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第4章 リザベートの結婚狂想曲
10 【婚姻請け負い人】
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<<カトウ運輸婚活パーティー担当責任者ヤリテ視点>>
わたしは、カトウ運輸王都物流センターにて貴族向け営業をしています。
結婚してから5年、2人目の子供を職場の託児所に預けられるようになりましたので、産休から先日職場復帰しました。
カトウ運輸に付属している託児所ってすごく便利なんです。
従業員の2歳以上の子供を預かってくれる施設なんですけど、朝子供を連れて出勤すると、仕事が終わるまで預かってくれます。
ベッドルームや食堂、病院までありますし、4歳から勉強も教えてくれます。
元々3交替の職場ですから、24時間預けられます。
わたしみたいな営業職って、泊りがけの出張もあるんですが、預けておけば安心です。
こんな画期的な施設、他で見たことも聞いたこともありません。
先日視察に来られたユーリスタ様に聞いてみたんですが、大陸中探しても無いでしょうと言っておられました。
会頭がおっしゃるには、「女性が多く働いてくれると、男には難しいきめ細やかなサービスをお客様に提供できる。
女性が結婚して子供を産むことは自然の摂理だし、そんな理由で
戦力をみすみす逃がすくらいなら、産後戻ってきて貰える環境を用意した方が安くつくからね。」ってことでした。
これってすごくないですか、女性も男性と同じように働けるってことですよね。
ほんと、うちの会頭には頭が上がりません。
顔も見たこと無いんですけどね。
そんな感じで、今日も仕事を張り切っていたのですが、わたしの席に営業課長ともう1人男性がやってきました。
「ヤリテさん、いつもご苦労様。」
課長が話しかけてきたので、挨拶を返しました。
「こちらは番頭のヤング様です。
今日はヤング様から直々にヤリテさんにお話しがあるということなので、お連れしました。
ヤング様、わたしはこれで。」
「いや、営業課長も一緒にいてくれた方が話しが早いです。
さてヤリテさん、はじめましてかな?
最近商会も大きくなり過ぎて、皆さんの前に出ることも少なくなってしまい申し訳ありません。
わたしは、番頭を務めていますヤングです。
よろしくお願いしますね。」
カトウ運輸をここまでの商会に発展させた番頭さんの立志伝は、カトウ運輸では伝説になっています。
「この事務所も中々良いですね。
日当たりも良いし、風通しも良い。
たまには、皆さんの職場環境を見るのも必要ですね。
あっ、すいません。
ヤリテさんに話しがあるのでした。」
「ヤング様、会議室にご案内します。
ヤリテさんも一緒にね。」
課長に誘導され、わたし達は会議室に移動しました。
「ヤリテさん実はね、新しい事業を始めようと思っています。
これについては、まだ秘密だからね。
それで、その責任者を君にやってもらえないかと思ってるのです。」
「それは、どんな事業ですか?」
「パーティーを開く仕事がメインになるかな。
婚活パーティーって言います。
貴族や大商人の子弟のうち、独身男女を集めてお見合いパーティーを定期的に開くのです。」
「それは、貴族様達が開かれている舞踏会とは違うものなのですか?」
「そうですね。舞踏会は、派閥を誇示するために、贅を尽くし着飾って見せる品評会みたいなものですね。
基本的には、派閥で固まっているので、新しい出会いは少ないですし、家格によって分類されるされるので、出会いの場としては面白くないんじゃないでしょうか。
それに比べて、今企画しているパーティーは、家格や派閥に関係無く参加してもらえるようにします。
そうすることで、男女の出会いの場を広げたいと思っています。」
「あのぉ、素晴らしい企画だと思いますが、カトウ運輸にどんなメリットがあるのでしょうか?」
