366 / 382
第14章 そして神になった
【怪盗スペルチ団4】
しおりを挟む
<<スペルチ団団長カリナ視点>>
トラファルガを襲ってから数週間後、わたし達は次の獲物を調査していた。
次に狙うのは、最近事業を急拡大させているシベリス商会。
様々な商品を販売する総合商社だが、ヤスハがきな臭い噂を聞いてきた。
どうやら、最近はやりの生命エネルギーカプセルでぼろ儲けしているらしい。
生命エネルギーは、わたし達が暮らすうえで最低限必要なモノであり、基本的には政府より配給されるモノである。
それは政府の機関である異世界管理局が飼育している様々な農場で得られたモノを集めて分配しているのだ。
これまでは需要と供給のバランスを維持するために配給以外で出回ることが無かったのだが、最近では”異世界と呼ばれる農場”での有用な収穫方法が見つかったみたいで供給過剰気味になっているらしい。
そこで数年前に法律が改正され、過剰供給分の生命エネルギーを政府が一部特定業者に販売し、彼らが小売りできるようになった。
生命エネルギーは美容や健康促進にも効果があると言われており、カプセル化して小売りされた生命エネルギーは、金持ちを中心に品薄状態だと聞いている。
「たしかにシベリス商会は政府公認の生命エネルギー小売り指定業者だが、そんなに儲かるというほど量は無いはずだが?」
「ええお頭、おっしゃる通りです。だが生命エネルギーを闇で横流しされているとしたらどうです?」
「なに!そんなことが出来るのか?
いや、わたしの友人にも異世界管理局の者がいるが、そんなことが出来るような抜け道は無いはずだが。」
「わたしもそう聞いていますが、まだ不確かな情報なので何とも言えませんが、あの闇での販売量は確かに異常です。」
「分かった、どちらにしても金庫にはたんまりとお宝が眠っているということは間違いないわけだな。
よし、続けて調べてくれ。わたしも友人の伝手でそれとなく探ってみるよ。」
翌日、わたしはマリスを呼び出した。彼女とは学生時代の級友で、マリスが学内のトラブルに巻き込まれたところを助けてやったのが最初の出会いであり、それから学校の評価が全く正反対のふたりは親しい関係となった。
卒業してから会うのは久しぶりになるのだが。
「カリナ~久しぶり~。元気だった~」
相変わらず間の抜けた奴だな。これで最高学府の首席だったんだから、分からんもんだ。
「それでね~………」
喫茶店に入ると懐かしい彼女の声がマシンガンのように続く。
あれだけ鬱陶しいって言ったのに、結局卒業するまで止まることのなかったその姦しい声も、久しぶりに聞くと心地好く聞こえるんだからおかしなもんだ。
「そうだ、カリナ~、何か話しがあるって言ってなかった?」
懐かしさに半分夢心地で聞いていたわたしは、マリスの問い掛けに本来の目的を思い出す。
「マリス、最近生命エネルギーが盗まれたりしてないか?」
しまった。単刀直入過ぎたか。
突然こんな質問をしたらいくらなんでも怪し過ぎるだろう。
マリスは少し驚いた様子でこちらを見て、ニコッと笑う。
「うーん、それに関しては機密情報だから言えないかなぁ。
でもどうしてそんなこと聞くの?」
「いやね、最近生命エネルギーカプセルが大量に出回っているみたいなんだ。
うちの会社でも扱いたいんだけど出所が分からなくってね。
もしかしたら犯罪絡みかと思ったのさ。」
苦し紛れに適当に言葉を返す。
「そうかあ、ぶつぶつ……ミリアが呼び出した召喚者が何者かに拐われたとか、ぶつぶつ………次元の狭間で無限ループが…
