368 / 382
第14章 そして神になった
【怪盗スペルチ団6】
しおりを挟む
<<マサル視点>>
シベリス商会はすぐに見つかった。
高級店が立ち並ぶ目抜き通りの中ほどにひと際大きな威容を誇るその建物は、豪奢な服に身を包んだ買い物客で賑わっている。
1階には洋服やドレス、2階にはアクセサリ類、3階は魔道具等、そして4階以上はオフィスや倉庫として使用されているらしい。
中に入ろうと思ったが今の姿では他の客達と不釣り合いで目立ってしまいそうだ。
俺は近くの路地に入って、魔法で服を着替え変装する。
「まあこんなもんかな。」
他の客と同じような形で最も多かった色合いをチョイス。
顔もごく平凡で、意識して覚えないと記憶に残らない影の薄いタイプにしておく。
この世界は地球から見たら神の国なので、幻影魔法とかは見抜かれる可能性が高いから、化粧での変装となった。
準備を終えた俺は堂々と正面玄関から中に入る。
入口で厳つい警備係に紹介状の提示を求められる。
俺は内ポケットからさりげなく紹介状を出して見せるとすんなりと中に入れた。
変装をした5本先の路地では、紹介状を無くした貴族らしき男が騒いでいる声を超聴力で聞き取ったがそれは無視だな。
中には高貴族の執事の如く振舞う多くの店員が優雅にそれぞれに対応する顧客を接客している。
「いらっしゃいませ。何かお探しでしょうか?」
来た来た、俺の所にも店員が来たよ。
「ええ、今日は妻にプレゼントを探しに来たのですよ。」
「奥様にでございますか。洋服、アクセサリ等様々ございますが。」
「そうだな、いくつか見せてもらえるかな。」
恭しく傅くように振舞う店員に連れられて、俺は店内をくまなく歩いた。
「ちょっと痛い出費だったな。」
結局小一時間ほど1階から3階まで回って、内部を観察。
もちろん内部の詳細は録画済だ。
何も買わずに出ることもできず、俺はセミナー講師で稼いだ金を全て放出してアクセサリを買う羽目となった。
「まあ最近はリズにもプレゼントをしてなかったから、案外良かったかもな。」
そう自分に言い聞かせて変装を解いた俺は他の店も覗きながら事務所へと戻った。
事務所に帰った俺は早速録画した映像をチェックした。
警備や消防のための魔法具や、なんのためか分からないが四方の壁の天井際には小さく上に開くたくさんの隠し窓。
そして床には毛足の長いじゅうたんが見える。
一通り見た後、巻き戻して今度はそれぞれの場所に残った思念をチェックする。
なるほどあの隠し窓からは、警察の手入れが入った時に銃を乱射できるようになっているのか。
銃撃戦のテストをする映像が映し出されて少しぞっとする。
「あれっ、この床から出ている青い靄みたいなのは?」
じゅうたんの長い毛足の隙間から微妙に湧いてきている青い靄に目が留まった。
この部分をズームしながら、更に時間を遡っていく。
ひとりの男性が数人の厳つい警備員に連行され、地下室に連れていかれる光景が映っていた。
どうやらこの人の思念が靄となって現れていたのだ。
そして彼はまだ地下にいるようだ。
幸い、魔法に対する検知器や追跡の魔道具は置かれていない。
「そういえばマリス様達がこの世界で魔法を使うところを見たことがなかったな。」
この世界に来てからのことを振り返りながらひとりで呟く。
もしかしたらこの世界の住人はこの世界の中では魔法が使えないのかもしれない。
確かにラスク星に比べて魔素は薄いからかもな。
それにこれだけ魔道具が発達していれば、魔法なんて使う必要も無いし、もしかしたらほとんどの人達は退化しているのかも。
油断をするつもりは無いが、魔法を使われる可能性はかなり低いと考えても良さそうだな。
さすがにこの時間になると警備も手薄になっているな。
明け方4時過ぎ、俺はシベリス商会の1階に侵入していた。
目的はもちろん地下に閉じ込められている男性の救出だ。
昼間入った時に目印を付けておいたから、短距離転移で移動。もちろんカメラの死角を狙った。
慎重にカメラの前にカメラに写るはずの店内風景を置いていく。
全てのカメラの映像を無効にしてから、魔力を薄く延ばして地下室を探る。
………いた。
広い1階の奥右隅、階段下に蹲る男性を発見した。
周りを探っても他の気配は見当たらない。
俺は土魔法を応用して1次的に床を流動させ穴を空ける。
念のために完全気配遮断を掛けてから慎重にそこに飛び降りた。
捕らわれている壮年の男は拷問にでもあったのだろうかあちこちに傷があり憔悴しきっているようだ。
その閉じられた目は俺を見ることはなく、口からは荒い息か不規則に吐かれていた。
姿を見て騒がれるのもまずいので先に催眠の魔法を掛けておく。
荒い息がある程度規則正しくなったところで手を拘束している枷を解除した。
とたんに警報音が鳴り響く。
まずい!
