最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~

まーくん

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第14章 そして神になった

【怪盗スペルチ団6】

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<<マサル視点>>



シベリス商会はすぐに見つかった。



高級店が立ち並ぶ目抜き通りの中ほどにひと際大きな威容を誇るその建物は、豪奢な服に身を包んだ買い物客で賑わっている。



1階には洋服やドレス、2階にはアクセサリ類、3階は魔道具等、そして4階以上はオフィスや倉庫として使用されているらしい。



中に入ろうと思ったが今の姿では他の客達と不釣り合いで目立ってしまいそうだ。



俺は近くの路地に入って、魔法で服を着替え変装する。



「まあこんなもんかな。」



他の客と同じような形で最も多かった色合いをチョイス。



顔もごく平凡で、意識して覚えないと記憶に残らない影の薄いタイプにしておく。



この世界は地球から見たら神の国なので、幻影魔法とかは見抜かれる可能性が高いから、化粧での変装となった。



準備を終えた俺は堂々と正面玄関から中に入る。



入口で厳つい警備係に紹介状の提示を求められる。



俺は内ポケットからさりげなく紹介状を出して見せるとすんなりと中に入れた。



変装をした5本先の路地では、紹介状を無くした貴族らしき男が騒いでいる声を超聴力で聞き取ったがそれは無視だな。



中には高貴族の執事の如く振舞う多くの店員が優雅にそれぞれに対応する顧客を接客している。



「いらっしゃいませ。何かお探しでしょうか?」



来た来た、俺の所にも店員が来たよ。



「ええ、今日は妻にプレゼントを探しに来たのですよ。」



「奥様にでございますか。洋服、アクセサリ等様々ございますが。」



「そうだな、いくつか見せてもらえるかな。」



恭しく傅くように振舞う店員に連れられて、俺は店内をくまなく歩いた。



「ちょっと痛い出費だったな。」



結局小一時間ほど1階から3階まで回って、内部を観察。

もちろん内部の詳細は録画済だ。



何も買わずに出ることもできず、俺はセミナー講師で稼いだ金を全て放出してアクセサリを買う羽目となった。



「まあ最近はリズにもプレゼントをしてなかったから、案外良かったかもな。」



そう自分に言い聞かせて変装を解いた俺は他の店も覗きながら事務所へと戻った。






事務所に帰った俺は早速録画した映像をチェックした。



警備や消防のための魔法具や、なんのためか分からないが四方の壁の天井際には小さく上に開くたくさんの隠し窓。



そして床には毛足の長いじゅうたんが見える。



一通り見た後、巻き戻して今度はそれぞれの場所に残った思念をチェックする。



なるほどあの隠し窓からは、警察の手入れが入った時に銃を乱射できるようになっているのか。



銃撃戦のテストをする映像が映し出されて少しぞっとする。




「あれっ、この床から出ている青い靄みたいなのは?」



じゅうたんの長い毛足の隙間から微妙に湧いてきている青い靄に目が留まった。



この部分をズームしながら、更に時間を遡っていく。



ひとりの男性が数人の厳つい警備員に連行され、地下室に連れていかれる光景が映っていた。



どうやらこの人の思念が靄となって現れていたのだ。



そして彼はまだ地下にいるようだ。



幸い、魔法に対する検知器や追跡の魔道具は置かれていない。



「そういえばマリス様達がこの世界で魔法を使うところを見たことがなかったな。」



この世界に来てからのことを振り返りながらひとりで呟く。



もしかしたらこの世界の住人はこの世界の中では魔法が使えないのかもしれない。



確かにラスク星に比べて魔素は薄いからかもな。



それにこれだけ魔道具が発達していれば、魔法なんて使う必要も無いし、もしかしたらほとんどの人達は退化しているのかも。



油断をするつもりは無いが、魔法を使われる可能性はかなり低いと考えても良さそうだな。





さすがにこの時間になると警備も手薄になっているな。



明け方4時過ぎ、俺はシベリス商会の1階に侵入していた。



目的はもちろん地下に閉じ込められている男性の救出だ。



昼間入った時に目印を付けておいたから、短距離転移で移動。もちろんカメラの死角を狙った。



慎重にカメラの前にカメラに写るはずの店内風景を置いていく。



全てのカメラの映像を無効にしてから、魔力を薄く延ばして地下室を探る。



………いた。



広い1階の奥右隅、階段下に蹲る男性を発見した。



周りを探っても他の気配は見当たらない。



俺は土魔法を応用して1次的に床を流動させ穴を空ける。



念のために完全気配遮断を掛けてから慎重にそこに飛び降りた。



捕らわれている壮年の男は拷問にでもあったのだろうかあちこちに傷があり憔悴しきっているようだ。



その閉じられた目は俺を見ることはなく、口からは荒い息か不規則に吐かれていた。



姿を見て騒がれるのもまずいので先に催眠の魔法を掛けておく。



荒い息がある程度規則正しくなったところで手を拘束している枷を解除した。



とたんに警報音が鳴り響く。



まずい!



複数の足音が頭の上に響き渡る。



地下室への扉の鍵を開ける音が聞こえる頃、俺は男性を抱えて転移を試みたが、魔法が書き消される。



「しまった。この地下では魔法相殺が効いているのか。」



予想外の事態に俺は焦る心をなんとか抑えることしか出来なかった。
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