最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~

まーくん

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第14章 そして神になった

42【この世界の果てで3】

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<<ダイス視点>>



意識が戻った時、目の前にはオオカミが倒れていた。



その腹には綺麗に引かれた赤い筋が一本。そしてそこからは真っ赤な血があふれていた。



「うっ!」



辺りに漂う異臭が鼻をうつ。



見渡すと周りにも同じような姿を晒しているオオカミが4頭いた。



何が起こったのかは分からないが、右手に握ったナイフに血がついている。



「俺がやったのか? まさかな。「儂が殺ったのだ。」 ええーーー!」



突然頭の中に知らない声が響く。



年寄りのように皴がれてはいるが凛として、はっきりとした意思を持った声。



『あなたは?』



『儂か。儂の名はムサシ。遠の昔に死んだ男じゃ。どうやらこの漆黒の世界はおぬしの意識に繋がっておるようじゃのお。』



俺の中にもうひとりいるっていうこと?



『儂は死んでから長い間この漆黒の闇の中に居った。

光が見えた時、小太刀で向かってきたそ奴らを切った。

そしてそのまま、おぬしの意識と同化したようじゃ。』



『ムサシ....さん?俺の考えてることも分かるの?』



『分かるぞ、おぬしの名前はダイス、カレッジ?ああ寺子屋のことだな。そのカレッジに通っておるのじゃろ。



頭はそこそこのようじゃが、腕っぷしはからっきしのようじゃの。



ほう、今困っておるのか。ここから出たいのかの。



出してやろうか。』



『お願いします。あっ、それとここに一緒に入った仲間がいると思うのですが彼らの居場所も分かれば....』



『....そ奴らの気配は感じられのお。既にこの辺りにはおらぬかもしれんな。



どちらにしてもこの辺りの雰囲気はおかしい。まやかしにかかっているようだ。

ともかく、ここから出るぞ。』



ムサシの意思通りに進む。



身体がやけに軽く感じられるのは気のせいだろうか。



そして、あれだけ出ることが叶わなかった森を1時間程で脱出することができた。



屋敷まで走って戻る。



屋敷の中に入ろうとすると、屋敷の前に立つ警備兵が俺を見て訝しげに押しとどめた。



「貴様どこに行く?ここはジネン子爵様のお屋敷であるぞ。」



見知らぬ顔の警備兵は剣も抜きかねない勢いで俺をにらんだ。



自分の主人の息子の顔を知らぬわけもあるまいし、なぜ止められるのか分からず俺は困惑した。



「俺はここの3男ダイスだ。自分の家に入ることに何か問題でもあるのか?」



「なに?3男だと。このお屋敷にはお子君はおふたりしかおらぬ。



しかもまだ10にも満たぬわ。ご当家の名をかたる痴れ者め!」



「何事です、騒がしい。」



「これは奥方様、この痴れ者がご当家の御3男だと偽るもので、諫めておりました。」



「3男?ヤイスのことですか?」



ヤイス?



「わたしの名前はダイスといいます。ジネン子爵家の3男なのですが、失礼ですがあなたは?」



「わたしはジネン伯爵夫人マリサといいます。何かお間違えでは?」



伯爵家?



わけが分からないが、とにかく俺がここで認知されていないことだけははっきりわかった。



「ダイスさんと仰いましたか。たしか50年ほど前にそんな名前の方がおられたと聞いたことがありますが。」



50年前だと。



「ジョー様はご存命でしょうか?ストー様は?」



「大旦那様は5年前に他界されましたが。ストー様はもうずいぶん前にお亡くなりになったと聞いております。」



なんということだ。50年も時が経ち、兄貴もふたり共亡くなっているとは。



それでは俺を知る者もおるまいし、俺は既に無きものとなっているのであろう。



「失礼いたしました。ジネン子爵家はいつ伯爵家に?」



「以前クーデターを起こそうとした大臣を大旦那様が事前に突き止め未遂に終わらせた功績により15年前に。」



「そうでしたか。それは良かった。では大旦那様も幸せに逝かれたのですね。



大変失礼いたしました。わたしの勘違いだったようです。



ご無礼お許し下さい。」



「あのー」



その不思議なものに触れたような戸惑いの声を背に俺は来た道と反対の道を足早に歩いていったのだった。




『さてムサシさん、どうしたもんですかね。あれから50年の時が経ってるらしいですよ。』



『そうみたいだな。あの女、嘘をついてるようにも見えんかったわ。



ところでこれからどうするのだ。気持ちは分からぬでもないが、決めねばのう。』



『ムサシさん、俺やりたいことがあるんだけど聞いてくれる?』



『なんだ?』



『俺、世界の果てを見てみたいんだ。前は力も無かったし、貴族の立場もあったからそんなことは言い出せなかったんだけど。』



『今なら何のしがらみも無くなったということか。ならば儂がお前の力になってやろう。



地の果てについては儂も興味がある。儂のいた世界には地の果ては滝になっており、漆黒が広がっているとも、涅槃があるとも言われておったな。



よし、早速行ってみようではないか。』



俺はこうして地の果てを探す旅に出たのだった。


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