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再会
ガールズトーク
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友達は散々私をバカにした後、少し時間を置くように言ってくれた。その後すぐにのーへ更なるアタックを掛けてしまうとヤバイ女だと避けられてしまうからなんだとか。
何か変な女だったな、と戸惑った際の記憶を処理するだけの時間を置けば、それほど構えられずに話を聞いてくれるんじゃないかな、という予想。
う~ん、のーはそこまで戸惑っていた訳ではないし、私の事を変な女だって目では見てなかったと思うんだけど。
「そんなの恋する乙女フィルターが掛かってるあんたの目で分かる訳ないでしょ?」
そんなフィルターなんて掛かってない。と思う。多分。……、恐らく。
「それより何であの先輩の事が好きになったのか詳しく聞かせなさいよ。確かに顔は良いと思うけどね。
あ、今日あんたの部屋に泊まりに行くわ。はい決定」
また勝手に決めて。世話好きなのかお節介なのか。これも尾張女の性なんやろか。知らんけど。
「泊まるのはいいけどさ、料理手伝ってよ? 私が準備してんのに1人だけゴロゴロすんのナシだからね」
はいはい分かった分かった、と気のない返事をする友達。これは分かってないパターンですね。帰りのスーパーでの支払いを大めに負担させなければならない。
「幼馴染かぁ~」
「5歳までだけどねぇ~」
お互い18歳。お泊りと言ってもお酒を飲むという事もなく、本当にただどちらかの家に行ってご飯食べて寝るだけ。今もご飯を食べ終えてからのスイーツタイム。コンビニだからと侮るなかれ。
「ちなちゃんはおらんの?」
「いない。
ってか真菜は初恋がまだ終わってないって事か。何か羨ましいな」
初恋、である事は間違いない。けれど、のーは私の事が分からなかったみたいだし、ちょっとしたハートブレイクなんじゃないかな。
「えー、でも今の真菜が分からないからって、5歳の時の真菜を忘れてるとは限らないっしょ?」
「ん? んー……」
そらそやけども。
でも今さら「覚えてますか?」って聞くのもタイミング逃してる感あるし、ねぇ?
「憑いてるって言ったんは関西人特有の悪ノリでしたっていう事にすれば良くない?」
「はぁ!? 一番ハズいヤツやんそんなんっ!!」
「自業自得でしょうに」
「ぐっ……!!」
あの時は本当にどうにかしてた。取り消したいあの時の自分の行動を。まるで何かに取り憑かれたようにあんな行動をしてしまったの。そう、憑かれているのは彼ではなく私だったのだっ……!!
「現実逃避すんのはいいけどさ、このままって訳にも行かないと思うのよねぇ」
「はい、私はどうしたらいいのでしょうか」
私は座布団の上で正座をし、膝に手を置いて姿勢を正した。友達、江藤千夏は何だかんだ言って面倒見の良い女なのだ。きっと何とかしてくれるのだ。そうに決まってるのだ!
「だからちょっと時間を空けなさいって言ってんでしょ? 向こうから話し掛けてくれるなら答えればいいけど、そうじゃないなら待つしかないでしょうに」
「だぁ~っ! 期待して損したっ」
「だから自業自得だと言うておろうが。
それより何で憑いてるって言っちゃったの。普通に話しかけて、普通に覚えてますかって聞いて、覚えてなくても自分が幼馴染だって言って、久しぶりですねお茶でもしばきませんかって持って行けただろうに」
「茶ゃしばくとか今時ないわ~、女からナンパとかないわ~」
「私の地元では割とするんだけどね。まぁあんたの場合はナンパとは事情が違うんだから、堂々と誘えば良かったのに。
あ~、自分からチャンスを逃す星の元に生まれたんだぁねぇ~」
う~ん、そんな事ないんだけどなぁ。特別運が悪いって自覚もないし、ドジっ娘属性なんてのも今までなかったし。
小学校の時の劇でシンデレラ役をした事もある。告白した事はないけどされた事はあるし、何なら後輩の女の子から迫られたまである。
あ、最後のだけちょっと方向性が違うけど。
「もしかしてさ、憑かれてんのはその先輩じゃなくって、真菜なんじゃない?」
「はぁ? 何でそうなんのよ」
「だってさ、会いたくて会いたくてわざわざこっちに進学してさ、さぁ目の前に再会を願っていたあの人がいるって時に、訳分からん事が口から出たっておかしいでしょうに」
うん、私もそれはおかしいって思ってるよ。しっかりしろよってセルフツッコミ入れたよ。
「だからさ、あんたに何か悪いのが憑いてて、その時だけその霊に言わされたんじゃないの?」
うん?
「あんたに憑いてるのが悪さして、幼馴染の2人を引き離そうとしてる、とか」
えー、さすがにそれは、ねぇ……?
