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Main story
妹のヤンデレ化
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階段を上る足音で目を覚ます。どうやら寝てしまっていたようだ。
隠す気のないその足音は、伊千香のものか。
勉強会を終え、家に帰って来たらしい。
足音は伊千香の部屋を通り過ぎ、俺の部屋の前で止まった。
部屋の扉を開ける音は小さい。隠す気はないが、あえてわざとらしく音を立てる必要もないだろう。そんな伊千香の心情が伝わって来る。
気配がベッドの脇まで近付き、俺の額に温かな手が置かれる。
「熱はないよね」
「……ああ、大丈夫だ」
一応本当に体調不良かもしれないと思っていたみたいだな。
俺が起きていた事には驚かず、伊千香はベッドの端に腰掛ける。
「お兄ちゃん、ごめんね? きっと私が味方をしてたから、あの女ったら図に乗っちゃったんだよ」
え!? えっと、伊千香さん? 今あの女って仰いましたか……?
「きっとね、お兄ちゃんの頭からあの女の記憶がすっぽり抜けちゃったのはね、仕方ない事だと思うの。
だってさ、あんなのお兄ちゃんに釣り合わないと思わない?
まださ、あっちの関西女の方がマシかなーって」
関西女って。
伊千香は俺に背を向けたまま話し続ける。俺は返事どころか、相槌も打てないでいる。
「確かにあの女は私の幼馴染みでもあるよ? けどね、お兄ちゃんの恋人としては相応しくないと思うんだ。
前まではね、私があの女をお兄ちゃんに相応しい女にしてやろうと思って頑張ってたんだよ。
でもお兄ちゃん、あいつの事忘れちゃったんでしょ? じゃあもういいよね」
お兄ちゃんの恋人に相応しくない。
未だかつてそんな事を言う妹がまともであった映画やドラマやアニメなどがあっただろうか。
俺の脳裡にブラコンというワードが浮かぶ。
それは時として萌えやエモいという感情を伴うものだが、俺の頭は黒と黄色の警戒色で満たされ、ブー! ブー! ブー! というアラート音が鳴り響いている。
こいつ、ヤバくね!?
え? 世間の女子中学生って普通兄や父親の事を毛嫌いするよね!?
家族として心配してくれているのかと思ってたけど、羽那子という異物になってしまったものを排除しようとしていたのか!?
「お兄ちゃんは私が守ってあげるね。もう明日からあの女は家に上げないようにするから心配しないで?」
お兄ちゃんは妹の豹変具合がとても心配です。
いや、もしかして妹目線で見れば、俺が羽那子の事を知らない女の子だと言った時にそういう印象を受けたのかもしれない。
もしかして、そういう悪ノリかな?
「今は関西女がいるから実行出来ないけど、明日か明後日にはどうにかするから。
大丈夫、おじさんもおばさんも家に帰って来てないみたいだから」
何を実行するつもりなんでしょうか!?
怖いよ、もう声を出す事すら出来ないくらい震えている……。
何が妹をこうも変えてしまったのか。
羽那子と美紀と一緒に風呂に入ってたんだろう?
幼馴染みである羽那子の事を心配してただろう?
どうしたんだ、一体何が起こってるんだ!?
