167 / 382
第7章 研究室と亜人大陸
26 【謀反の結末】
しおりを挟む
<<アーク視点>>
キャロの側近であるハロの自白で、50年に渡る長い闇が明らかになった。
同時に今回の事件に関わった者達を一網打尽にすることも出来た。
どいつもこいつも、ヤライを再度植民地に戻そうと活動していた輩ばかりだった。
結果から言えば、ロンドーは膿を吐き出して浄化されたと言えよう。
しかし、デカさんの護衛であるマサル殿がいなければ、最悪の結末になっていたことを考えると、背中に汗が溢れる。
「マサル殿、今回は本当に助かった。
礼を言う。
これからも、デカやわたしのために、力を貸してもらいたい。」
「………それはちょっと。」
うん、どういうことだ?
「わたしから説明致します。
実は、この方はヤライの者ではありません。
カトウ公爵様、もう変身を解いて下さいますか。」
カトウ公爵?
マサル殿は、デカさんに頷くと、一瞬光に包まれ、次の瞬間人族に変わっていた。
「こちらはジャボ大陸キンコー王国のカトウ公爵様です。
こちらの2人は、カトウ公爵様の御子息とご令嬢です。
色々ありまして、わたし達ヤライ族を助けるために、わざわざ力をお貸し頂きました。」
「キンコー王国のカトウ公爵というと、あの『救国の英雄』殿か!!」
「正体を明かさずに失礼致しました。
わたしは、マサル・カトウ、こちらはランスとイリヤです。
縁あって、デカさんの護衛とヤライ族の支援を行っております。」
なるほど、噂に聞く英雄殿であれば、あの時間停止を始めとしたとんでもない魔法も納得できるというものだ。
隠密からの報告は、かなり誇張されたものだと思っていたが、あながち誇張ではなかったのかも知れない。
「もしかして、ヤコブの騒動収束や、スパニの猛攻を防ぎ、大きく戦力を削ったというのも、カトウ公爵の仕業なのか?」
「わたしは少し手を貸しただけです。
ヤコブもヤライも自分達で、きちんと解決されました。」
「ヤライにヤコブ、そしてロンドーまで、カトウ公爵のおかげで救われた。
感謝します。
そしてデカさんを守って頂きありがとうございました。」
「デカさんを守っていたのはランスとイリヤです。」
「ランス君、イリヤちゃん、わたしの妻のデカを守ってくれてありがとう。
何か君達に報いたいのだが、何か欲しいものはあるかい?」
「………アーク殿下、ひとつお願いしてもいいですか。
できれば、こちらに移転の魔道具を設置させて頂き、自由にこちらに来れるようにして頂けませんか。
あと、その魔道具で、わたし達の先生をこちらに連れて来たいのですが。」
「ああ、シルビア先生のことね。
確かにわたしが亜人大陸に戻るって言ったら、一緒に来たがっていたものね。」
デカさんの言葉にランス君は少し困ったような顔をして、話しを続ける。
「そうなんです。ジャボ大陸でも有名な薬学と医学の大家なんですけど、亜人大陸の薬草に興味津々でして。……」
「ランス君、わかったよ。許可しよう。
亜人大陸は、ジャボ大陸よりも、薬学や医学がかなり遅れているから、情報交換させて頂けると、こちらも助かるしな。」
「ありがとうございます。シルビア先生も喜ぶと思います。」
「もちろん君達もいつでも気軽に来ていいよ。
君達ならばいつでも大歓迎だ。」
どうやらヤライの姫は、ジャボ大陸との強力なコネクションも持ってきてくれたようだ。
3日後、わたしとデカさんの結婚式が盛大に行われた。
また、それに合わせてわたしの王への即位を発表した。
ロンドーは大きな歓喜に沸いていた。
<<新宰相ヤクル視点>>
わたしは、ハロの供述を受けて顔が青ざめていくのを感じた。
父上が、この謀反の元凶だったなんて!
わたしは父上が老いてからの子供だった。
だから、わたしが物心ついた時には、父上は既に亡くなっていた。
しかしそんなことは何の言い訳にもなるまい。
国家を揺るがすような罪を犯した者は、一族全てが処罰対象になることは、この国の慣例である。
わたしも真摯に受け入れようと思う。
幸いにして、わたしはまだ独身だ。
やっと宰相に登り詰め、アーク殿下と共に理想に向かって行けるところまで来たのを、ここで放り出すのには、正直残念だ。
ただこれも運命として諦めるしかないだろう。
愕然とするわたしにアーク殿下は、優しく声を掛けて下さった。
「ヤクル、お前は何も関係無いだろう。
お前が小さい頃にバクターは既に他界していたのだ。
まぁ、バクターの威光が無かった訳では無いだろうが、お前が一生懸命に学び、実績を積んで宰相に登り詰めたことは、わたしが一番知っている。
バクターはバクター、お前はお前だ。
そのことを忘れるなよ。」
わたしはアーク殿下の話しを噛みしめた。そして、決意する。
この方が歩む道は決して順風では無いだろう。
でも、わたしが盾にでも矛にでもなって、生涯この方を支えて行こうと。
キャロの側近であるハロの自白で、50年に渡る長い闇が明らかになった。
同時に今回の事件に関わった者達を一網打尽にすることも出来た。
どいつもこいつも、ヤライを再度植民地に戻そうと活動していた輩ばかりだった。
結果から言えば、ロンドーは膿を吐き出して浄化されたと言えよう。
しかし、デカさんの護衛であるマサル殿がいなければ、最悪の結末になっていたことを考えると、背中に汗が溢れる。
「マサル殿、今回は本当に助かった。
礼を言う。
これからも、デカやわたしのために、力を貸してもらいたい。」
「………それはちょっと。」
うん、どういうことだ?