複数の足音が頭の上に響き渡る。
地下室への扉の鍵を開ける音が聞こえる頃、俺は男性を抱えて転移を試みたが、魔法が書き消される。
「しまった。この地下では魔法相殺が効いているのか。」
予想外の事態に俺は焦る心をなんとか抑えることしか出来なかった。
シベリス商会はすぐに見つかった。
高級店が立ち並ぶ目抜き通りの中ほどにひと際大きな威容を誇るその建物は、豪奢な服に身を包んだ買い物客で賑わっている。
1階には洋服やドレス、2階にはアクセサリ類、3階は魔道具等、そして4階以上はオフィスや倉庫として使用されているらしい。
中に入ろうと思ったが今の姿では他の客達と不釣り合いで目立ってしまいそうだ。
俺は近くの路地に入って、魔法で服を着替え変装する。
「まあこんなもんかな。」
他の客と同じような形で最も多かった色合いをチョイス。
顔もごく平凡で、意識して覚えないと記憶に残らない影の薄いタイプにしておく。
この世界は地球から見たら神の国なので、幻影魔法とかは見抜かれる可能性が高いから、化粧での変装となった。
準備を終えた俺は堂々と正面玄関から中に入る。
入口で厳つい警備係に紹介状の提示を求められる。
俺は内ポケットからさりげなく紹介状を出して見せるとすんなりと中に入れた。
変装をした5本先の路地では、紹介状を無くした貴族らしき男が騒いでいる声を超聴力で聞き取ったがそれは無視だな。
中には高貴族の執事の如く振舞う多くの店員が優雅にそれぞれに対応する顧客を接客している。
「いらっしゃいませ。何かお探しでしょうか?」
来た来た、俺の所にも店員が来たよ。
「ええ、今日は妻にプレゼントを探しに来たのですよ。」
「奥様にでございますか。洋服、アクセサリ等様々ございますが。」
「そうだな、いくつか見せてもらえるかな。」
恭しく傅くように振舞う店員に連れられて、俺は店内をくまなく歩いた。
「ちょっと痛い出費だったな。」
結局小一時間ほど1階から3階まで回って、内部を観察。
もちろん内部の詳細は録画済だ。
何も買わずに出ることもできず、俺はセミナー講師で稼いだ金を全て放出してアクセサリを買う羽目となった。
「まあ最近はリズにもプレゼントをしてなかったから、案外良かったかもな。」
そう自分に言い聞かせて変装を解いた俺は他の店も覗きながら事務所へと戻った。
事務所に帰った俺は早速録画した映像をチェックした。
警備や消防のための魔法具や、なんのためか分からないが四方の壁の天井際には小さく上に開くたくさんの隠し窓。
そして床には毛足の長いじゅうたんが見える。
一通り見た後、巻き戻して今度はそれぞれの場所に残った思念をチェックする。
なるほどあの隠し窓からは、警察の手入れが入った時に銃を乱射できるようになっているのか。
銃撃戦のテストをする映像が映し出されて少しぞっとする。
「あれっ、この床から出ている青い靄みたいなのは?」
じゅうたんの長い毛足の隙間から微妙に湧いてきている青い靄に目が留まった。
この部分をズームしながら、更に時間を遡っていく。
ひとりの男性が数人の厳つい警備員に連行され、地下室に連れていかれる光景が映っていた。
どうやらこの人の思念が靄となって現れていたのだ。
そして彼はまだ地下にいるようだ。
幸い、魔法に対する検知器や追跡の魔道具は置かれていない。
「そういえばマリス様達がこの世界で魔法を使うところを見たことがなかったな。」
この世界に来てからのことを振り返りながらひとりで呟く。
もしかしたらこの世界の住人はこの世界の中では魔法が使えないのかもしれない。
確かにラスク星に比べて魔素は薄いからかもな。
それにこれだけ魔道具が発達していれば、魔法なんて使う必要も無いし、もしかしたらほとんどの人達は退化しているのかも。
油断をするつもりは無いが、魔法を使われる可能性はかなり低いと考えても良さそうだな。
さすがにこの時間になると警備も手薄になっているな。
明け方4時過ぎ、俺はシベリス商会の1階に侵入していた。
目的はもちろん地下に閉じ込められている男性の救出だ。
昼間入った時に目印を付けておいたから、短距離転移で移動。もちろんカメラの死角を狙った。
慎重にカメラの前にカメラに写るはずの店内風景を置いていく。
全てのカメラの映像を無効にしてから、魔力を薄く延ばして地下室を探る。
………いた。
広い1階の奥右隅、階段下に蹲る男性を発見した。
周りを探っても他の気配は見当たらない。
俺は土魔法を応用して1次的に床を流動させ穴を空ける。
念のために完全気配遮断を掛けてから慎重にそこに飛び降りた。
捕らわれている壮年の男は拷問にでもあったのだろうかあちこちに傷があり憔悴しきっているようだ。
その閉じられた目は俺を見ることはなく、口からは荒い息か不規則に吐かれていた。
姿を見て騒がれるのもまずいので先に催眠の魔法を掛けておく。
荒い息がある程度規則正しくなったところで手を拘束している枷を解除した。
とたんに警報音が鳴り響く。
まずい!
複数の足音が頭の上に響き渡る。
地下室への扉の鍵を開ける音が聞こえる頃、俺は男性を抱えて転移を試みたが、魔法が書き消される。
「しまった。この地下では魔法相殺が効いているのか。」
予想外の事態に俺は焦る心をなんとか抑えることしか出来なかった。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~
中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」
唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。
人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。
目的は一つ。充実した人生を送ること。
異世界転生特典『絶対安全領域(マイホーム)』~家の中にいれば神すら無効化、一歩も出ずに世界最強になりました~
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が転生時に願ったのは、たった一つ。「誰にも邪魔されず、絶対に安全な家で引きこもりたい!」
その切実な願いを聞き入れた神は、ユニークスキル『絶対安全領域(マイホーム)』を授けてくれた。この家の中にいれば、神の干渉すら無効化する究極の無敵空間だ!
「これで理想の怠惰な生活が送れる!」と喜んだのも束の間、追われる王女様が俺の庭に逃げ込んできて……? 面倒だが仕方なく、庭いじりのついでに追手を撃退したら、なぜかここが「聖域」だと勘違いされ、獣人の娘やエルフの学者まで押しかけてきた!
俺は家から出ずに快適なスローライフを送りたいだけなのに! 知らぬ間に世界を救う、無自覚最強の引きこもりファンタジー、開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる