100年生きられなきゃ異世界やり直し~俺の異世界生活はラノベみたいにはならないけど、それなりにスローライフを楽しんでいます~

まーくん

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ムーン大陸で大冒険

廃墟ビルは日本の物みたいです

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部屋のキャビネットから見えていた本のようなものを手に取ろうとしたが、今にも風化しそうなので手をつけることが出来ない。

鼻息だけでも崩れてしまいそうだ。

どうしようかと考えるが良いアイデアが浮かばない。

散らばらせないで採取する……

あっ、収納しよう。

たしか壊れた椅子を収納したら新品になったことがあったよな。

あの時はたしか「元に戻れ」って思いながら収納したっけ。

俺は本らしき崩れかけたものを収納した。

もちろん「元に戻れ」って念じたよ。

収納は上手くいき、リストには『2032年度日報』ってなってる。

どうやら会社の日記帳みたいだ。

でも2032年度ってどういうこと?

俺がこの世界に来たのって2020年だよ。

頭が混乱するけど分からんものは分からん。

とりあえず収納から修復された日報を取り出す。

最初のページから開いていく。

アルマニ領でステファンさん達が書いていたものと中身は同じようなものだ。

真新しいノートの匂いと日本語が久しぶりに俺の郷愁を誘うぜ。って嘘だよ。

もうすっかりこちらに慣れたし、あんまり日本に戻りたいとも思わないんだ。

こっちに大切な人も出来たからね。

イリヤ様大丈夫かな。
悲しんでいないかな。
あんな期待を持たせるようなこと言わなきゃ良かったかな。

様々な想いが交錯して涙が溢れそうになる。

涙を拭って日報に目をやる。

1月5日、出勤30人欠勤5人。
社長の新年のあいさつの後通常業務に。

営業マンは得意先10社に新年のあいさつに向かう。

仕入れ先のあいさつは15社。

〇〇商事佐藤様、○×運輸島野様……

こんな調子が続く。

3日、5日、10日、1カ月、3カ月、日報は淡々と続く。

半分流し読みしていた6月15日まで読んだ所で目が止まる。

朝の出勤状況が書かれていて、次に書かれるはずの来客記録が途中で終わっているのだ。

2035年6月15日13時45分 △△産業株式会

ここで記録は止まっていた。

急いでページを捲ると少し震えた文字で綴られている。

「本日13時45分地震があった。
社員に怪我は無し。
今のところビルの損傷もない模様。

窓の外は真っ暗で、昼間とは思えない状況。

テレビ、ラジオで状況確認するも繋がらない。

電話も携帯も使用不可。

このページはそこで途切れていた。


2ページほど空けて続きの記述があった。



『ここはどこでしょうか。ひどい揺れがあり、ようやく治まったと思ったら、外が真っ暗です。
テレビをつけても何も映りません。ラジオもダメです。

何があったのか分かりませんが、これからわたしが経験することをこうして日記として記述しておきます。

男性社員が外の様子を見に行きましたが、そこには真っ暗な中に深い森だけがあったそうです。

非常階段を使って上階の会社の人達が降りて来ています。

このビルへの来客も含め、1階のロビーフロアにはたくさんの人がいたと様子を見に行った男性社員が言っていました。

真っ暗な闇の中、わたし達は非常時用の備蓄食糧と毛布を使ってその夜を過ごしました。

6月16日

夜が明けたようです。
未だ薄暗い外の様子が見えてきました。

昨日は懐中電灯の灯りのみが頼りでしたが、今ははっきりと見えます。

そこはジャングルのような光景でした。

ビルの前の道は何かで剥ぎ取られたように無残に千切れて一部だけが残っています。

外に出た藤原さんの話しでは、わたし達の会社が入居している雑居ビルを含めて、道沿いの5つほどのビルのみがあったそうです。

5つのビルとその周囲5メートルほどの楕円形の範囲がわたし達の知っている光景だそうです。

その向こう側にはまさしくジャングルと呼べるような空間が広がっていたそうです。

先ほど、3階の建設会社の男性社員が何人かジャングルに入って行ったそうです。

何が起こっているのか全く分からない現状、無闇に動くのは危険だと思うのですが、彼らが無事に戻ってくることを祈りましょう。


数時間後、出て行った人達のうち数人が戻って来ました。

どうやら水と洞穴を見つけたようで、そちらに移動するようです。

このビルの2階は全て我が社が使用していますが、他のフロアは数社が入っているようなので、数人単位で動いている人達が多いようです。

そうなので先ほどの建設会社の方達のように体力に自信のある方達は、不自由なビルの中よりも外を選ばれたのでしょう。

他の会社に方達も彼らが持ち帰ってきた情報に熱心に耳を傾けておられるようで、追随するように別の会社の人達も何組かビルを出て行かれました。

我が社には備蓄用の食糧がたくさんありますから、危険をおかしてまで外に出る必要は今のところありませんが、このままここから抜け出せないのであれば、いずれは底をついてしまいます。

今日は乾麺を水で戻して食べました。

かなり不安です。


6月17日

上の階の人達は備蓄の食糧を持っていなかったのでしょうか。

皆さん今日になって続々と外に出て行かれます。

昼過ぎにはほとんどの方達が外に出られたようです。

我が社も営業職主体の会社のため、今ここにいるのは総務や経理の女性がほとんどです。

何がいるかわからないジャングルに女だけで移動するのは危険です。

もしかすると危険なのはジャングルの生物だけではないかもしれませんが。

きっと元の日本に戻れる日が来ると信じてここで待ちましょう。』




ここまで読んだ俺は一旦日記を収納に戻す。

日が暮れてきたので家に戻ることにしたのだ。ミーアも腹を空かせてるだろうしね。




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