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第12章 イリヤと薬学
2 【謎の病気1】
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<<スリトー王国サヤマ村住民サキヤ視点>>
「おばさん、ヤシムの調子はどう?」
「サキヤちゃん、相変わらずだよ。
熱が上がったり、下がったりだね。」
「そう、心配だよね。
わたし、山に薬草を取りに行って来るよ。」
「サキヤちゃん、嬉しいんだけど、やめといておくれ。
山にはヤマトー侯爵家の残党がいて、野盗化しているって話しじゃないか。」
「でもっ!このまま、様子を見ていたら、ヤシムが死んじゃうかもっ!」
「それでも、サキヤちゃんの方が心配さ。
なに、ヤシムは強い子さ。
きっと明日にでも良くなっているよ。」
わたしは、苦しそうに呻いているヤシムの姿を見て、心に誓いました。
やはり、わたしが薬草を取りに行かなきゃ。
わたし達の住むサヤマ村の裏山には遥か昔、竜が住んでいたという伝説があります。
その竜の住処だったという頂上近くにある泉には、不思議な力を持つ薬草が生えているという伝説があるのです。
何でも伝説の薬『エリクサー』を作るための原料になるというその薬草を求めて、昔からたくさんの人達が山に入ったそうです。
見つかったという話しは聞いたことがありませんが……
でも、その薬草があればヤシムは助かると思うんです。
次の日、わたしは皆んなに黙って、山に向かいました。
山の中腹までは、わたしにとって庭のようなものです。
いつもキノコや薪を取りに行っていますから。
でも、そこから上には行ったことがありません。
その先は神聖な領域として、立ち入りが禁止されているからです。
だから黙って出てきました。
わたしはいつものように山を登って行きます。
野盗は怖いですけど、この山の中なら見つかっても逃げ切る自信があります。
どんどん山を登って行きます。
やがて、禁止されている区域まで辿り着きました。
ここからは未知の世界です。
緩やかな道が出来ていたここまでは、何の問題もなかったけど、何十年も人が入っていないだろうこの辺りは、上りも急だし道もありません。
獣が通ったと思われる、倒れた草の間をかき分けて、頂上目掛けて少しずつ進んで行きます。
少し早足で行かなきゃ。
思ったよりも進まない足に焦りが出てきました。
こんなところで野宿は無理です。
カサカサカサカサ
草をかき分ける音が聞こえました。
次の瞬間、前方の大木の陰から人影が見えました。
「なんだよ、子供じゃねえか。
クソが!何の役にも立ちやしねえ。
俺達がいることをチクられたら困るから、殺してしまおうぜ。」
何日も水浴びをしていないであろう全身真っ黒に汚れた男達が10人くらい出てくるのが見えました。
距離にして20メートルくらいでしょうか。
今なら逃げられる!
わたしは躊躇しませんでした。真っすぐ後ろを振り返ると全速で走り出しました。
「おっと!」
目の前に別の男が飛び出してきました。
慌てて立ち止まります。
どうやら囲まれていたようです。
「お嬢ちゃん、あきらめな!
お前はここで死んでもらうよ。
それとも、俺達と一緒に来て相手をしてくれるかい? へへへへっ。
隊長、この娘連れて行ってもいいですかい?」
「む、全くお前たちは! 分かった。好きにすればよい。」
既に腕を掴まれて動きを抑えられたわたしには逃げることもできず、下卑た笑いを浮かべる男に連れていかれるしかありません。
汚い男達2人に腕を掴まれ、森の奥深くに連れていかれます。
やがて岩壁に空いた洞窟が見えた時、わたしは自分に降りかかった危険を現実のものとして感じるようになり、急に怖くなりました。
「だ、誰か、助けてー!!」
「ちっ、これまで大人しかったのに、今頃騒ぐのかよ!
こんなところで騒いだって誰も来ねえよ!!