あっ、そろそろいい時間になったわ。
わたし仕事に戻らなきゃ。
ごめんね、カリナ。また会おうね。」
忙しくそれだけ言うと マリスは急いで街に消えて行った。
「アイツ、相変わらずそそっかしい奴だな。
ただ、情報は手に入った。
ハシリやヤスハ達と纏めなきゃな。」
わたしはアジトとなるダミー会社に戻った。
「お頭、良い友達をお持ちですね。」
アジトでハシリ達と机を囲んで情報を交換する。
マリスからの情報をふたりに話すと、ふたりはわたしとマリスの関係を微笑みながら喜んでくれた。
「きっとマリスさんは、お嬢がスペルチ団の団長だって分かってて教えてくれたんだと思いますよ。」
今スペルチ団でわたしのことをお嬢って呼ぶのはこのふたりだけだ。
親父が残してくれた最高の宝物のふたりと共に、親父の遺志を継いでやろう。
でもふたり共マリスを買いかぶり過ぎだよ。
アイツは頭は良いけどド天然だからね。
わたし達の仕事に気付いてるはず無いじゃないか。
<<ヤスハ視点>>
久しぶりにお嬢の楽しそうな声を聞けたな。
父親でもある前のお頭が不慮の怪我で亡くなってから儂らムサイ男所帯を纏めあげるのは大変だったろう。
久しぶりの旧友との再会も良い息抜きになったんじゃないかな。
マリス嬢も昔から変わった娘だと思ってたが、気遣いの出来る良い娘さんになったようだ。
昔はよくここにも遊びに来てたっけ。
タイミング悪く、儂らがスペルチ団だと知られてしまってからも、変わらずお嬢と付き合ってくれた時は本当に嬉しかったな。
お頭の命令でお嬢には黙っていたから、お嬢は知られていないって思ってるみたいだけどね。
まあ懐かしい思い出はさておいて、仕事だ仕事。
お頭やハシリとの報告会でいくつか確認すべき事項が出てきた。
お頭がマリス嬢から聞いていた情報によると、結構大ごとが絡んでる可能性が高いじゃないか。
次元の狭間とか誘拐だとか。
生命エネルギーの横流しなんてことをやろうってんだから、ただごとじゃないことは確かだ。
マリス嬢の情報も少なからず関係しているだろう。
こりゃ気を引き締めていかないと大変なことになりそうだな。
まずはひとつづつ潰していくかな。
トラファルガを襲ってから数週間後、わたし達は次の獲物を調査していた。
次に狙うのは、最近事業を急拡大させているシベリス商会。
様々な商品を販売する総合商社だが、ヤスハがきな臭い噂を聞いてきた。
どうやら、最近はやりの生命エネルギーカプセルでぼろ儲けしているらしい。
生命エネルギーは、わたし達が暮らすうえで最低限必要なモノであり、基本的には政府より配給されるモノである。
それは政府の機関である異世界管理局が飼育している様々な農場で得られたモノを集めて分配しているのだ。
これまでは需要と供給のバランスを維持するために配給以外で出回ることが無かったのだが、最近では”異世界と呼ばれる農場”での有用な収穫方法が見つかったみたいで供給過剰気味になっているらしい。
そこで数年前に法律が改正され、過剰供給分の生命エネルギーを政府が一部特定業者に販売し、彼らが小売りできるようになった。
生命エネルギーは美容や健康促進にも効果があると言われており、カプセル化して小売りされた生命エネルギーは、金持ちを中心に品薄状態だと聞いている。
「たしかにシベリス商会は政府公認の生命エネルギー小売り指定業者だが、そんなに儲かるというほど量は無いはずだが?」
「ええお頭、おっしゃる通りです。だが生命エネルギーを闇で横流しされているとしたらどうです?」
「なに!そんなことが出来るのか?
