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第2部 聖なる愚か者の行進
第7話 僕のお家のヤバイやつ
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古羊姉妹とゲームセンターで息抜きをした、その日の我が家にて。
俺はソファーに身を預けながらリビングでテレビの音をBGMに、ボケーっと今日、よこたんと2人で一緒に撮ったプリクラ眺めていた。
「あぁ~……だりぃ。うーす愚弟、今日の晩御飯は?」
「んっ? あっ、姉ちゃん。現実世界に帰って来てたのか」
ガチャッ、と3日前にネットという名の異世界に転移したっきり、消息を絶っていた千和姉ちゃんが、ゾンビのような足取りでリビングへとやって来た。
俺はよこたんと撮ったプリクラをポケットの中にしまいながら、今日も今日とてブラとパンツ一丁の姉に視線を投げかけた。
「メシなら朝、父ちゃんが冷蔵庫に作ってくれてるから、それ食えってさ」
「ほいほーい」
キッチンへと移動していく姉から視線を切り、俺は現在テレビで絶賛放映中の『スク水魔法幼女☆ミホノちゃん』へと意識を向け直した。
画面の向こう側では、ほぼ半裸の女の子たちが派手なアクションシーンを演じている所だった。
この『スク水魔法幼女☆ミホノちゃん』は地上波のくせに、ギリギリまで追求した幼女のスク水アニメということで、BPOにしこたま怒られながらも、それでも放映を続けている実に漢気が溢れるアニメなのだ。
しかもコレを地上波ゴールデンタイムに放映するという、お茶の間へのちょっとしたテロリズム精神に、俺はいつも勇気を貰っている。
規制が厳しい昨今。
地上波で幼女のスク水アニメを放映するのに、どれだけの勇気がいることか……。
ソレに一体どれだけの青少年が『愛』と『勇気』と『夢』と『希望』を貰っていることか。
ほんとこのアニメの製作陣はとんでもない天才か、もしくはとんでもない変態かの2択に違いない。
「あぁ~、そのアニメ、まだ放映されてたんだ。確かプロデューサーがパパ活か何かで捕まってなかったっけ?」
「パパ活じゃねぇよ。幼女誘拐して捕まったんだよ。今のプロデューサーは2代目――おぉっ! これポロるんじゃない!?」
画面の向こう側では敵側のお姉さんのビキニが不思議な力でポロリそうになっていた!
「ヤベェ!? ポロる、ポロるよコレ!?」
「哀れなり弟よ……。ポロリ要員の自発的ポロリに、何の意味がある?」
目からウロコが出るかと思った。
「た、確かに……お魚然り、おっぱい然り、天然モノにこそ一流の輝きが宿るというモノ……。俺としたことが、なんてことを……っ!?」
俺は自分が、いや1人のアニオタとして恥ずかしいっ!
深夜アニメの合成飼料ばかり食べている萌ブタは、所詮二流のブタ野郎である。
一流のブタは、女児向け番組の中からトリュフ(新人声優)を掘り出すというのにっ!?
おっぱいだってそうだ。
パッドで水嵩を増した養殖よりも、天然モノのナチュラルおっぱいの方が――いや待て!?
そこで俺はとんでもない天啓に身を打たれた。
「大神の血を受け継ぎし、我が偉大なる姉よ。確かに姉ちゃんの言うことはもっともだ。世界の真理と言ってもいい」
「だろ? 筋肉だって日々のトレーニングで形成される天然モノこそ至上。ステロイドなんてもっての他。だからテレビのチャンネルを今から『ウホッ!? 男だらけのサマーバケーションッ! season2』に変え――」
「でもっ! 素材の味を生かした料理ばかり食べていると、時たま化学調味料で味つけされた不健康の極みのようなジャンクフードに心奪われてしまうのもまた真理だっ!」
「なん、だと……っ!?」
姉ちゃんがその充血しきった瞳を大きく見開いた。
そう天然モノだろうが、養殖モノだろうが関係ないっ!
おっぱいは、おっぱいなんだっ!
そこに大きさの程度こそあれ、価値は……同じだ。
つまりおっぱいに貴賤はナイのだっ!
俺の完璧すぎる言い分に反論が思いつかないのか、姉ちゃんは「くっ!?」と感度を3000倍に変えられる宿命を背負ったクノイチのように表情を歪ませた。
勝った。
俺の頬に勝利の愉悦が浮かびあがる。
が、このときの俺は勝利の余韻に浸るあまり、あることを忘れていたのだ。
そう、勝利を確信した瞬間ほど、危険なコトはないということを。
一瞬の気の緩み、そこにイタズラ好きの天使は滑り込んでくるということをっ!
