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第6章 ランスとイリヤ
23 【サクラの木】
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<<ヘンリー視点>>
孫のイリヤから連絡があって、小学校にやって来た。
校庭の奥に綺麗な花を満開に咲かせた大きな木が見えてきた。
あまりにも素晴らしいその光景に目を奪われていると、聞き慣れた可愛い声がする。
「お爺様、こっちこっち。」
イリヤに呼ばれてそちらに行くと、木の下には敷き物が敷かれ酒や食べ物が用意されている。
「ヘンリー様、この木はサクラと言う木です。
わたしの世界にあったものと同じものです。
わたしの世界では『花見』と言って、この木の下で皆んなで宴会をしながら花を愛でるのです。」
「マサル殿、誠に美しい光景だ。
こんなもの、わたし等だけで見ていては、何を言われるか分からん。」
わたしは、トランシーバーを使って、ネクター王やガード王、レイン皇帝、兄のクラークに連絡を入れる。
4人共『すぐに行く』とのこと。
「マサル殿、いつもの4人がすぐに来たいそうだ。
済まないが迎えに行ってやってくれまいか?」
「承知しました。すぐに迎えに行ってきます。
4方が来られることをこちらの方々に説明だけお願いできますでしょうか?」
いつものことなので即座に頷く。
「確かにいつもパニックになるからな。」
マサル殿は、少し困ったような笑顔を浮かべると、転移魔法で次々とあっという間に4人を連れて来た。
いや15人か。
それぞれの家族も連れて来たようだ。
ユーリスタとリザベートが早速動いて、特等席にお茶会の会場を作ってしまった。
マサル殿が転移で連れて来た方々のうち、女性はそちらで既に談笑モードだ。
残された我々男性陣は、少し離れた場所で花を観ながら酒を嗜む。
大陸の3大国家の元首がすぐに集まってこのような宴会をできるなんて、大陸全体の平和を象徴しているようで、政治を預かる身としては感慨深いものがある。
「マサル殿、この木はマサル殿の世界のものだと聞いたが本当か?」
「ネクター王、その通りです。
この木はサクラと言います。
この小学校で研究会に参加頂いている、あの先生がユラーシス遺跡で発見した2500年前の種子の化石から育てたものです。」
マサル殿が指差すところにいる顔を見ると、我が国きっての考古学の大家モーリス先生ではないか。
王城の研究室を離れられて隠居されたと聞いていたが、こんなところにおられたのか。
「モーリス先生、ご無沙汰致しております。」
「いやあヘンリー君か。そうだ宰相になられたのだな。
ヘンリー宰相。」
「先生、からかわないで下さいよ。
ところで、隠居されたと伺っておりましたが?」
「いやあ隠居したのだがな、そこのローバー君に唆されて、ここまで来たわけじゃ。
ヘンリー君、ここは良いぞ。何のしがらみも無く研究に没頭できるしの。」
「しかし、ここの研究会のメインテーマは都市開発だったと記憶しておりますが。」
「ヘンリー宰相、わたしから説明させて頂きます。」
「あなたはローバー先生じゃありませんか。
あなたもこちらへ?」
「カトウ公爵家の御子息が研究会を立ち上げるとなれば、我々が参加させて頂くのは必定。
わたしが皆さんを誘いました。
宰相のおっしゃる通り、この研究会は都市開発がテーマです。
実はわたしもここで各分野でご活躍の諸兄と共に酒を酌み交わしながら会話させて頂いたところ、予期せぬ情報を得ることが出来たわけです。
例えばモーリス先生の考古学なのですか、都市計画に大きく関与しています。
ユラーシス遺跡の発掘調査結果で、あのあたりには超古代文明があり、そこには近年整備された上下水道を2500年前に完備していた形跡があるようなのです。
更に整然と整備された道路や中心部から各建物まで何が引かれていたような後が残っていたりと、発掘結果に基づく超古代文明都市の概要が、今後の都市計画に大変参考になっております。
また、ワーグ先生の宗教学は、モーリス先生の調査結果の裏付けとなるような研究結果が出ております。
従来のような特定分野の研究者が集まっただけでは、到底得られない知識が集まり様々な成果が出ているのですよ。」
ローバー先生の話しには説得力があった。
我が国の英知とも言える各分野のエキスパートが、一同に介し同じテーマで話し合うなど、これまでの体制では考えられない。
この研究室は、新しい研究室の姿であり、将来的に国内随一の研究成果を出し得る大いなる可能性を秘めている。
これは校長と予算増額と研究室の規模を増やすべき案件だな。
「ところで、マサル殿。
このサクラの木を何本か、トカーイ帝国に頂けないでしょうか?」
「我が国にも頼む。これほどの木今まで見たことがない。
是非頼むぞ。」
「うちはサクラ専門の公園を作ろうと思う。
のお、ヘンリー。」
レイン皇帝、ガード王、ネクター王までが、サクラをマサル殿から譲ってもらうつもりだ。
やれやれ、公園の建設予定地を検討するかな。
サクラの木は、瞬く間に大陸全土に広まり、その美しさに誰もが感動した。
また、花見についても恒例行事として定着し、各国の花見の名所は花見客で満員御礼である。
