100年生きられなきゃ異世界やり直し~俺の異世界生活はラノベみたいにはならないけど、それなりにスローライフを楽しんでいます~

まーくん

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ムーン大陸で大冒険

転移の先にあるものは?

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地下街にあった文様を収納しようとしたらその文様が激しい光を放った。

消えかけていた模様が収納の修復機能で再生されたみたいに綺麗な魔法陣に変わった。

魔法陣!?

ラノベのど定番じゃないか。

しまった、何処かへ飛ばされるぞ。

しばらくしたら光が収まってきたが、目はすぐには順応しない。

突然、危機察知能力が発動する。

俺は半分無意識に上へと飛び上がった。

少しずつ広がっていく視界の端に兵装の男達が見えた。

空中に浮かんでいる俺を見て驚愕の表情を浮かべている。

っていうか、さっきまで俺がいた場所には男達の槍や剣が突き刺さってるんだけど。

やべっ!槍を投げてきやがった。

風魔法で外らせてかわす。

大量の槍が飛んでくるけど、風を身体の周りで回転させているから、勝手に外れていってくれる。

どうやら男達の槍も剣も尽きたみたいで静かになった。

「脳内アシスタントさん、ここどこ?」

「どこって、さっきの場所ですよ。

時代は10000年ほど遡りましたけど。」

「10000年?

それってムーン大陸があった頃ってこと?」

「そうですね。推論しますに、彼らは10000年前にこのムーン大陸で超古代文明を築いていたと云われるムーン人のようです。

前方に巨大な神殿が見えますので、恐らくここはその中心地で、彼らは神殿の警備兵といったところでしょうか。

わたし達が突然現れたのでビックリして攻撃を仕掛けてきたものだと思われます。

ちなみに下にあるのはムーン大陸時代に使用されていた転移魔方陣のようですね。

ヒロシ様が魔方陣を収納する際に復元してしまったので、起動したものと思われます。」

すいません。俺が原因のようですね。申し訳ない。

「いえ、大丈夫です。とにかくどこかへ移動すべきだと思います。」

おっしゃる通りです。ハイ。

俺は服の飛行機能を使って上空へと昇って行った。


上から全体を見渡すと俺がいた場所は大きな広場のようだ。

魔方陣の周りには多くの屋台や店舗が立ち並び、たくさんの人達の目が魔方陣とそれを取り囲んで上を向いている兵士達に注がれている。

広場の東側には南北に川が流れ、西側にも遠く川が見える。

この広場を中心として6方向に広い街道が延び、そこを行きかう車?らしきものが見えた。

俺は気配遮断を使ってその場から消える。

俺のことを目で追っていた兵士達や市民は突然消えた俺に目を白黒させているが、そんなことは知ったことじゃないよ。

こんなところで殺されてたまるか。


気配遮断したまま神殿に向かう。

まずは情報が必要だ。神殿に着いた俺は気配遮断したまま中を進む。

回廊にはたくさんの人達がいる。

神官はもちろん、書類を抱えた女性やスーツケースみたいな鞄を持った男性、如何にも病院に来ましたみたいな老人、それを介護する若い女性等々。

単純に神殿というよりは、役所や病院も含めた複合施設のようだ。

神官の姿も見えるから、もしかしたら神の声を聴くシャーマンみたいなのがいて政治をとっているのかも。

「どうやらそのようです。良い感をしておられますね。

わたしが分析したところでは、ここムーンでは神の力を授かり、そのお告げを受けて政治を司る神官の長『イトネチェル』を名乗るものが代々治めているようです。

神の力とはこの時代にあったとされる伝説の超古代魔法のことだと思われます。

『イトネチェル』とは神のお告げと称して、政治、経済、神事の全てを統括している国家元首に対する呼称のようですね。

ちなみにこの分析は、魔人に伝わる伝説と、この地で話している人達の雑談や思念から集めた知識を総合して導き出しています。」

脳内アシスタントさん素晴らしい分析です。でも思念って。怖いよ。


ともかく、ここにいても進展が無いので、その『イトネチェル』に会いに行こう。

俺は脳内アシスタントさんに案内されて『イトネチェル』のいる神殿の奥深くに移動していく。

その途中にはパイプで覆われ立体交差する動く歩道や車いす型の自動走行車など近未来都市の様相を呈していた。

もちろん神殿の中にも様々な店舗や医療機関、役所機能などがあり、予想通り都市機能を一カ所に集めたような建物になっていた。

どんどん進んでいくと目の前にエレベータが現れる。

度の強そうな牛乳ビン眼鏡をかけた女性がエレベータに乗り込もうとしたので、こっそりと同乗させてもらった。

エレベータはどんどん上がっていき最上階近くで止まり、その女性が下りる。

当然俺も一緒に下りた。

でもちょっと待てよ。エレベータの階数表示では15階となっているが、この神殿はそんなに高くはなかったような。

まあいいか。


女性の後をついていくと扉の前にたどり着いた。ちなみに扉の横に書いてある文字は読めない。

扉を開けて女性が中に入ると、そこには複数の女性がいた。

「ここは秘書室のようですね。ここにいる女性に付いて行くと『イトネチェル』に会えるのではないでしょうか。」

「よく秘書室ってわかったね。」

「ええ入口に書いていましたし、今彼女が話している内容からも推測できますから。

あっ、あの女性、あの青い服に黄色のスカーフの趣味の悪い人、いえ失礼しました、彼女が『イトネチェル』の秘書みたいですね。」

「文字や言葉が分かるのなら、俺にも分かるようにして欲しいな。」

「...失礼しました。決して忘れていたわけではありませんよ。」

女性達の話し声が聞こえてきた。スケジュールの確認作業を行っている。

うん、確かに秘書達のようだな。

それにしても脳内アシスタントさん、完璧に忘れていたようだ。

何事も完璧なのは良いことだ。


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