俺の身に起こった何かが原因で、伊千香の記憶や性格にまで影響を及ぼしているのだろうか。
「……震えてるの?」
俺が恐怖に身を縮めているのを感じてか、伊千香が振り返ってベッドへ乗って来た。
「大丈夫。お兄ちゃんは私が守ってあげるから、怖がらなくてもいいんだよ?」
俺の上に跨がり、ぴったりと身体をくっつけて両腕を回し、俺をキツく抱き締める伊千香。
中学生の妹が兄にするような抱擁ではない。
ぎりぎりと締め上げるように身体を押し付けている。
「伊千香……!?」
あまりの力に耐え切れずに名前を呼ぶ。
伊千香は俺の耳に唇を寄せて、囁く。
「大好きだよ、お兄ちゃん。
お兄ちゃんの恋人に相応しくない女なんていらないよね」
隠す気のないその足音は、伊千香のものか。
勉強会を終え、家に帰って来たらしい。
足音は伊千香の部屋を通り過ぎ、俺の部屋の前で止まった。
部屋の扉を開ける音は小さい。隠す気はないが、あえてわざとらしく音を立てる必要もないだろう。そんな伊千香の心情が伝わって来る。
気配がベッドの脇まで近付き、俺の額に温かな手が置かれる。
「熱はないよね」
「……ああ、大丈夫だ」
一応本当に体調不良かもしれないと思っていたみたいだな。
俺が起きていた事には驚かず、伊千香はベッドの端に腰掛ける。
「お兄ちゃん、ごめんね? きっと私が味方をしてたから、あの女ったら図に乗っちゃったんだよ」
え!? えっと、伊千香さん? 今あの女って仰いましたか……?
「きっとね、お兄ちゃんの頭からあの女の記憶がすっぽり抜けちゃったのはね、仕方ない事だと思うの。
だってさ、あんなのお兄ちゃんに釣り合わないと思わない?
まださ、あっちの関西女の方がマシかなーって」
関西女って。
伊千香は俺に背を向けたまま話し続ける。俺は返事どころか、相槌も打てないでいる。
「確かにあの女は私の幼馴染みでもあるよ? けどね、お兄ちゃんの恋人としては相応しくないと思うんだ。
前まではね、私があの女をお兄ちゃんに相応しい女にしてやろうと思って頑張ってたんだよ。
でもお兄ちゃん、あいつの事忘れちゃったんでしょ? じゃあもういいよね」
お兄ちゃんの恋人に相応しくない。
未だかつてそんな事を言う妹がまともであった映画やドラマやアニメなどがあっただろうか。
俺の脳裡にブラコンというワードが浮かぶ。
それは時として萌えやエモいという感情を伴うものだが、俺の頭は黒と黄色の警戒色で満たされ、ブー! ブー! ブー! というアラート音が鳴り響いている。
こいつ、ヤバくね!?
え? 世間の女子中学生って普通兄や父親の事を毛嫌いするよね!?
家族として心配してくれているのかと思ってたけど、羽那子という異物になってしまったものを排除しようとしていたのか!?
「お兄ちゃんは私が守ってあげるね。もう明日からあの女は家に上げないようにするから心配しないで?」
お兄ちゃんは妹の豹変具合がとても心配です。
いや、もしかして妹目線で見れば、俺が羽那子の事を知らない女の子だと言った時にそういう印象を受けたのかもしれない。
もしかして、そういう悪ノリかな?
「今は関西女がいるから実行出来ないけど、明日か明後日にはどうにかするから。
大丈夫、おじさんもおばさんも家に帰って来てないみたいだから」
何を実行するつもりなんでしょうか!?
怖いよ、もう声を出す事すら出来ないくらい震えている……。
何が妹をこうも変えてしまったのか。
羽那子と美紀と一緒に風呂に入ってたんだろう?
幼馴染みである羽那子の事を心配してただろう?
どうしたんだ、一体何が起こってるんだ!?
俺の身に起こった何かが原因で、伊千香の記憶や性格にまで影響を及ぼしているのだろうか。
「……震えてるの?」
俺が恐怖に身を縮めているのを感じてか、伊千香が振り返ってベッドへ乗って来た。
「大丈夫。お兄ちゃんは私が守ってあげるから、怖がらなくてもいいんだよ?」
俺の上に跨がり、ぴったりと身体をくっつけて両腕を回し、俺をキツく抱き締める伊千香。
中学生の妹が兄にするような抱擁ではない。
ぎりぎりと締め上げるように身体を押し付けている。
「伊千香……!?」
あまりの力に耐え切れずに名前を呼ぶ。
伊千香は俺の耳に唇を寄せて、囁く。
「大好きだよ、お兄ちゃん。
お兄ちゃんの恋人に相応しくない女なんていらないよね」
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