なお、最初の1本である小学校のサクラは、その後500年以上咲き続け、『奇跡のサクラ』と呼ばれている。
孫のイリヤから連絡があって、小学校にやって来た。
校庭の奥に綺麗な花を満開に咲かせた大きな木が見えてきた。
あまりにも素晴らしいその光景に目を奪われていると、聞き慣れた可愛い声がする。
「お爺様、こっちこっち。」
イリヤに呼ばれてそちらに行くと、木の下には敷き物が敷かれ酒や食べ物が用意されている。
「ヘンリー様、この木はサクラと言う木です。
わたしの世界にあったものと同じものです。
わたしの世界では『花見』と言って、この木の下で皆んなで宴会をしながら花を愛でるのです。」
「マサル殿、誠に美しい光景だ。
こんなもの、わたし等だけで見ていては、何を言われるか分からん。」
わたしは、トランシーバーを使って、ネクター王やガード王、レイン皇帝、兄のクラークに連絡を入れる。
4人共『すぐに行く』とのこと。
「マサル殿、いつもの4人がすぐに来たいそうだ。
済まないが迎えに行ってやってくれまいか?」
「承知しました。すぐに迎えに行ってきます。
4方が来られることをこちらの方々に説明だけお願いできますでしょうか?」
いつものことなので即座に頷く。
「確かにいつもパニックになるからな。」
マサル殿は、少し困ったような笑顔を浮かべると、転移魔法で次々とあっという間に4人を連れて来た。
いや15人か。
それぞれの家族も連れて来たようだ。
ユーリスタとリザベートが早速動いて、特等席にお茶会の会場を作ってしまった。
マサル殿が転移で連れて来た方々のうち、女性はそちらで既に談笑モードだ。
残された我々男性陣は、少し離れた場所で花を観ながら酒を嗜む。
大陸の3大国家の元首がすぐに集まってこのような宴会をできるなんて、大陸全体の平和を象徴しているようで、政治を預かる身としては感慨深いものがある。
「マサル殿、この木はマサル殿の世界のものだと聞いたが本当か?」
「ネクター王、その通りです。
この木はサクラと言います。
この小学校で研究会に参加頂いている、あの先生がユラーシス遺跡で発見した2500年前の種子の化石から育てたものです。」
マサル殿が指差すところにいる顔を見ると、我が国きっての考古学の大家モーリス先生ではないか。
王城の研究室を離れられて隠居されたと聞いていたが、こんなところにおられたのか。
「モーリス先生、ご無沙汰致しております。」
「いやあヘンリー君か。そうだ宰相になられたのだな。
ヘンリー宰相。」
「先生、からかわないで下さいよ。
ところで、隠居されたと伺っておりましたが?」
「いやあ隠居したのだがな、そこのローバー君に唆されて、ここまで来たわけじゃ。
ヘンリー君、ここは良いぞ。何のしがらみも無く研究に没頭できるしの。」
「しかし、ここの研究会のメインテーマは都市開発だったと記憶しておりますが。」
「ヘンリー宰相、わたしから説明させて頂きます。」
「あなたはローバー先生じゃありませんか。
あなたもこちらへ?」
「カトウ公爵家の御子息が研究会を立ち上げるとなれば、我々が参加させて頂くのは必定。
わたしが皆さんを誘いました。
宰相のおっしゃる通り、この研究会は都市開発がテーマです。
実はわたしもここで各分野でご活躍の諸兄と共に酒を酌み交わしながら会話させて頂いたところ、予期せぬ情報を得ることが出来たわけです。
例えばモーリス先生の考古学なのですか、都市計画に大きく関与しています。
ユラーシス遺跡の発掘調査結果で、あのあたりには超古代文明があり、そこには近年整備された上下水道を2500年前に完備していた形跡があるようなのです。
更に整然と整備された道路や中心部から各建物まで何が引かれていたような後が残っていたりと、発掘結果に基づく超古代文明都市の概要が、今後の都市計画に大変参考になっております。
また、ワーグ先生の宗教学は、モーリス先生の調査結果の裏付けとなるような研究結果が出ております。
従来のような特定分野の研究者が集まっただけでは、到底得られない知識が集まり様々な成果が出ているのですよ。」
ローバー先生の話しには説得力があった。
我が国の英知とも言える各分野のエキスパートが、一同に介し同じテーマで話し合うなど、これまでの体制では考えられない。
この研究室は、新しい研究室の姿であり、将来的に国内随一の研究成果を出し得る大いなる可能性を秘めている。
これは校長と予算増額と研究室の規模を増やすべき案件だな。
「ところで、マサル殿。
このサクラの木を何本か、トカーイ帝国に頂けないでしょうか?」
「我が国にも頼む。これほどの木今まで見たことがない。
是非頼むぞ。」
「うちはサクラ専門の公園を作ろうと思う。
のお、ヘンリー。」
レイン皇帝、ガード王、ネクター王までが、サクラをマサル殿から譲ってもらうつもりだ。
やれやれ、公園の建設予定地を検討するかな。
サクラの木は、瞬く間に大陸全土に広まり、その美しさに誰もが感動した。
また、花見についても恒例行事として定着し、各国の花見の名所は花見客で満員御礼である。
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