「ヤリテさん。素晴らしい。
さすが営業ですね。
ヤリテさんは、写真館をご存知ですかな?」
「はい、我が社が最近始めた新事業ですよね。
あんな馬鹿高…… いえ失礼しました。
あんな精緻な肖像画を早くリーズナブルな価格で提供する素晴らしい事業ですね。
かなり儲かっているようですね。
わたしのお客様からも、なんとか予約待ちに割り込めないかと、頼まれています。」
「さすが、よくご存知だ。
確かに撮影料金貨10枚は庶民の感覚では、馬鹿高いのですが、貴族の見栄を張るにはちょうど良いくらいの金額なんです。
今回の婚活パーティーは、基本的に参加費は無料ですが、写真館で撮影されたお客様を対象にします。
そして撮影された写真を会場に掲示して、自由にお相手を見つけて頂き、もし婚姻に至った場合には、その写真をお返しするのと同時に、2人で新しい写真をお撮り頂き、プレゼントする予定です。
まぁ、カトウ運輸から見たら、写真をたくさん撮って頂くと共に、将来の貴族家当主と懇意になれるわけです。
営業のヤリテさん、どうですかこの企画は?」
「ヤング様、素晴らしい企画です。
貴族家に入り込むために必要な苦労が、無くなる訳ですよね。
そのために使う経費を考えれば、じゅうぶん元は取れると思います。
写真にしても、次回参加する時は、見栄でも撮り直すでしょうし。
大儲けの匂いがします。」
「さすが、営業課長が見込んだ逸材ですね。
ヤリテさんに任せれば、上手く運営してもらえるでしょう。
ヤリテさん、受けて貰えますか?」
「はい、喜んで。精一杯頑張らせて頂きます。」
後に、彼女は『婚姻請け負い人』の異名を持つようになり、キンコー王国のみならず、大陸中の貴族から注目されるようになるのだ。
そして歳を重ねる毎に、各国の王族、貴族の多くが彼女の世話になっていき、その影響力は非常に大きくなったが、彼女は奢ること無く、死ぬまでその職務を全うする。
晩年、彼女が皆から『ヤリテババア』と呼ばれて尊敬されたまま、その生を終えたと、後年のカトウ運輸年代記に記されている。
わたしは、カトウ運輸王都物流センターにて貴族向け営業をしています。
結婚してから5年、2人目の子供を職場の託児所に預けられるようになりましたので、産休から先日職場復帰しました。
カトウ運輸に付属している託児所ってすごく便利なんです。
従業員の2歳以上の子供を預かってくれる施設なんですけど、朝子供を連れて出勤すると、仕事が終わるまで預かってくれます。
ベッドルームや食堂、病院までありますし、4歳から勉強も教えてくれます。
元々3交替の職場ですから、24時間預けられます。
わたしみたいな営業職って、泊りがけの出張もあるんですが、預けておけば安心です。
こんな画期的な施設、他で見たことも聞いたこともありません。
先日視察に来られたユーリスタ様に聞いてみたんですが、大陸中探しても無いでしょうと言っておられました。
会頭がおっしゃるには、「女性が多く働いてくれると、男には難しいきめ細やかなサービスをお客様に提供できる。
女性が結婚して子供を産むことは自然の摂理だし、そんな理由で
戦力をみすみす逃がすくらいなら、産後戻ってきて貰える環境を用意した方が安くつくからね。」ってことでした。
これってすごくないですか、女性も男性と同じように働けるってことですよね。
ほんと、うちの会頭には頭が上がりません。
顔も見たこと無いんですけどね。
そんな感じで、今日も仕事を張り切っていたのですが、わたしの席に営業課長ともう1人男性がやってきました。
「ヤリテさん、いつもご苦労様。」
課長が話しかけてきたので、挨拶を返しました。
「こちらは番頭のヤング様です。
今日はヤング様から直々にヤリテさんにお話しがあるということなので、お連れしました。
ヤング様、わたしはこれで。」
「いや、営業課長も一緒にいてくれた方が話しが早いです。
さてヤリテさん、はじめましてかな?