「わたしから説明致します。
実は、この方はヤライの者ではありません。
カトウ公爵様、もう変身を解いて下さいますか。」
カトウ公爵?
マサル殿は、デカさんに頷くと、一瞬光に包まれ、次の瞬間人族に変わっていた。
「こちらはジャボ大陸キンコー王国のカトウ公爵様です。
こちらの2人は、カトウ公爵様の御子息とご令嬢です。
色々ありまして、わたし達ヤライ族を助けるために、わざわざ力をお貸し頂きました。」
「キンコー王国のカトウ公爵というと、あの『救国の英雄』殿か!!」
「正体を明かさずに失礼致しました。
わたしは、マサル・カトウ、こちらはランスとイリヤです。
縁あって、デカさんの護衛とヤライ族の支援を行っております。」
なるほど、噂に聞く英雄殿であれば、あの時間停止を始めとしたとんでもない魔法も納得できるというものだ。
隠密からの報告は、かなり誇張されたものだと思っていたが、あながち誇張ではなかったのかも知れない。
「もしかして、ヤコブの騒動収束や、スパニの猛攻を防ぎ、大きく戦力を削ったというのも、カトウ公爵の仕業なのか?」
「わたしは少し手を貸しただけです。
ヤコブもヤライも自分達で、きちんと解決されました。」
「ヤライにヤコブ、そしてロンドーまで、カトウ公爵のおかげで救われた。
感謝します。
そしてデカさんを守って頂きありがとうございました。」
「デカさんを守っていたのはランスとイリヤです。」
「ランス君、イリヤちゃん、わたしの妻のデカを守ってくれてありがとう。
何か君達に報いたいのだが、何か欲しいものはあるかい?」
「………アーク殿下、ひとつお願いしてもいいですか。
できれば、こちらに移転の魔道具を設置させて頂き、自由にこちらに来れるようにして頂けませんか。
あと、その魔道具で、わたし達の先生をこちらに連れて来たいのですが。」
「ああ、シルビア先生のことね。
確かにわたしが亜人大陸に戻るって言ったら、一緒に来たがっていたものね。」
デカさんの言葉にランス君は少し困ったような顔をして、話しを続ける。
「そうなんです。ジャボ大陸でも有名な薬学と医学の大家なんですけど、亜人大陸の薬草に興味津々でして。……」
「ランス君、わかったよ。許可しよう。
亜人大陸は、ジャボ大陸よりも、薬学や医学がかなり遅れているから、情報交換させて頂けると、こちらも助かるしな。」
「ありがとうございます。シルビア先生も喜ぶと思います。」
「もちろん君達もいつでも気軽に来ていいよ。
君達ならばいつでも大歓迎だ。」
どうやらヤライの姫は、ジャボ大陸との強力なコネクションも持ってきてくれたようだ。
3日後、わたしとデカさんの結婚式が盛大に行われた。
また、それに合わせてわたしの王への即位を発表した。
ロンドーは大きな歓喜に沸いていた。
<<新宰相ヤクル視点>>
わたしは、ハロの供述を受けて顔が青ざめていくのを感じた。
父上が、この謀反の元凶だったなんて!
わたしは父上が老いてからの子供だった。
だから、わたしが物心ついた時には、父上は既に亡くなっていた。
しかしそんなことは何の言い訳にもなるまい。
国家を揺るがすような罪を犯した者は、一族全てが処罰対象になることは、この国の慣例である。
わたしも真摯に受け入れようと思う。
幸いにして、わたしはまだ独身だ。
やっと宰相に登り詰め、アーク殿下と共に理想に向かって行けるところまで来たのを、ここで放り出すのには、正直残念だ。
ただこれも運命として諦めるしかないだろう。
愕然とするわたしにアーク殿下は、優しく声を掛けて下さった。
「ヤクル、お前は何も関係無いだろう。
お前が小さい頃にバクターは既に他界していたのだ。
まぁ、バクターの威光が無かった訳では無いだろうが、お前が一生懸命に学び、実績を積んで宰相に登り詰めたことは、わたしが一番知っている。
バクターはバクター、お前はお前だ。
そのことを忘れるなよ。」
わたしはアーク殿下の話しを噛みしめた。そして、決意する。
この方が歩む道は決して順風では無いだろう。
でも、わたしが盾にでも矛にでもなって、生涯この方を支えて行こうと。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~
中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」
唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。
人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。
目的は一つ。充実した人生を送ること。
異世界転生特典『絶対安全領域(マイホーム)』~家の中にいれば神すら無効化、一歩も出ずに世界最強になりました~
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が転生時に願ったのは、たった一つ。「誰にも邪魔されず、絶対に安全な家で引きこもりたい!」
その切実な願いを聞き入れた神は、ユニークスキル『絶対安全領域(マイホーム)』を授けてくれた。この家の中にいれば、神の干渉すら無効化する究極の無敵空間だ!
「これで理想の怠惰な生活が送れる!」と喜んだのも束の間、追われる王女様が俺の庭に逃げ込んできて……? 面倒だが仕方なく、庭いじりのついでに追手を撃退したら、なぜかここが「聖域」だと勘違いされ、獣人の娘やエルフの学者まで押しかけてきた!
俺は家から出ずに快適なスローライフを送りたいだけなのに! 知らぬ間に世界を救う、無自覚最強の引きこもりファンタジー、開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる