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Main story
ストーカー集団(クラスメイト)
しおりを挟む「どこに行った!?」
「探せ! まだ近くにいるはずだ!!」
「あのピンク色のお城が怪しいぞ!」
「いやいや制服を着た三人組で入る訳ないでしょ」
「だからこそ逆に不自然ではないのではないだろうか」
俺達は今追われている。
昼休み、弁当を食べていた時に羽那子と美紀が大声でわーわー言った結果、クラスメイトがこぞって俺の家を突き止めるべくついて来ているのだ。
ただ家に帰るだけなのに何でスパイみたいな事をせんとならんのか。
五人では機動力が落ちるから、という謎のアドバイスを残し、林さんは途中にあったコンビニに入ってしまった。
民人の首根っこを掴んで引きずっていったので、恐らく状況を楽しんでいるだけだろう。
もしかするとストーカー集団の後ろからついて来ているかもしれない。
「これって愛の逃避行ってヤツやんな!」
「バカ! 大きな声出すな!!」
せっかく公園に入って追っ手から隠れられたのに、聞こえたらどうすんだ!
「三人で逃避行っていうもんなのかどうか疑問だけどねー」
羽那子はノリノリで生け垣に身を隠し、顔だけ出して外の様子を窺っている。めちゃくちゃ楽しそうだな。
「こういうイベントってわくわくするよねー」
まるでゲームでもしているかのようなはしゃぎっぷり。プレイヤーならそれでいいかもしれんが、ゲームのキャラからしたら無防備過ぎてハラハラするテンションだ。
羽那子はクラスメイトに見つかり、よりやっかりな展開になる事を望んでいるように見える。
ゲームであればちゃんと危機回避用の選択肢や行動やアイテムなどが用意されているんだろうけど、俺達の場合はただただ逃げて隠れてあいつらがどこかへ移動してくれるのを待っているだけだ。
「こういう時に便利なアイテムが落ちてたりしないかなー」
身を隠すのに飽きたのか、羽那子がぶらぶらと公園内を歩き回る。こいつをここに残して一人で先に帰ろうかな……。
「あー、炭酸水が安いじゃん。飲もうっと」
自販機で他のより安い値段で買えたようだ。
羽那子が購入したうちの一本を美紀に手渡した。
「炭酸水?」
「ノーカロリーでシュワシュワでおいしいよ」
はい、と羽那子が俺にも寄越したので、礼を言ってペットボトルのキャップを開ける。
ちょっと走ったからな。喉が渇いていたのでグビグビと音を立てて飲む。
「ぷはーっ! やっぱ美味いなコレ」
先日羽那子に教えてもらったばっかだけど、味のないただの炭酸水なのに美味しいと感じるのは不思議だ。
外の様子を確認していると、羽那子が俺の手からペットボトルを取った。
そしてキャップを外して口を付けた。
「あーーー!! 間接キッスやんか!!!」
それを見た美紀が大声を上げる。どうでもいいが、やんか!!! って言われても。そうだね、としか言いようがない。
「見つけたぞー!」
「こんなところに隠れていたのか!?」」
「三人いるのにペットボトルが二本! これは事案です!!」
「いや待て、伊千郎が一本ではなちゃんと東条さんが一本を分け合っている可能性は!?」
「なくはないけど鈴井君の手にはペットボトルがないわね」
あっと言う間に数十人に囲まれてしまう。こいつら暇人ばっかりか?
口々に見つけた見つけたと俺達を指差してくるが、直接俺達に何か言うつもりはないらしい。
「で、何だ?」
いい加減逃げたり隠れたりするのも面倒になってきた。
直接用件を聞いてやろう。
「えっと、鈴井君の家が知りたくって……」
「知ってどうする?」
「それは……、明日のお泊り会がどのような場所で開かれるのかなぁって、気になって」
「知ってどうする?」
「もちろん今あんな事やこんな事が行われているんじゃないか!? って部屋の電気を見ながら色んな想像をする!」
「……週明けからテストなのにか?」
口々にわめいていたストーカー集団がぴたっと静まる。
「週明けからテストだから勉強をするんだ。場所は俺の家だが、もちろん俺の部屋で三人一緒に寝る訳がないのはみんなにも分かる事だよな?
俺の家の隣には羽那子の家があるのは知ってるよな? 美紀は羽那子の部屋で寝るだろうって、ちょっと考えれば気付く事だよな!!?」
「「「「「ひぃ……!!!」」」」」
話しているうちにイライラが抑えられなくなって、思い切り怒鳴ってしまった。
クラスメイト達が俺を怯えた表情で見つめる。
その顔を見ているとついついもっと怖がらせてやろうという気持ちが沸き上がってくる。
「お前らもテストを受けるんだ、もちろん今日も明日も授業が終わってすぐ帰り、家でテスト勉強するんだよな!!?」
「「「「「は、はい!!!」」」」」
「そうだよなー、なのに俺達が何してるのか気になるって、よっぽど成績に自信があるって事だよな?
おおう!!?」
「あ、僕帰って勉強しなくっちゃ」
「私もー」
「帰ろー帰ろーっと」
「ちょっと寄り道しちゃったー」
「私の家はこっち方面だからー」
はぁ……、これだけ怒鳴っておけばこれ以上ついて来る気にはならないだろう。
大声を上げたので喉が痛む……。
そう思っていると、目の前にペットボトルが差し出された。
ちょうどいい、これを飲んで喉を潤そう。
「あっ!」
「へへっ……」
飲み干してペットボトルが空になった後、羽那子が恨めしそうな顔をしており、美紀はどこか恥ずかしそうな表情をしていた。
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