「――ほほぅ? 随分と面白いことを言うじゃないか、なぁ我が子たちよ?」
「「解散っ!」」
リビングに16年間聞き慣れた女の声が木霊した瞬間、俺と姉ちゃんは条件反射のように玄関へと駆けだそうとしていた。
が、ソレすらも突如登場した謎の女の声によってアッサリと制止させられる。
「2人とも、おすわりっ!」
「「はいっ!」」
気がつくと自分の意志に反して口が勝手に開き、ごくごく自然にその場で正座している大神姉弟の姿があった。
すげぇ、これが長年の調教……もとい教育の成果か。
身体がオートで反応しやがる。
「あぁぁぁぁっ!? 脚がぁぁぁぁぁっ!? チクショォォォォ――ッッ!?!?」と、うめき声をあげる半泣きの姉ちゃんに、胸をときめかせるヒマもなく、赤く染めた髪をした女性は小さくこう呟いた。
「よし、イイ子だ。そのまま立ち上がって、コッチに来て座れ。余計な動きを見せたら……わかるな?」
「……な、なんでお母さんがココに? 出張は?」
「余計な動きは見せるなと言ったが?」
「ごめんなさいっ!」
疾風迅雷の速さで謎の女性、改め今現在、大阪へ長期出張しているハズの我が母上、大神蓮季ママ上の足下に正座で集合する姉ちゃん。
ガタガタと可哀そうなくらい震えている姉を前に、胸の高鳴りを抑えきれない。
ふふふっ♪ あの生意気な姉ちゃんが、今にも泣きだしそうな顔しているなんて……オラ、わくわくすっ――
「何をしてるシロウ? はやく来い、シバくぞ?」
「イエス・ボスっ!」
我が偉大なる姉上に倣って、素早く母上の足下に正座する俺。
もちろん大人のオモチャよろしく、ガタガタ震えるのも忘れない♪
もうこの一帯だけマグニチュード8はあるんじゃねぇの? ってくらい、仲良くガタガタ震える大神姉弟。
そんな我が子たちを満足気に眺めながら、母ちゃんはハッキリとこう言った。
「よし、揃ったな。じゃあさっそく、大神家緊急家族会議を始めるぞ」
途端に我が家の外で虫たちが、突然悪魔めいた声音で鳴きはじめた。
それはまるで、この世の終わりを知らせる運命の喇叭のように、俺には聞こえた。
俺はソファーに身を預けながらリビングでテレビの音をBGMに、ボケーっと今日、よこたんと2人で一緒に撮ったプリクラ眺めていた。
「あぁ~……だりぃ。うーす愚弟、今日の晩御飯は?」
「んっ? あっ、姉ちゃん。現実世界に帰って来てたのか」
ガチャッ、と3日前にネットという名の異世界に転移したっきり、消息を絶っていた千和姉ちゃんが、ゾンビのような足取りでリビングへとやって来た。
俺はよこたんと撮ったプリクラをポケットの中にしまいながら、今日も今日とてブラとパンツ一丁の姉に視線を投げかけた。
「メシなら朝、父ちゃんが冷蔵庫に作ってくれてるから、それ食えってさ」
「ほいほーい」
キッチンへと移動していく姉から視線を切り、俺は現在テレビで絶賛放映中の『スク水魔法幼女☆ミホノちゃん』へと意識を向け直した。
画面の向こう側では、ほぼ半裸の女の子たちが派手なアクションシーンを演じている所だった。
この『スク水魔法幼女☆ミホノちゃん』は地上波のくせに、ギリギリまで追求した幼女のスク水アニメということで、BPOにしこたま怒られながらも、それでも放映を続けている実に漢気が溢れるアニメなのだ。
しかもコレを地上波ゴールデンタイムに放映するという、お茶の間へのちょっとしたテロリズム精神に、俺はいつも勇気を貰っている。
規制が厳しい昨今。
地上波で幼女のスク水アニメを放映するのに、どれだけの勇気がいることか……。
ソレに一体どれだけの青少年が『愛』と『勇気』と『夢』と『希望』を貰っていることか。
ほんとこのアニメの製作陣はとんでもない天才か、もしくはとんでもない変態かの2択に違いない。
「あぁ~、そのアニメ、まだ放映されてたんだ。確かプロデューサーがパパ活か何かで捕まってなかったっけ?」
「パパ活じゃねぇよ。幼女誘拐して捕まったんだよ。今のプロデューサーは2代目――おぉっ! これポロるんじゃない!?」
画面の向こう側では敵側のお姉さんのビキニが不思議な力でポロリそうになっていた!
