100年生きられなきゃ異世界やり直し~俺の異世界生活はラノベみたいにはならないけど、それなりにスローライフを楽しんでいます~

まーくん

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ムーン大陸で大冒険

廃ビル群は日本に戻ったようです。

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軽いノリで廃ビル群を戻すってクルステさんは言っている。

「ここもだいぶ荒らされたはずなのに、すっかり綺麗に戻っているなぁ。
これもヒロシ君の能力かい。いやあすごいなあ。」

クルステさんが感心しながら執務机に向かって魔法陣を描いている。

オシンさんは、といえば俺の修復した調度品の置き方が気になるのか、微調整の真っ最中だ。

他の秘書さん達も、それぞれの部屋に行ったけど、すぐに戻って来た。

「ヒロシ様、他の部屋は朽ちたままなのですが。」

悲しそうな声に、俺は修復に向かった。

必要な部屋だけでも、結局半日くらいかかったよ。

半分くらい終わった頃にクルステさんがやってきて、ビル群を日本に戻したことを報告してくれた。

俺がクルステさんに話していた日記に名前が載っていた人達はビルと一緒に無事に戻ることが出来たみたいだけど、それ以外の人達は無理だったみたいだ。

こちらでの記憶は消しておいたらしい。

たぶんその方が幸せだよね。


やっと修復が終わり、俺はクルステさんの部屋でお茶を飲んでいる。

ミーアは安定の膝の上だ。

「彼女達には申し訳ないことをしちゃったなあ。」

クルステさんがしみじみ話し出す。

「不幸な目に遭ったけど、彼女達は本当にラッキーだったよ。

君に見つけて貰えたんだからねえ。」

落ち込んでる俺をクルステさんは慰めてくれているのだろう。

ミーアも珍しく起きているようで膝を前足でペタペタしている。

うーかわい~い。

「彼女達がちょっと気になることを言っていたんだけど、『部屋にあった物が丸ごと無くなっている。』とか…」

……しまった、全部収納の中だよ。

まっいいか。


こうして無事に?あの廃ビル群の謎は解決したのだった。
で良いのかな?


クルステさん達は、この時代を生きていくそうだ。

この時代に必要なものは全て揃っているし、機能させたしね。

俺とミーアはクルステさん達とマイロ狩りをすることに決めた。

元々狩ろうと思っていたし、俺達やクルステさん達が住むのにも邪魔だからな。

というわけで、翌日からマイロの掃討作戦を始めた。

統率の取れていないマイロなんて、全然大したことないし。

それでも全滅させるまでに1年かかったよ。

あいつら繁殖力が高いから、減らすのに時間がかかったんだ。

ともかく、昨日最後の巣を焼き払い1年がかりの掃討作戦は終了した。


「ヒロシ君、ミーア君、君達のおかげでなんとか皆んなの仇を取れたよ。ありがとう。

それで君達はこれからどうするんだい。

わたし達は君達がここにいてくれることには大歓迎なんだがねぇ。」

どうしようか?
って迷うことは無いよ。

だって、俺とミーアはあの世界、そうイリヤ様のいるエレクトス王国のアルメニ領に戻らなきゃ。

「俺達は、元の世界に戻りたいです。

クルステさん、戻してもらえますか?」

「そうだね。名残り惜しいけど君達には帰るべきところがあるのだから仕方がないねぇ。

転移の魔法陣っていうのは思念を強く思い描くと機能するんだよ。

君達が帰るべきところを強く意識してごらん。

そして魔法陣に魔力をこめて。」

俺はアルマニ領の豊かな緑と賑わうショッピングモール、そしてイリヤ姫の顔を思い浮かべながら強く念じる。

「さあミーア、帰ろうか。」

俺は魔法陣に魔力を力の限り注いだんだ。




>>>>>>>>>>>>>
わたしは今日、ショッピングモールの視察に来ています。

ヒロシ様がいなくなって3年。

わたしもアルマニ領の領主補佐として頑張ってきました。

いちおうお父様からも褒めて頂けるくらいにはなれたつもりです。

きっとヒロシ様は戻ってこられる。

これだけが今のわたしの生き甲斐です。

「イリヤ様、準備が終わりましたので壇上へお願い致します。」

「はい、ステファンさん。」

今日はショッピングモールの拡張工事の落成式です。

ヒロシ様が作られたこのショッピングモールは、今や大陸中でも最大の繁華街として隆盛を極め、商人にとってこの場所に店を出すのが成功者を意味するとまで言われるようになっています。

ただ、現状の敷地ではこれ以上の店舗を増やせない状況です。

そのため拡張を望む声が大きく、この度隣りに併設していた温泉施設の上を利用して店舗スペースを拡張することになったのです。

ヒロシ様の熱望により出来た露天風呂が壁に囲まれてしまうのにはステファンさんやセバスさん、マティスさんなど、ヒロシ様を神格化しておられる方達は最後まで逡巡されていましたが、アルマニ領やエレクトス王国の今後の繁栄を鑑み、泣く泣く決断されていました。

「領主補佐のイリヤ・フォン・エレクトスです。

皆様もご存知の通り、この施設は我が夫であるヒロシ・デ・アルマニの尽力により作られたものです。

今我が夫であるヒロシ様は皆様の前に姿をお見せできない状態ですので、ヒロシ様になり代わり、わたしがこの場におります。……」

いちおうヒロシ様は病気療養中ということになっていますが、人の口に戸は立てられないということでしょうか、目の前に居並ぶ人達の中からはすすり泣きが聞こえてきます。

わたしの挨拶も終わりを迎える頃、タイミングよく花火が上がり出しました。

20発もの花火が上がり最後にして最大の花が開いた時、それは起こりました。

満開の花火の真ん中に猫を抱いて空に浮かんでいる男性が現れたのです。
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