観念しな。」
わたし自身も声を上げることが何の意味も持たないことを分かっていました。
でもこうするしか、自分に降りかかる恐怖を抑えることができなかったのです。
洞窟の前に連れて行かれるまでの数分、わたしは叫び続けたのです。
そして、ついに洞窟の前に着いた時、わたしの腕を捕っている男のひとりが、洞窟の入り口を開けるために手を放しました。
わたしはもうひとりの男の脛を蹴って、男がひるんだ隙に腕を振りほどき走り出しました。
「痛っ、てめー何しやがる!!」
男はすぐにわたしの腕を掴もうとして襲い掛かってきました。
「うっ! 身体が動かねえ!!」
「お、俺もだ!!」
突然、その場にいた男達全員が金縛りにあったかのように急に動きを止めてしまいます。
「あなた、さあ早くこちらに!!」
わたしを呼ぶ女の人の声が聞こえました。
わたしは大急ぎで声の方に走り出しました。
女の人の姿が見えるわけではありません。でも声は鮮明に聞こえるし、なぜか行くべき方向も分かります。
男達の怒号が聞こえる中、わたしは声に誘われるまま走り続けました。
やがて、いつもキノコを採取しているあたりまで出て来た頃、わたしは安堵感からそこに座り込んでしまいました。
もう男達の声は聞こえません。
女の人の声も気配も消えました。
「おーい、サキヤちゃん!どこにいるんだー。返事をしておくれー。」
良く知っている声が聞こえてきました。
お隣のシルバおじさんの声です。
わたしはシルバおじさんの声がする方向に走っていきました。
「おばさん、ヤシムの調子はどう?」
「サキヤちゃん、相変わらずだよ。
熱が上がったり、下がったりだね。」
「そう、心配だよね。
わたし、山に薬草を取りに行って来るよ。」
「サキヤちゃん、嬉しいんだけど、やめといておくれ。
山にはヤマトー侯爵家の残党がいて、野盗化しているって話しじゃないか。」
「でもっ!このまま、様子を見ていたら、ヤシムが死んじゃうかもっ!」
「それでも、サキヤちゃんの方が心配さ。
なに、ヤシムは強い子さ。
きっと明日にでも良くなっているよ。」
わたしは、苦しそうに呻いているヤシムの姿を見て、心に誓いました。
やはり、わたしが薬草を取りに行かなきゃ。
わたし達の住むサヤマ村の裏山には遥か昔、竜が住んでいたという伝説があります。
その竜の住処だったという頂上近くにある泉には、不思議な力を持つ薬草が生えているという伝説があるのです。
何でも伝説の薬『エリクサー』を作るための原料になるというその薬草を求めて、昔からたくさんの人達が山に入ったそうです。
見つかったという話しは聞いたことがありませんが……
でも、その薬草があればヤシムは助かると思うんです。
次の日、わたしは皆んなに黙って、山に向かいました。
山の中腹までは、わたしにとって庭のようなものです。
いつもキノコや薪を取りに行っていますから。
でも、そこから上には行ったことがありません。
その先は神聖な領域として、立ち入りが禁止されているからです。
だから黙って出てきました。
わたしはいつものように山を登って行きます。
野盗は怖いですけど、この山の中なら見つかっても逃げ切る自信があります。
どんどん山を登って行きます。
やがて、禁止されている区域まで辿り着きました。
ここからは未知の世界です。
緩やかな道が出来ていたここまでは、何の問題もなかったけど、何十年も人が入っていないだろうこの辺りは、上りも急だし道もありません。
獣が通ったと思われる、倒れた草の間をかき分けて、頂上目掛けて少しずつ進んで行きます。
少し早足で行かなきゃ。
思ったよりも進まない足に焦りが出てきました。
こんなところで野宿は無理です。
カサカサカサカサ
草をかき分ける音が聞こえました。
次の瞬間、前方の大木の陰から人影が見えました。
「なんだよ、子供じゃねえか。
クソが!何の役にも立ちやしねえ。
俺達がいることをチクられたら困るから、殺してしまおうぜ。」
何日も水浴びをしていないであろう全身真っ黒に汚れた男達が10人くらい出てくるのが見えました。
距離にして20メートルくらいでしょうか。
今なら逃げられる!
わたしは躊躇しませんでした。真っすぐ後ろを振り返ると全速で走り出しました。
「おっと!」
目の前に別の男が飛び出してきました。
慌てて立ち止まります。
どうやら囲まれていたようです。
「お嬢ちゃん、あきらめな!
お前はここで死んでもらうよ。
それとも、俺達と一緒に来て相手をしてくれるかい? へへへへっ。
隊長、この娘連れて行ってもいいですかい?」
「む、全くお前たちは! 分かった。好きにすればよい。」
既に腕を掴まれて動きを抑えられたわたしには逃げることもできず、下卑た笑いを浮かべる男に連れていかれるしかありません。
汚い男達2人に腕を掴まれ、森の奥深くに連れていかれます。
やがて岩壁に空いた洞窟が見えた時、わたしは自分に降りかかった危険を現実のものとして感じるようになり、急に怖くなりました。
「だ、誰か、助けてー!!」
「ちっ、これまで大人しかったのに、今頃騒ぐのかよ!
こんなところで騒いだって誰も来ねえよ!!
観念しな。」
わたし自身も声を上げることが何の意味も持たないことを分かっていました。
でもこうするしか、自分に降りかかる恐怖を抑えることができなかったのです。
洞窟の前に連れて行かれるまでの数分、わたしは叫び続けたのです。
そして、ついに洞窟の前に着いた時、わたしの腕を捕っている男のひとりが、洞窟の入り口を開けるために手を放しました。
わたしはもうひとりの男の脛を蹴って、男がひるんだ隙に腕を振りほどき走り出しました。
「痛っ、てめー何しやがる!!」
男はすぐにわたしの腕を掴もうとして襲い掛かってきました。
「うっ! 身体が動かねえ!!」
「お、俺もだ!!」
突然、その場にいた男達全員が金縛りにあったかのように急に動きを止めてしまいます。
「あなた、さあ早くこちらに!!」
わたしを呼ぶ女の人の声が聞こえました。
わたしは大急ぎで声の方に走り出しました。
女の人の姿が見えるわけではありません。でも声は鮮明に聞こえるし、なぜか行くべき方向も分かります。
男達の怒号が聞こえる中、わたしは声に誘われるまま走り続けました。
やがて、いつもキノコを採取しているあたりまで出て来た頃、わたしは安堵感からそこに座り込んでしまいました。
もう男達の声は聞こえません。
女の人の声も気配も消えました。
「おーい、サキヤちゃん!どこにいるんだー。返事をしておくれー。」
良く知っている声が聞こえてきました。
お隣のシルバおじさんの声です。
わたしはシルバおじさんの声がする方向に走っていきました。
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