100年生きられなきゃ異世界やり直し~俺の異世界生活はラノベみたいにはならないけど、それなりにスローライフを楽しんでいます~

まーくん

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ようこそ異世界へ

このお屋敷、お城と繋がっているみたいです

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その日の晩ご飯は、王妃様とイリヤ姫様も一緒に食べることになった。

晩ご飯の支度が出来るまで、王妃様、セバスさん、マイヤーさんは、俺とイリヤ姫様の出会いの話しで盛り上がっている。

途中、王家専属の吟遊詩人達がやってきて、詩にすると言い出したので、それだけはイリヤ姫様とふたりで全面的にお断りしたんだ。

ただ、ふたりで必死に懇願する姿が仲良く見えたとかで、そのことだけは詩にされていたと、大入りの大衆演劇になってから気付いたんだけどね。

ともかく、晩ご飯も終わり食後のお茶も堪能した王妃様達は、お城へと帰って行った。

玄関からでは無くて地下室の隠し扉から。

驚いている俺にセバスさんが教えてくれる。

この屋敷は建てた時からお城と地下で繋がっているのだと。

先王が住んでいたのだから繋がっていてもおかしくないんだけどね。

どおりで警護兵が少ないはずだよ。

ちなみに、地下通路はお城の地下室の隠し扉と繋がっていて、歩いて30分くらいだそうだ。

地下室に降りてみると暗いはずの地下通路に煌々と灯りが灯っていて、通路の端には馬車止めや御者控え室まであった。

その控え室で待っていたのか、すでに馬車は出発の準備を終えていた。


王妃様達が帰ったのを見計らって、俺はミーアを迎えにスタイロンさんの店に急いだ。

「ヒロシ~!」

嬉しそうな顔で俺に抱きついてくるミーア。

厳ついスタイロンさんとふたりで不安だったんだろうな。

俺はミーアを抱きしめてあげる。

「もおー、なかなか帰って来ないから、心配したんだよ。」

怒り調子な言葉と裏腹に満面の笑みが溢れていた。

「ミーア、あのお屋敷はさー、お城と繋がっていてね、いつ王妃様達が来るかわからないんだ。

どっか他に引っ越そうか。」

「ミーアが魔人だから?
人間の姿が不味かったら、猫の姿になっていようか?

だって、王様に逆らったら大変なことになるでしょう?」

ミーアがうわ目使いに聞いてくる。

たしかに理由もなく下賜された家を出るのは不味い気がする。

「でもミーア、猫に変身するのは嫌じゃないの?」

「うーん、別に嫌じゃないよ。
それに猫の姿の方が魔力の消費も少ないしね。

それに、ヒロシは猫の姿も好きだったでしょ。」

はい、大好物です。

「よし、じゃあミーアは俺のところで住み込みをしていることにしてやる。

なに、専属冒険者にはよくあることさ。」

スタイロンさんの案で決まり。

王妃様や姫様が頻繁に来るであろう屋敷に人間の姿のミーアを住まわせるのはなにかと問題ありそうだから、ミーアには猫に変身して屋敷に居てもらうことにした。

でも冒険者として外で活動する時は人間の姿じゃないと不味いから、人間の姿のミーアはスタイロンさんのところに住み込みしていることにしたんだ。

早速猫の姿になったミーアを抱いてスタイロンさんに御礼を言った後、俺達は屋敷に戻った。



「ヒロシ様、お帰りなさいませ。

おや、ミーア様は如何されましたか?」

セバスさんの質問は想定内。

「いくら冒険者としての相棒でも、ひとつ屋根の下は良くないかと思ってね。王妃様達も来られるしな。

だから、スタイロンさんの店に住み込みにしてもらったんだ。

ミーアはあの店の専属になったからね。」

「承知致しました。賢明なご判断だと思います。

それで、そちらは?」

「ああ、そこで寂しそうにしていたから拾ってきた。

不味かったか?」

「いえ、首輪も付いていませんし、飼い猫ではないと思います。

宜しいのではないでしょうか。」

俺が懐から取り出した子猫を見て、セバスさんの顔も綻ぶ。

やっぱり可愛い小動物は最強だな。

「それで、その子はなんとお呼びすれば?」

セバスさんの満面の笑みが早く教えろと圧を掛けてくる。

名前かー。考えて無かった。

「ニャーはどうだ?」

いつの間にか揃っているメイドさん達一同が聞かなかった振りをしている。

やっぱりダメか。

「シャルなんていうのは…」

やっぱり無言。

皆んなが期待の目を向けてくるが、残念なことに、俺のネーミングセンスは最悪みたいだ。

それからいくつかの名前候補を出してみたが、どれも不評みたいだった。

俺は自棄になって、叫ぶ。

「じゃあ.タマは?」

さっきまでソッポを向いていたメイドさん達が一斉にこちらを向く。

しまった!いくらなんでも猫にタマって。俺はいったい何を考えてたんた。

「ご、ごめん。冗談「「「タマ!すっごく可愛いです。」」」…へえっ?」

この世界のネーミングセンス分からん。

こうして猫の姿のミーアは俺を除く全員一致でタマになったのだ。

俺としては不本意だが、まぁ、ミーアもお気に入りみたいだし、良しとするか。

早速ミーアの部屋が俺の隣り、元々ミーアが使う予定だったところになった。

ミーアの世話係は、メイドさんが交代でしてくれるみたい。
セバスさんとマイヤーさんもローテーションに入っていたのは、知らなかったことにしておくよ。


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