「ヤベェ!? ポロる、ポロるよコレ!?」
「哀れなり弟よ……。ポロリ要員の自発的ポロリに、何の意味がある?」
目からウロコが出るかと思った。
「た、確かに……お魚然り、おっぱい然り、天然モノにこそ一流の輝きが宿るというモノ……。俺としたことが、なんてことを……っ!?」
俺は自分が、いや1人のアニオタとして恥ずかしいっ!
深夜アニメの合成飼料ばかり食べている萌ブタは、所詮二流のブタ野郎である。
一流のブタは、女児向け番組の中からトリュフ(新人声優)を掘り出すというのにっ!?
おっぱいだってそうだ。
パッドで水嵩を増した養殖よりも、天然モノのナチュラルおっぱいの方が――いや待て!?
そこで俺はとんでもない天啓に身を打たれた。
「大神の血を受け継ぎし、我が偉大なる姉よ。確かに姉ちゃんの言うことはもっともだ。世界の真理と言ってもいい」
「だろ? 筋肉だって日々のトレーニングで形成される天然モノこそ至上。ステロイドなんてもっての他。だからテレビのチャンネルを今から『ウホッ!? 男だらけのサマーバケーションッ! season2』に変え――」
「でもっ! 素材の味を生かした料理ばかり食べていると、時たま化学調味料で味つけされた不健康の極みのようなジャンクフードに心奪われてしまうのもまた真理だっ!」
「なん、だと……っ!?」
姉ちゃんがその充血しきった瞳を大きく見開いた。
そう天然モノだろうが、養殖モノだろうが関係ないっ!
おっぱいは、おっぱいなんだっ!
そこに大きさの程度こそあれ、価値は……同じだ。
つまりおっぱいに貴賤はナイのだっ!
俺の完璧すぎる言い分に反論が思いつかないのか、姉ちゃんは「くっ!?」と感度を3000倍に変えられる宿命を背負ったクノイチのように表情を歪ませた。
勝った。
俺の頬に勝利の愉悦が浮かびあがる。
が、このときの俺は勝利の余韻に浸るあまり、あることを忘れていたのだ。
そう、勝利を確信した瞬間ほど、危険なコトはないということを。
一瞬の気の緩み、そこにイタズラ好きの天使は滑り込んでくるということをっ!
「――ほほぅ? 随分と面白いことを言うじゃないか、なぁ我が子たちよ?」
「「解散っ!」」
リビングに16年間聞き慣れた女の声が木霊した瞬間、俺と姉ちゃんは条件反射のように玄関へと駆けだそうとしていた。
が、ソレすらも突如登場した謎の女の声によってアッサリと制止させられる。
「2人とも、おすわりっ!」
「「はいっ!」」
気がつくと自分の意志に反して口が勝手に開き、ごくごく自然にその場で正座している大神姉弟の姿があった。
すげぇ、これが長年の調教……もとい教育の成果か。
身体がオートで反応しやがる。
「あぁぁぁぁっ!? 脚がぁぁぁぁぁっ!? チクショォォォォ――ッッ!?!?」と、うめき声をあげる半泣きの姉ちゃんに、胸をときめかせるヒマもなく、赤く染めた髪をした女性は小さくこう呟いた。
「よし、イイ子だ。そのまま立ち上がって、コッチに来て座れ。余計な動きを見せたら……わかるな?」
「……な、なんでお母さんがココに? 出張は?」
「余計な動きは見せるなと言ったが?」
「ごめんなさいっ!」
疾風迅雷の速さで謎の女性、改め今現在、大阪へ長期出張しているハズの我が母上、大神蓮季ママ上の足下に正座で集合する姉ちゃん。
ガタガタと可哀そうなくらい震えている姉を前に、胸の高鳴りを抑えきれない。
ふふふっ♪ あの生意気な姉ちゃんが、今にも泣きだしそうな顔しているなんて……オラ、わくわくすっ――
「何をしてるシロウ? はやく来い、シバくぞ?」
「イエス・ボスっ!」
我が偉大なる姉上に倣って、素早く母上の足下に正座する俺。
もちろん大人のオモチャよろしく、ガタガタ震えるのも忘れない♪
もうこの一帯だけマグニチュード8はあるんじゃねぇの? ってくらい、仲良くガタガタ震える大神姉弟。
そんな我が子たちを満足気に眺めながら、母ちゃんはハッキリとこう言った。
「よし、揃ったな。じゃあさっそく、大神家緊急家族会議を始めるぞ」
途端に我が家の外で虫たちが、突然悪魔めいた声音で鳴きはじめた。
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