100年生きられなきゃ異世界やり直し2~日本でも異世界でもヒロシとミーアの旅は続くよ~

まーくん

文字の大きさ
4 / 16
第1章 新たな生活を始めようか

ヒロシ、山を買ったってよう2

しおりを挟む
マンションに戻ってきたヒロシは隣の部屋のミーアを起こしに行く。

「ミーアそろそろ起きないか。」

「う~ん、ヒロシ~~オハヨー。」

「ミーアおはよう。ちょっと一緒に来て欲しいところがあるんだけど。どう?」

「いいよー、どこ?」

「こっち、こっち」

ミーアの手を引いて隣に部屋へ。

「何これ、魔法陣じゃん。」

「そう転移の魔方陣。これで行くんだよ。」

ミーアの手を引いて魔方陣に移動。送信の魔方陣を起動する。

「ふわあー。すごい山の中だね!!」

魔方陣の光が消えて石の小屋を出ると、そこに広がる辺り一面の木にミーアが驚きの声をあげている。

「ここに2人で住める家を建てようか。ムーン大陸に最初に行った時みたいにさー。」

「いいね!そうしようよ。どんな家が良いかなあー。」

「そうだね、よく考えて建てようね。とりあえず一旦戻ろうか。」

「うん。楽しみだねー。」



「ここが玄関でしょー、それで部屋数は1,2,う~ん10くらいあれば良いかな?」

マンションに戻るとミーアは早速紙に家の絵を描き始めた。

「さてと、先に偽装工作を仕掛けておくかな。」

ヒロシは山から持ってきた石のブロックを前に土魔法を発動する。

「ゴーレム生成!」

いつもの武骨なゴーレムではなく丸みのある身体つきに小さな頭、細く長い手足。

そう、ヒロシが生成したゴーレムは人間の形をしている。

「うーん、こんなところかな。」

その姿は75歳の榎木広志そのものだった。

「よし、ゴーレム広志、起動!」

ヒロシのコールと共にゴーレム広志が動き出す。

最初はゆっくり動きながら指の曲げ伸ばし、膝の曲げ伸ばしを何回か行い、そして気を付けの姿勢からおもむろに上半身を90度曲げ言葉を発した。

「ヒロシ様、この度はわたしを生成して頂きありがとうございました。ヒロシ様に忠誠を誓うことをお約束いたします。」

「まあ、そんなに堅苦しくしなくていいからさあ。君には榎木広志としてこのマンションの住人になって欲しいんだよ。
とは言っても特に何をする必要もない。宅配便を受け取ったり、昼間に近くの公園を少し散歩したりするくらいでいいんだ。

とにかく、榎木広志がここに元気に住んでいることさえアピールできればそれでいいんだ。

簡単な言葉と会話の内容は記憶させておいたからね。想定外の質問を受けたりした場合は、念話で俺に聞いてくれたらいいから。

わかった?」

「はいヒロシ様。会話の受け答えについてはAI学習に取り込みました。
また、これまでの記憶についてもヒロシ様から送られたものを時系列に整理し、AIとの紐付けが完了しております。」

「了解。俺とミーアはあっちとこっちを行ったり来たりすることになると思う。

しばらくしたら向こうにいる時間の方が多くなると思うけどしっかり頼むよ。」

「承知致しました。ヒロシ様。」

「じゃあ早速今日からお願いするね。」

いつの間にかミーアがこちらに近寄ってきていた。

「ヒロシー、また変なもの作ったねー。でも前のヒロシにそっくりだよ。
間違えちゃいそうだねー。」

「ミーアがそう言うなら大丈夫かな。さあ向こうに行って家を建てようか。」

「うん。」

俺達2人は魔方陣に乗って山に向かった。


「ミーア、家の絵は描けたかい?」

「出来てるよ。ほら。えーとね、あれがこうして、ここがこうで、これとこれが......」

ミーアが自信満々に渡してきた絵を見て唖然とする。

部屋がたくさんあるのは分かるが、玄関も無ければ水回りなど生活に必要なものが全く見当たらない。

でもなんとなくミーアが言いたいことは分かる気がする。
何せミーアとは300年近い付き合いだからね。

「土魔法、ゴーレム家を作って!」

いつものように土をゴーレムに代えて移動させそれをブロックとして積み上げていく。

勝手に移動しながら次々にブロック化して積みあがっていくからあっという間に形が出来ていく。

今回は小さなゴーレムで1辺50cmになるようにしたから、細かいところも生成できるようになっている。

「相変わらずヒロシの魔法はすごいねー。あっという間に形になっていくよー。」

大体積みあがった後は10cmサイズにしたゴーレムを生成、細かいところを作っていく。

小一時間後、俺のイメージ通りに全ての石が積み上がり、家ができた。

「うん、こんなもんかな。ミーア、どうだい?」

「すごいよヒロシー。僕の描いた絵の通りなのー。」

俺はミーアの言葉に苦笑しながら、ミーアに「さあ、内装を始めようか。」と手を引いて中に入っていった。

内部もきれいに仕上がっていてほとんど手を入れるところが無いくらい。

「おっと便器とかエアコン、冷蔵庫とか必要な資材が届いたようだな。ミーアちょっと取りに行ってくるよ。」

俺はマンションに戻り、届いたばかりの資材を魔方陣に載せて山へと運び込む。

「これを取り付けてくれるゴーレムが必要だな。ゴーレム生成 電気工事士!」

俺も日本に戻ってきてから魔法関連で何もしていなかったわけではない。様々な職種の知識を持って帰ってきた魔石に記憶させ、様々な機能を持ったゴーレムを作れるようになっていたのだ。

それにここはエレメントスではなく、奥深い山間であっても日本だ。
今ではモバイル通信の中心になっている衛星通信を使えばインターネットを使い放題。
いくらでも新しい知識を魔石に取り込むことができる。

こうして電気工事のノウハウを持ったゴーレムが次々と電気設備を取り付けていく。

ところが、しばらくして全てのゴーレムが作業を止めてこちらにやってきた。

「うん?あっ、しまった。発電設備を作り忘れているよ。」

俺は少し離れたところで大量の巨大ゴーレムを作成し、300mほど離れた川からの水路を作らせると共に、その開いた大穴を利用して小型水力発電装置を設置させた。

やがて水路を流れてきた大量の水が水力発電装置に流れ込み無事に発電が開始されると、再び電気工事ゴーレムが動き出し、発電機から家までの配線を引いていく。

「おっと、水があふれる前に川に戻さなきゃな。」

発電機を設置した池から川下に向かって新しい水路を構築。水を川に戻すことで無事水源と電気の確保が完了した。

電気工事ゴーレムが全ての仕事を終え土へと戻っていく。

「さあミーア、中に入ろうか。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです

ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。 転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。 前世の記憶を頼りに善悪等を判断。 貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。 2人の兄と、私と、弟と母。 母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。 ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。 前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

処理中です...