奴隷に落ちた貴族令嬢 ~最強魔法戦士は戦わない スピンオフ② ~

まーくん

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再会

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モーグル王国から帰ってきて3ヶ月が過ぎようとしていました。

「マースさん、ご無沙汰してます。

あっ、その件については、損失をこちらで計上して処理しておきますのでご安心ください。

は、はいはい、分かりました。
ではまた何かありましたら、連絡下さいませ。

失礼致します。」

マースさんからトランシーバーでの連絡です。

商品に不良があったみたいで、帳簿上の計上方法についての質問でした。

マースさんの業務も順調に進んでいるようですね。




最近ヤーラさんの機嫌が良くありません。

モーグル王国へハリスさんが長期出張していることが原因のようです。

お互い素直になれば良いのですが………

ハリスさんはモーグル王国の警備隊を任せられる人が見つからないので、応援で行っています。

マックさんという方もまだ見つかっていないみたいです。

早く見つかって帰ってもらわないと、ヤーラさんが怖いんですけど。






モーグル王国に来てからもう2ヶ月以上になる。

警備隊の隊員は揃ってきたんだが、肝心の隊長が見つからない。

マックって奴を探しているんだが、なかなか見つからないんだ。

一応、奴が寄りそうなところには連絡してくれるように頼んでいる。

そろそろ連絡がきても良さそうなもんだが。



「ハリスさん、いるかい?」

「やあ、マハラさん。
どうしたんだい?」

「この前、マックが来たら教えてくれって言ってただろう。
マックが来たんだよ。」

「待った甲斐があったぜ。
マハラさんありがとう。
で、何処に行けば良い?」

「儂の店で待たしてあるよ。
そんなに急がんでも大丈夫だよ。」

俺は、マハラの爺さんを抱えるように、急いで爺さんの店に走った。

店先にしっかりとした身体つきの男が立っている。

「ぜぇぜぇ、そんなに急がんでも……

ハリスさん、彼がマックさんだよ。」

「カトウ運輸のハリスと言います。
マックさんですね。」

「はあ、そうですが。
何か俺に用があるとか。」

「マックさん、少し時間が欲しいんですが、都合はいかがですか?」

「あと3件廻ったら最後にカトウ運輸に納品に行く予定です。」

「だったら、カトウ運輸の食堂はご存知ですか?」

「ええ、良く利用させてもらってますから。」

「なら、食堂で待ち合わせましょう。
俺が奢りますから。

おばちゃんに伝えておくので、おばちゃんに来たことを伝えて下さいね。」

マックとは、手を振ってその場は別れた。


夕刻、食堂のおばちゃんがマックが来たことを伝えに来たので、食堂に急ぐ。

マックは席に座って待っていた。

「すまない、遅くなってしまった。」

「いえ俺も今来たところです。」

「とにかく飯にしようか。
何でも好きなのを頼んでくれ。」

俺達は、持ちきれないくらいの料理を机に置いて、向かい合って座った。

「食べながら話しをしようか。」

俺は自分がカトウ運輸の警備課長であること、モーグル王国の警備隊を訓練中であることを伝えた。

「それでだが、マックさんにモーグル王国内のカトウ運輸警備隊長をお願いしたいんだ。」

「俺が警備隊長?それは無理だな。」

「どうして?」

「俺は記憶喪失なんだよ。
3年前までの記憶が無いんだ。」

「それは日常生活に支障があるのか?」

「それは無い。言葉は分かるし身体も動く。
法律とか規則もこの3年間で覚えたつもりだ。」

「なら問題ないだろう。」

「しかし、過去が分からない男なんて雇うわけ無いじゃないか。」

「カトウ運輸はそんなこと気にしないさ。

働いている者のほとんどが、元奴隷だったり、スラム出身だ。

俺なんて、山賊の頭だったからな。」

マックは、かなり驚いていた。

「本当に俺なんかが働いて良いのか?」

「全く問題ない。働いてくれる気になったか?」

「ああ、よろしく頼む。」

その後、握手を交わした俺達はそのまま訓練所に移動した。

一応実技試験のつもりだったが、マックはかなりの手練れだった。

それもかなり修羅場を潜っているようだ。

「マック、お前強えな。傭兵か山賊の頭なんじゃないか?」

「分からないんだ。」

「まぁいいや。過去のことなんてな。よし合格だ。

カトウ運輸に入ったら、本社で研修してもらうが、すぐに行けるかい?」

「2日もらえれば大丈夫だ。」

分かった。

じゃあ、3日後の朝に支度をして、ここに俺を訪ねて来てくれ。

こうして3日後の朝、俺達は本社に向かった。




ヤーラさんの機嫌が良くなった。
ハリスさんが帰って来たのだ。

モーグル王国からは、警備隊長候補のマックさんを連れてきた。

「ミルクさん、ユリアちゃん、急ぐわよ。

ハリスさんが、お昼奢ってくれるらしいからね。」

ヤーラさんに急かされて食堂に入ると、そこにはマクベスさんが座っていました。
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