最近商会も大きくなり過ぎて、皆さんの前に出ることも少なくなってしまい申し訳ありません。
わたしは、番頭を務めていますヤングです。
よろしくお願いしますね。」
カトウ運輸をここまでの商会に発展させた番頭さんの立志伝は、カトウ運輸では伝説になっています。
「この事務所も中々良いですね。
日当たりも良いし、風通しも良い。
たまには、皆さんの職場環境を見るのも必要ですね。
あっ、すいません。
ヤリテさんに話しがあるのでした。」
「ヤング様、会議室にご案内します。
ヤリテさんも一緒にね。」
課長に誘導され、わたし達は会議室に移動しました。
「ヤリテさん実はね、新しい事業を始めようと思っています。
これについては、まだ秘密だからね。
それで、その責任者を君にやってもらえないかと思ってるのです。」
「それは、どんな事業ですか?」
「パーティーを開く仕事がメインになるかな。
婚活パーティーって言います。
貴族や大商人の子弟のうち、独身男女を集めてお見合いパーティーを定期的に開くのです。」
「それは、貴族様達が開かれている舞踏会とは違うものなのですか?」
「そうですね。舞踏会は、派閥を誇示するために、贅を尽くし着飾って見せる品評会みたいなものですね。
基本的には、派閥で固まっているので、新しい出会いは少ないですし、家格によって分類されるされるので、出会いの場としては面白くないんじゃないでしょうか。
それに比べて、今企画しているパーティーは、家格や派閥に関係無く参加してもらえるようにします。
そうすることで、男女の出会いの場を広げたいと思っています。」
「あのぉ、素晴らしい企画だと思いますが、カトウ運輸にどんなメリットがあるのでしょうか?」
「ヤリテさん。素晴らしい。
さすが営業ですね。
ヤリテさんは、写真館をご存知ですかな?」
「はい、我が社が最近始めた新事業ですよね。
あんな馬鹿高…… いえ失礼しました。
あんな精緻な肖像画を早くリーズナブルな価格で提供する素晴らしい事業ですね。
かなり儲かっているようですね。
わたしのお客様からも、なんとか予約待ちに割り込めないかと、頼まれています。」
「さすが、よくご存知だ。
確かに撮影料金貨10枚は庶民の感覚では、馬鹿高いのですが、貴族の見栄を張るにはちょうど良いくらいの金額なんです。
今回の婚活パーティーは、基本的に参加費は無料ですが、写真館で撮影されたお客様を対象にします。
そして撮影された写真を会場に掲示して、自由にお相手を見つけて頂き、もし婚姻に至った場合には、その写真をお返しするのと同時に、2人で新しい写真をお撮り頂き、プレゼントする予定です。
まぁ、カトウ運輸から見たら、写真をたくさん撮って頂くと共に、将来の貴族家当主と懇意になれるわけです。
営業のヤリテさん、どうですかこの企画は?」
「ヤング様、素晴らしい企画です。
貴族家に入り込むために必要な苦労が、無くなる訳ですよね。
そのために使う経費を考えれば、じゅうぶん元は取れると思います。
写真にしても、次回参加する時は、見栄でも撮り直すでしょうし。
大儲けの匂いがします。」
「さすが、営業課長が見込んだ逸材ですね。
ヤリテさんに任せれば、上手く運営してもらえるでしょう。
ヤリテさん、受けて貰えますか?」
「はい、喜んで。精一杯頑張らせて頂きます。」
後に、彼女は『婚姻請け負い人』の異名を持つようになり、キンコー王国のみならず、大陸中の貴族から注目されるようになるのだ。
そして歳を重ねる毎に、各国の王族、貴族の多くが彼女の世話になっていき、その影響力は非常に大きくなったが、彼女は奢ること無く、死ぬまでその職務を全うする。
晩年、彼女が皆から『ヤリテババア』と呼ばれて尊敬されたまま、その生を終えたと、後年のカトウ運輸年代記に記されている。
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