「もしそうだとしたら、間を開けようが何しようが関係ないよね。そもそもの原因である真菜の背中にいる何かをどうにかしないと」
「やっ、止めぇや突然! ゆゆゆっ、幽霊なんている訳にゃいやろっ!!」
「いやいや言い出したのはあんただからね……」
「そそそっ、それこそ私そんなんいうキャラやないしっ! って、やっぱり……!?」
えーっ、いつの間にそんなん連れて来てしもたんや!? どうしよ、どうしよ……。
「さて、そろそろシャワー借りようかな」
「あっ! 私も一緒に入る!!」
何か変な女だったな、と戸惑った際の記憶を処理するだけの時間を置けば、それほど構えられずに話を聞いてくれるんじゃないかな、という予想。
う~ん、のーはそこまで戸惑っていた訳ではないし、私の事を変な女だって目では見てなかったと思うんだけど。
「そんなの恋する乙女フィルターが掛かってるあんたの目で分かる訳ないでしょ?」
そんなフィルターなんて掛かってない。と思う。多分。……、恐らく。
「それより何であの先輩の事が好きになったのか詳しく聞かせなさいよ。確かに顔は良いと思うけどね。
あ、今日あんたの部屋に泊まりに行くわ。はい決定」
また勝手に決めて。世話好きなのかお節介なのか。これも尾張女の性なんやろか。知らんけど。
「泊まるのはいいけどさ、料理手伝ってよ? 私が準備してんのに1人だけゴロゴロすんのナシだからね」
はいはい分かった分かった、と気のない返事をする友達。これは分かってないパターンですね。帰りのスーパーでの支払いを大めに負担させなければならない。
「幼馴染かぁ~」
「5歳までだけどねぇ~」
お互い18歳。お泊りと言ってもお酒を飲むという事もなく、本当にただどちらかの家に行ってご飯食べて寝るだけ。今もご飯を食べ終えてからのスイーツタイム。コンビニだからと侮るなかれ。
「ちなちゃんはおらんの?」
「いない。
ってか真菜は初恋がまだ終わってないって事か。何か羨ましいな」
初恋、である事は間違いない。けれど、のーは私の事が分からなかったみたいだし、ちょっとしたハートブレイクなんじゃないかな。
「えー、でも今の真菜が分からないからって、5歳の時の真菜を忘れてるとは限らないっしょ?」
「ん? んー……」
そらそやけども。
でも今さら「覚えてますか?」って聞くのもタイミング逃してる感あるし、ねぇ?
「憑いてるって言ったんは関西人特有の悪ノリでしたっていう事にすれば良くない?」
「はぁ!? 一番ハズいヤツやんそんなんっ!!」
「自業自得でしょうに」
「ぐっ……!!」
あの時は本当にどうにかしてた。取り消したいあの時の自分の行動を。まるで何かに取り憑かれたようにあんな行動をしてしまったの。そう、憑かれているのは彼ではなく私だったのだっ……!!
「現実逃避すんのはいいけどさ、このままって訳にも行かないと思うのよねぇ」
「はい、私はどうしたらいいのでしょうか」
私は座布団の上で正座をし、膝に手を置いて姿勢を正した。友達、江藤千夏は何だかんだ言って面倒見の良い女なのだ。きっと何とかしてくれるのだ。そうに決まってるのだ!
「だからちょっと時間を空けなさいって言ってんでしょ? 向こうから話し掛けてくれるなら答えればいいけど、そうじゃないなら待つしかないでしょうに」
「だぁ~っ! 期待して損したっ」
「だから自業自得だと言うておろうが。
それより何で憑いてるって言っちゃったの。普通に話しかけて、普通に覚えてますかって聞いて、覚えてなくても自分が幼馴染だって言って、久しぶりですねお茶でもしばきませんかって持って行けただろうに」
「茶ゃしばくとか今時ないわ~、女からナンパとかないわ~」
「私の地元では割とするんだけどね。まぁあんたの場合はナンパとは事情が違うんだから、堂々と誘えば良かったのに。
あ~、自分からチャンスを逃す星の元に生まれたんだぁねぇ~」
う~ん、そんな事ないんだけどなぁ。特別運が悪いって自覚もないし、ドジっ娘属性なんてのも今までなかったし。
小学校の時の劇でシンデレラ役をした事もある。告白した事はないけどされた事はあるし、何なら後輩の女の子から迫られたまである。
あ、最後のだけちょっと方向性が違うけど。
「もしかしてさ、憑かれてんのはその先輩じゃなくって、真菜なんじゃない?」
「はぁ? 何でそうなんのよ」
「だってさ、会いたくて会いたくてわざわざこっちに進学してさ、さぁ目の前に再会を願っていたあの人がいるって時に、訳分からん事が口から出たっておかしいでしょうに」
うん、私もそれはおかしいって思ってるよ。しっかりしろよってセルフツッコミ入れたよ。
「だからさ、あんたに何か悪いのが憑いてて、その時だけその霊に言わされたんじゃないの?」
うん?
「あんたに憑いてるのが悪さして、幼馴染の2人を引き離そうとしてる、とか」
えー、さすがにそれは、ねぇ……?
「もしそうだとしたら、間を開けようが何しようが関係ないよね。そもそもの原因である真菜の背中にいる何かをどうにかしないと」
「やっ、止めぇや突然! ゆゆゆっ、幽霊なんている訳にゃいやろっ!!」
「いやいや言い出したのはあんただからね……」
「そそそっ、それこそ私そんなんいうキャラやないしっ! って、やっぱり……!?」
えーっ、いつの間にそんなん連れて来てしもたんや!? どうしよ、どうしよ……。
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