが目的だったのだろう、さっさと部屋から出ていった。
翠麗が出て行った後、俺は急にどっと疲れに襲われた。今日一日中気が張り詰めていたのかもしれない。
今度こそ布団にちゃんと潜り込み目を瞑ると、俺は一気に眠気に襲われた。
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