いや、わたしの友人にも異世界管理局の者がいるが、そんなことが出来るような抜け道は無いはずだが。」
「わたしもそう聞いていますが、まだ不確かな情報なので何とも言えませんが、あの闇での販売量は確かに異常です。」
「分かった、どちらにしても金庫にはたんまりとお宝が眠っているということは間違いないわけだな。
よし、続けて調べてくれ。わたしも友人の伝手でそれとなく探ってみるよ。」
翌日、わたしはマリスを呼び出した。彼女とは学生時代の級友で、マリスが学内のトラブルに巻き込まれたところを助けてやったのが最初の出会いであり、それから学校の評価が全く正反対のふたりは親しい関係となった。
卒業してから会うのは久しぶりになるのだが。
「カリナ~久しぶり~。元気だった~」
相変わらず間の抜けた奴だな。これで最高学府の首席だったんだから、分からんもんだ。
「それでね~………」
喫茶店に入ると懐かしい彼女の声がマシンガンのように続く。
あれだけ鬱陶しいって言ったのに、結局卒業するまで止まることのなかったその姦しい声も、久しぶりに聞くと心地好く聞こえるんだからおかしなもんだ。
「そうだ、カリナ~、何か話しがあるって言ってなかった?」
懐かしさに半分夢心地で聞いていたわたしは、マリスの問い掛けに本来の目的を思い出す。
「マリス、最近生命エネルギーが盗まれたりしてないか?」
しまった。単刀直入過ぎたか。
突然こんな質問をしたらいくらなんでも怪し過ぎるだろう。
マリスは少し驚いた様子でこちらを見て、ニコッと笑う。
「うーん、それに関しては機密情報だから言えないかなぁ。
でもどうしてそんなこと聞くの?」
「いやね、最近生命エネルギーカプセルが大量に出回っているみたいなんだ。
うちの会社でも扱いたいんだけど出所が分からなくってね。
もしかしたら犯罪絡みかと思ったのさ。」
苦し紛れに適当に言葉を返す。
「そうかあ、ぶつぶつ……ミリアが呼び出した召喚者が何者かに拐われたとか、ぶつぶつ………次元の狭間で無限ループが…
あっ、そろそろいい時間になったわ。
わたし仕事に戻らなきゃ。
ごめんね、カリナ。また会おうね。」
忙しくそれだけ言うと マリスは急いで街に消えて行った。
「アイツ、相変わらずそそっかしい奴だな。
ただ、情報は手に入った。
ハシリやヤスハ達と纏めなきゃな。」
わたしはアジトとなるダミー会社に戻った。
「お頭、良い友達をお持ちですね。」
アジトでハシリ達と机を囲んで情報を交換する。
マリスからの情報をふたりに話すと、ふたりはわたしとマリスの関係を微笑みながら喜んでくれた。
「きっとマリスさんは、お嬢がスペルチ団の団長だって分かってて教えてくれたんだと思いますよ。」
今スペルチ団でわたしのことをお嬢って呼ぶのはこのふたりだけだ。
親父が残してくれた最高の宝物のふたりと共に、親父の遺志を継いでやろう。
でもふたり共マリスを買いかぶり過ぎだよ。
アイツは頭は良いけどド天然だからね。
わたし達の仕事に気付いてるはず無いじゃないか。
<<ヤスハ視点>>
久しぶりにお嬢の楽しそうな声を聞けたな。
父親でもある前のお頭が不慮の怪我で亡くなってから儂らムサイ男所帯を纏めあげるのは大変だったろう。
久しぶりの旧友との再会も良い息抜きになったんじゃないかな。
マリス嬢も昔から変わった娘だと思ってたが、気遣いの出来る良い娘さんになったようだ。
昔はよくここにも遊びに来てたっけ。
タイミング悪く、儂らがスペルチ団だと知られてしまってからも、変わらずお嬢と付き合ってくれた時は本当に嬉しかったな。
お頭の命令でお嬢には黙っていたから、お嬢は知られていないって思ってるみたいだけどね。
まあ懐かしい思い出はさておいて、仕事だ仕事。
お頭やハシリとの報告会でいくつか確認すべき事項が出てきた。
お頭がマリス嬢から聞いていた情報によると、結構大ごとが絡んでる可能性が高いじゃないか。
次元の狭間とか誘拐だとか。
生命エネルギーの横流しなんてことをやろうってんだから、ただごとじゃないことは確かだ。
マリス嬢の情報も少なからず関係しているだろう。
こりゃ気を引き締めていかないと大変なことになりそうだな。
まずはひとつづつ潰していくかな。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~
中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」
唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。
人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。
目的は一つ。充実した人生を送ること。
異世界転生特典『絶対安全領域(マイホーム)』~家の中にいれば神すら無効化、一歩も出ずに世界最強になりました~
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が転生時に願ったのは、たった一つ。「誰にも邪魔されず、絶対に安全な家で引きこもりたい!」
その切実な願いを聞き入れた神は、ユニークスキル『絶対安全領域(マイホーム)』を授けてくれた。この家の中にいれば、神の干渉すら無効化する究極の無敵空間だ!
「これで理想の怠惰な生活が送れる!」と喜んだのも束の間、追われる王女様が俺の庭に逃げ込んできて……? 面倒だが仕方なく、庭いじりのついでに追手を撃退したら、なぜかここが「聖域」だと勘違いされ、獣人の娘やエルフの学者まで押しかけてきた!
俺は家から出ずに快適なスローライフを送りたいだけなのに! 知らぬ間に世界を救う、無自覚最強の引きこもりファンタジー、開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる