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Main story
忘れた原因を探る
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いつも通り寝た。次の日、知らない女の子に起こされた。以上。
簡単に述べるとこれで済む、今朝から俺の身に起きている話。
ややこしい事に、以前離れた場所で共に過ごした女の子と再会したのも今日なのだが、前者と後者を混ぜるとより複雑な話になるのでとりあえず置いておこう。
そもそもタイミングがたまたま重なっただけで、二つの出来事には因果関係があるとは思えない。
東城さんと再会した次の日に、羽那子を忘れたという順番であれば別だが、そうではない。
「うーん、記憶を失う時というのは何かきっかけがあるはずなのよ。外的な要因か、もしくは内面的な要因か。
外的要因というのは、例えば鈴井君が事故に遭ったとか。逆に内面的要因として挙げるならば、藤村さんが事故に遭った瞬間を見てしまった、とかかしらねぇ。
でもそんな心当たり、町村君にはないのよね?」
「はい、ないと思います。はなちゃん、いや藤村さんは今朝いつも通りこの伊千郎を起こしている訳ですし、どちらも事故に遭っているはずありません」
いやいや民人君、違うでしょうに。
おばあちゃん先生は例えば、として事故の話をしただけで、事故に遭ってないから俺が記憶を失うほどの外的要因も内面的要因もないはずだ、という考えにはならないんだよ?
「事故以外でショックな出来事に遭遇したとかは?
周りの人が大きな病気に掛かったのが昨日分かったとか、大金を失ってしまったとか、信頼している誰かに裏切られてしまったとか」
大きなストレスを受ける事が引き金になり、一時的に記憶をなくすという事があるらしいとテレビでやっていたっけか。
でもおばあちゃん先生が言うように、目の前で大切な人を失ったとか、いじめの被害にあったとかとても大きなストレスを感じなければ、記憶を失うような大事にはならないと思うんだけど。
「裏切り……。お前もしかして、はなちゃんに浮気されたとかか?」
「あのなぁ民人、お前から見て羽那子は幼馴染みの恋人がいるにも関わらず浮気をするような女なのか?」
ちなみに羽那子が浮気をするような女なのかどうか、俺には全く分からない。だって俺の主観では知り合ってまだ一日も経っていないのだから。
「……ないな、それはない」
そうだろうな、今日のお前の態度からするとそうだと思うよ。羽那子はあの林さんとも仲良い感じだったし。
林さんから全幅の信頼を得ている様子の羽那子が、浮気をするような女であるとはとても思えない。
「女の子の気持ちがあなた達に分かるのかしら?」
止めておばあちゃん先生。話をややこしくしないで。
「何にしても、鈴井君と藤村さんは幼馴染みで家は隣同士なんでしょう? じゃあ簡単よ、家に帰ってアルバムを探しなさいな。
小さい頃の写真を見れば、思い出せないにしても幼馴染みとして歩んで来た歴史に触れる事が出来る。何かのきっかけになるんじゃないかしら?」
……何でそれが思い付かなかったんだろう!
そうだよ、写真を見れば分かるじゃないか。何度も見返しているアルバムの中に、羽那子が写っているのかいないのか。
もし写っていれば、単純に俺が忘れてしまっただけ。
もし写っていなければ、俺一人だけを騙す為に世界全体で俺を騙しているという事だ。
「ありがとうございます、さすがおばあちゃん先生! 頼りになる!!」
「ふふふっ、生徒の役に立てて私も嬉しいわ。
でもね鈴井君、次に会った時は私の事、柳先生か糸花先生って呼んでね」
おっと、思わず口に出してしまった。失礼しました。
簡単に述べるとこれで済む、今朝から俺の身に起きている話。
ややこしい事に、以前離れた場所で共に過ごした女の子と再会したのも今日なのだが、前者と後者を混ぜるとより複雑な話になるのでとりあえず置いておこう。
そもそもタイミングがたまたま重なっただけで、二つの出来事には因果関係があるとは思えない。
東城さんと再会した次の日に、羽那子を忘れたという順番であれば別だが、そうではない。
「うーん、記憶を失う時というのは何かきっかけがあるはずなのよ。外的な要因か、もしくは内面的な要因か。
外的要因というのは、例えば鈴井君が事故に遭ったとか。逆に内面的要因として挙げるならば、藤村さんが事故に遭った瞬間を見てしまった、とかかしらねぇ。
でもそんな心当たり、町村君にはないのよね?」
「はい、ないと思います。はなちゃん、いや藤村さんは今朝いつも通りこの伊千郎を起こしている訳ですし、どちらも事故に遭っているはずありません」
いやいや民人君、違うでしょうに。
おばあちゃん先生は例えば、として事故の話をしただけで、事故に遭ってないから俺が記憶を失うほどの外的要因も内面的要因もないはずだ、という考えにはならないんだよ?
「事故以外でショックな出来事に遭遇したとかは?
周りの人が大きな病気に掛かったのが昨日分かったとか、大金を失ってしまったとか、信頼している誰かに裏切られてしまったとか」
大きなストレスを受ける事が引き金になり、一時的に記憶をなくすという事があるらしいとテレビでやっていたっけか。
でもおばあちゃん先生が言うように、目の前で大切な人を失ったとか、いじめの被害にあったとかとても大きなストレスを感じなければ、記憶を失うような大事にはならないと思うんだけど。
「裏切り……。お前もしかして、はなちゃんに浮気されたとかか?」
「あのなぁ民人、お前から見て羽那子は幼馴染みの恋人がいるにも関わらず浮気をするような女なのか?」
ちなみに羽那子が浮気をするような女なのかどうか、俺には全く分からない。だって俺の主観では知り合ってまだ一日も経っていないのだから。
「……ないな、それはない」
そうだろうな、今日のお前の態度からするとそうだと思うよ。羽那子はあの林さんとも仲良い感じだったし。
林さんから全幅の信頼を得ている様子の羽那子が、浮気をするような女であるとはとても思えない。
「女の子の気持ちがあなた達に分かるのかしら?」
止めておばあちゃん先生。話をややこしくしないで。
「何にしても、鈴井君と藤村さんは幼馴染みで家は隣同士なんでしょう? じゃあ簡単よ、家に帰ってアルバムを探しなさいな。
小さい頃の写真を見れば、思い出せないにしても幼馴染みとして歩んで来た歴史に触れる事が出来る。何かのきっかけになるんじゃないかしら?」
……何でそれが思い付かなかったんだろう!
そうだよ、写真を見れば分かるじゃないか。何度も見返しているアルバムの中に、羽那子が写っているのかいないのか。
もし写っていれば、単純に俺が忘れてしまっただけ。
もし写っていなければ、俺一人だけを騙す為に世界全体で俺を騙しているという事だ。
「ありがとうございます、さすがおばあちゃん先生! 頼りになる!!」
「ふふふっ、生徒の役に立てて私も嬉しいわ。
でもね鈴井君、次に会った時は私の事、柳先生か糸花先生って呼んでね」
おっと、思わず口に出してしまった。失礼しました。
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