最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~

まーくん

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第3章 国際連合は活躍する

28【緊急事態発生、ナーカ教国を調べろ】

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<<スポック視点>>

ナーカ教国がハーン帝国を吸収して、ハーン帝国が消滅した。

国際連合として、制裁措置を発動していた渦中のハーン帝国が、突然消滅したと言う衝撃的な情報が飛び込んできました。

アーノルド様と相談し、国際連合の緊急会議を招集することになりました。

緊急会議の席上、事務局が調査した結果を報告し、各国の調査内容と合わせて精査していきます。

概ね事務局の調査と一致していますが、肝心の現在の状況が全く見えてきません。

国境は、完全に封鎖されており、中に入ることは不可能です。

かろうじて封鎖前に国外脱出した国民や旅行者等から聞き取りを行いますが、情報量が少なく言っていることもバラバラで、信用できるレベルではありませんでした。

情報が足りないので会議自体が進まないのですが、ハーン帝国の国民のことを考えると、一刻を争う
事態であり、なんとかしなければなりません。

「彼にお願いするしかないかのう。頻繁に頼むのは気が退けるのじゃが。」
アーノルド様が、呟くようにおっしゃいます。

彼?あぁマサル殿のことでしょうか。

確かにマサル殿ならば。

「そうだのぉ、彼に頼んでみることにするか。」

ネクター王が会議室の隅に移動して小さな箱のようなもの、確かトランシーバーと言いましたっけ、を取り出してそれに向けて何かボソボソと話し始めました。
わたしや一部の人を除いて皆その挙動を訝しがります。

話し終え席に戻ったネクター王に隣に座っているトカーイ帝国のレイン皇帝が話しかけています。

「ネクターさん、今のは魔道具のようですが、何ですか?」

「レインには見せてなかったかな。
これはな、トランシーバーと言う魔道具だ。マサル殿が開発したもので彼から貰った物でのう、これを使うとこの魔道具を持つ他の者がどれだけ遠くに居ても話しができるのだ。

今マサル殿を呼んだので、もうすぐ来るぞ。」

「へー、便利な物ですね。我が国にも欲しいですね。」

「この魔道具は、マサル殿にしか作れない。もうすぐ来るから直接交渉してくれ。」

「ありがとうございます。そうしてみます。」

「レイン、その魔道具はすごく便利だぞ。我が国も各主要都市に配置しておるが、何かトラブルがあっても瞬時に対応できるから、非常に助かっておる。
ただ、悪用されると厄介だから取り扱いと管理はしっかりとしておかねばな。」

ガード王が、レイン皇帝に注意を促しています。

「そうですね、作って頂けたらしっかりと運用していきます。」

ネクター王、ガード王、レイン皇帝は、キンコー王国王立アカデミーの同窓で、古くからの親友なのは有名な話しです。

こうした公の場で大陸を代表する大国の3方が親しく雑談を交わす姿は、この場に着く全ての者に安心感を与えることでしょう。

たぶん、わざと親しげに話しているに違いないところが、彼等の為政者としての資質だと思います。


そんな事を考えていると、窓の外が騒がしくなってきました。

マサル殿が到着されたようです。

国際連合事務局の警備員や加盟各国の警備の方々には事前に連絡してあるので混乱は少ないが、始めて見た者は驚きます。
人がものすごい勢いで空を走ってくるのですからね。

しばらくして、ドアがノックされました。

わたしは席を立ってドアを開けると、マサル殿の爽やか笑顔がそこにありました。

「スポック殿、ありがとうございます。

ネクター王、お呼びにより参上致しました。」

「うむ、マサル殿、急に呼んで申し訳なかった。
思ったより早かったのう。」

「カトウ運輸の用事で近くまで来ていたものですから。
それで、ご用件についてですが?」

「それについては、スポック事務局長に聞いて欲しい。
スポック事務局長、頼みます。」

わたしは、ことの顛末と今の状況をマサル殿に説明しました。

「モーグル王国のカッパ宰相、ハッカ外務大臣からお話しを聞いて、わたしも独自にナーカ教国を調べておりました。

しかし、ナーカ教国が、ハーン帝国に攻め入った気配はありませんでした。

ハーン帝国が、ナーカ教国に臣従する形で取り込まれたのでは、ないでしょうか。

ところで、消滅したと言う表現が気になるのですが。
この情報の発生源はどこでしょうか?」

「ハッカ外務大臣、こちらの情報はモーグル王国からもたらされたものですが、出所についてお話し頂けますでしょうか。」

「では説明させて頂きます。
我が国の国境はハーン帝国の主街道から続いていますので、ハーン帝国の情報が早く入ってきます。
3週間程前から国境警備隊の定例報告として、『ナーカ教国が侵略して来ている』と話す者がちらほらいると入っております。

真相を確認させようとしましたがあちら側の警備も強化しておりまして、難航しておりました。

ところが、2週間前に信頼できる人物がハーン帝国から亡命してきました。

国境で質問したところ、彼は『ナーカ教国に飲み込まれる』という言葉を残して、息絶えたとのことでした。

この情報は信憑性があり、ハーン帝国で異常が起こったと判断し、国際連合に報告した次第です。」


「なるほど、そういう事情であればキチンと調べる必要がありますね。
失礼しまして、ちょっと行ってきます。」

そう言うとマサル殿はいつものように窓から飛び出して行ってしまいました。

マサル殿のその姿を知らない何人かの首脳は驚きのあまり口をパクパクさせていますが、見ないことにしよう。

<<マサル視点>>
事務局の会議室を飛び出してから30分後、ハーン帝国に着いた。
馬車であれば砂漠を越えて3日以上かかるが、空から行けばあっという間だ。

モーグル王国側の国境ではモーグル王国からハーン帝国に入りたい商人達とハーン帝国の警備兵が揉めているのが見える。

こちらが見つかるのは都合が悪いので高度を上げる。

これで下からは見えないだろう。

この光景を録画しておければ便利なんだが。

俺は頭の中で録画の魔法を検索する。
魔石を持ちながら遠見の魔法を使うと魔石に映像が録画できそうだ。
早速テストしてみる。
30秒程録画して、再生と念じてみると、録画された映像が頭の中に流れる。
成功だ。魔石を見ると、真っ白だったのが、少し茶色っぽい。

頭の中に再生されるのであれば、プロジェクタの魔道具を使えば、みんなに見せられるかもしれない。
プロジェクタの魔道具は、カトウ運輸の社員教育用に作った。

プロジェクタの上に手を置いて、見せたい絵を頭に描くと、白い壁に投射してくれる。

番頭のヤングさんに泣きつかれて勢いで開発したが、結果的に物流ネットワークが、とんでもないスピードで拡大中だ。

最近は、教員不足で困っている小学校でも活躍したいるようで、増産をしつこくせがまれている。

記憶媒体である魔石の残容量も色と重さで大体分かるし、手に持っていなくても、どの魔石を使うかを意識すれば、そこに記憶できることがわかった。

さて、上空からハーン帝国を空撮しながら、偵察を始めることにしよう。
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