100年生きられなきゃ異世界やり直し~俺の異世界生活はラノベみたいにはならないけど、それなりにスローライフを楽しんでいます~

まーくん

文字の大きさ
26 / 132
ようこそ異世界へ

引っ越ししました

しおりを挟む
王妃様達とのお茶会は、2時間ほどで終わった。

姫様は名残り惜しそうだったけど、あんまり女性と話すことが無い男子中学生には2時間のお茶会は、正直かなりキツかった。


また近いうちにお茶会しましょうね。の王妃様の言葉を背に、行きと同じ馬車に揺られて「クマの手」に帰って来た。

停められた玄関前で馬車を降りると、ひとりの男性が俺を待っていたようだ。

「ヒロシ殿でいらっしゃいますね。

わたくし、王家の不動産管理を任されております、クロード・ユズル男爵と申します。

陛下よりヒロシ殿に屋敷を見繕ってお渡しするよう賜って参りました。

ちょうど良い物件がありましたので、早速お知らせに参ったわけです。よろしければ、これからご一緒に参りませぬか。」

早っ。未だ3時間くらいしか経って無いよね。王家スゲー!

俺はユズル男爵に少し待ってもらい、ミーアを呼んだ。

ミーアに家のことを話したら、これから一緒に住むんだから自分も見たいって。

だからミーアも連れてユズル男爵の案内で家を見に行くことにした。

ユズル男爵の馬車に揺られて到着したのは、お城のすぐ横にある豪邸だった。

そりゃお城とは比べ物にはならないけど、外壁を一周するだけで馬車で20分は楽勝。

正面門から屋敷の玄関まで歩いて10分も掛かる。

こんなデケェ家いらねーし。って思ったけど、あまりにもユズル男爵が気持ち良さそうに案内してくれるので言い出しにくくて、結局もらうことになった。

敷地や建物が凄いのもあれだけど、なにより執事やメイド、門番に料理人まで付いているのに驚いた。

ユズル男爵曰く、陛下から下賜された屋敷には付いてくるというか、人が住んで居なくても、絶えず雇っているらしい。

もちろん、給与なんかも王家が負担してくれるらしい。

こんなのがたくさんあって、結構な人数が働いているそうだ。

やっぱり恐るべし王家ということだな。

ミーアも驚いているかと思ったんだけど案外普通。

そうだった、忘れていたけどミーアって魔国の大貴族のお嬢様だった。

「ふーん、なかなか良い屋敷じゃない。2人だしこのくらいで充分だよね。

調度品も結構良いものが使われているみたいだしね。」

「おや、お嬢様。なかなかお目が高いですな。

はて、この国の上級貴族にはお見かけしませんが…」

ユズル男爵、なかなか鋭い。
心なしか、目がキッとしたようにも見える。

「ユズル男爵様、実は俺達流れの冒険者でして、様々な国の王家や貴族の仕事もたくさん受けているんです。

だからミーアも目が肥えてて。」

苦し紛れの言い訳だけど、通用するか?

「なるほど、そういうことであれば納得ですね。

王家から失礼の無いようにと仰せつかっておりますし、ヒロシ殿のおっしゃることに間違いはありませぬでしょうな。」

アチァー、口では信用してるって言ってるけど、絶対疑ってるよね。

「ところでヒロシ殿、こちらの屋敷はお気に召しましたでしょうかな。」

一通りお屋敷を案内してもらい、だいたい把握出来たつもり、…部屋数多過ぎで迷子になりそうだけど。

「ユズル男爵様、俺達には大き過ぎる気もしますが、せっかくなので、住まわせて頂こうと思います。」

「それは良かった。実はこの屋敷は王妃様が推薦された物件なのですよ。

お城も近いですし、だいぶ王妃様に気に入られたようですな。ハハハハー。


わたしの屋敷もすぐ近くですから、何かあればなんでも相談して下さいね。

それでは屋敷の者達を紹介しましょう。

セバス、皆をこちらに。」

先程から俺達の後ろをついてきていた見るからに執事の男性、セバスさんが前に進み出てくる。

いつの間にか使用人の皆さんも整列していた。


自己紹介が始まり、終わったのは30分後。

執事のセバスさんを筆頭に、メイドから料理人、庭師、番犬までが並んで挨拶をしてくれた。

始めの数人までは覚えたけど、皆んなは無理。

まぁ、その内覚えるだろう。

後でミーアに聞いたら全員の名前と顔を覚えたって。

さすが、お嬢様は慣れていらっしゃる。

ユズル男爵も帰られ、俺達もそれぞれの部屋に案内される。

今日はとっても疲れた1日だった。

ふかふかのベッドに入ったらそのまま寝てしまいましたよ。


翌日、勝手に俺の部屋に入ってきたミーアに叩き起こされる。

宿屋に荷物を取りに行きたいって。

俺も昨日何も言わずに宿屋に戻らなかったから、今から朝食を食べて、その後行くことにする。

朝食はパンとハムエッグ、サラダと、オーソドックスなスタイル。
昨日の晩に聞かれたから、そうお願いしておいたんだ。

あまり朝から重いのも胃に堪えるからね。


料理長さんは腕が振るえずに少し残念そうだったけど。

今晩からは腕を存分に振るってもらおう。



ミーアと一緒に「クマの手」に向かう。

途中、冒険者ギルドに寄って引っ越しの挨拶をした。

ホールドさんもミルクさんも驚いてた。



クマの手でミーアの荷物を受け取り、宿代を精算する。

また来ますと約束して「クマの手」を出た俺達は、ラスク亭に寄って引っ越しの報告をした後、今日の依頼分を確認した。

うん、依頼分は収納の中にあるもので充分だ。

ちなみにラスクさんには俺の収納の話しはしてある。

そしたら、冷蔵庫代わりに入れておいて欲しいって。

冷蔵庫とは言わなかったけど、収納に入っている分には鮮度を保てるからね。

とにかく今日の分を納品した。

「そうだヒロシ君。スタイロンのところの専属にもなってやれないかい。」

ランスさんが思い出したように話し出す。

「スタイロンが俺のことを羨ましがってさあ。

結構圧を掛けて来るんだよ。」

「分かりました。スタイロンさんにもお世話になってますし。

引っ越しの挨拶がてらスタイロンさんの店に行ってみます。」

「頼んだよ。じゃあまた明日な。」

ラスクさんと別れた俺達はスタイロンさんの店に向かったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー

芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。    42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。   下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。  約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。  それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。  一話当たりは短いです。  通勤通学の合間などにどうぞ。  あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。 完結しました。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

処理中です...