みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される

けるたん

文字の大きさ
41 / 414
第2部 聖なる愚か者の行進

第7話 僕のお家のヤバイやつ

しおりを挟む
 古羊姉妹とゲームセンターで息抜きをした、その日の我が家にて。

 俺はソファーに身を預けながらリビングでテレビの音をBGMに、ボケーっと今日、よこたんと2人で一緒に撮ったプリクラ眺めていた。


「あぁ~……だりぃ。うーす愚弟ぐてい、今日の晩御飯は?」
「んっ? あっ、姉ちゃん。現実世界コッチに帰って来てたのか」 


 ガチャッ、と3日前にネットという名の異世界に転移したっきり、消息をっていた千和姉ちゃんが、ゾンビのような足取りでリビングへとやって来た。

 俺はよこたんと撮ったプリクラをポケットの中にしまいながら、今日も今日とてブラとパンツ一丁の姉に視線を投げかけた。


「メシなら朝、父ちゃんが冷蔵庫に作ってくれてるから、それ食えってさ」
「ほいほーい」


 キッチンへと移動していく姉から視線を切り、俺は現在テレビで絶賛放映中の『スク水魔法幼女☆ミホノちゃん』へと意識を向け直した。

 画面の向こう側では、ほぼ半裸の女の子たちが派手なアクションシーンを演じている所だった。

 この『スク水魔法幼女☆ミホノちゃん』は地上波のくせに、ギリギリまで追求した幼女のスク水アニメということで、BPOにしこたま怒られながらも、それでも放映を続けている実に漢気おとこぎが溢れるアニメなのだ。

 しかもコレを地上波ゴールデンタイムに放映するという、お茶の間へのちょっとしたテロリズム精神に、俺はいつも勇気を貰っている。

 規制が厳しい昨今。

 地上波で幼女のスク水アニメを放映するのに、どれだけの勇気がいることか……。

 ソレに一体どれだけの青少年が『愛』と『勇気』と『夢』と『希望』を貰っていることか。

 ほんとこのアニメの製作陣はとんでもない天才か、もしくはとんでもない変態かの2択に違いない。



「あぁ~、そのアニメ、まだ放映されてたんだ。確かプロデューサーがパパ活か何かで捕まってなかったっけ?」

「パパ活じゃねぇよ。幼女誘拐して捕まったんだよ。今のプロデューサーは2代目――おぉっ! これポロるんじゃない!?」



 画面の向こう側では敵側のお姉さんのビキニが不思議な力でポロリそうになっていた!


「ヤベェ!? ポロる、ポロるよコレ!?」
あわれなり弟よ……。ポロリ要員の自発的ポロリに、何の意味がある?」


 目からウロコが出るかと思った。


「た、確かに……おさかなしかり、おっぱい然り、天然モノにこそ一流の輝きが宿るというモノ……。俺としたことが、なんてことを……っ!?」


 俺は自分が、いや1人のアニオタとして恥ずかしいっ!

 深夜アニメの合成飼料ばかり食べている萌ブタは、所詮二流のブタ野郎である。

 一流のブタは、女児向け番組の中からトリュフ(新人声優)を掘り出すというのにっ!?

 おっぱいだってそうだ。

 パッドで水嵩みずかさを増した養殖よりも、天然モノのナチュラルおっぱいの方が――いや待て!?

 そこで俺はとんでもない天啓に身を打たれた。



「大神の血を受け継ぎし、我が偉大なる姉よ。確かに姉ちゃんの言うことはもっともだ。世界の真理と言ってもいい」

「だろ? 筋肉だって日々のトレーニングで形成される天然モノこそ至上。ステロイドなんてもってのほか。だからテレビのチャンネルを今から『ウホッ!? 男だらけのサマーバケーションッ! season2』に変え――」

「でもっ! 素材の味を生かした料理ばかり食べていると、時たま化学調味料で味つけされた不健康の極みのようなジャンクフードに心奪われてしまうのもまた真理だっ!」

「なん、だと……っ!?」



 姉ちゃんがその充血しきった瞳を大きく見開いた。

 そう天然モノだろうが、養殖モノだろうが関係ないっ!

 おっぱいは、おっぱいなんだっ!

 そこに大きさの程度こそあれ、価値は……同じだ。

 つまりおっぱいに貴賤はナイのだっ!

 俺の完璧すぎる言い分に反論が思いつかないのか、姉ちゃんは「くっ!?」と感度を3000倍に変えられる宿命を背負ったクノイチのように表情を歪ませた。

 勝った。

 俺の頬に勝利の愉悦ゆえつが浮かびあがる。

 が、このときの俺は勝利の余韻に浸るあまり、あることを忘れていたのだ。

 そう、勝利を確信した瞬間ときほど、危険なコトはないということを。

 一瞬の気の緩み、そこにイタズラ好きの天使は滑り込んでくるということをっ!



「――ほほぅ? 随分と面白いことを言うじゃないか、なぁ我が子たちよ?」

「「解散っ!」」



 リビングに16年間聞き慣れた女の声が木霊した瞬間、俺と姉ちゃんは条件反射のように玄関へと駆けだそうとしていた。

 が、ソレすらも突如登場した謎の女の声によってアッサリと制止させられる。


「2人とも、おすわりっ!」
「「はいっ!」」


 気がつくと自分の意志に反して口が勝手に開き、ごくごく自然にその場で正座している大神姉弟していの姿があった。

 すげぇ、これが長年の調教……もとい教育の成果か。

 身体がオートで反応しやがる。


「あぁぁぁぁっ!? 脚がぁぁぁぁぁっ!? チクショォォォォ――ッッ!?!?」と、うめき声をあげる半泣きの姉ちゃんに、胸をときめかせるヒマもなく、赤く染めた髪をした女性は小さくこうつぶやいた。


「よし、イイ子だ。そのまま立ち上がって、コッチに来て座れ。余計な動きを見せたら……わかるな?」
「……な、なんでお母さんがココに? 出張は?」
「余計な動きは見せるなと言ったが?」
「ごめんなさいっ!」


 疾風迅雷の速さで謎の女性、改め今現在、大阪へ長期出張しているハズの我が母上、大神蓮季おおかみはすきママ上の足下に正座で集合する姉ちゃん。

 ガタガタと可哀そうなくらい震えている姉を前に、胸の高鳴りをおさえきれない。

 ふふふっ♪ あの生意気な姉ちゃんが、今にも泣きだしそうな顔しているなんて……オラ、わくわくすっ――


「何をしてるシロウ? はやく来い、シバくぞ?」
「イエス・ボスっ!」


 我が偉大なる姉上にならって、素早く母上の足下に正座する俺。

 もちろん大人のオモチャよろしく、ガタガタ震えるのも忘れない♪

 もうこの一帯だけマグニチュード8はあるんじゃねぇの? ってくらい、仲良くガタガタ震える大神姉弟。

 そんな我が子たちを満足気に眺めながら、母ちゃんはハッキリとこう言った。


「よし、揃ったな。じゃあさっそく、大神家緊急家族会議を始めるぞ」


 途端に我が家の外で虫たちが、突然悪魔めいた声音で鳴きはじめた。

 それはまるで、この世の終わりを知らせる運命の喇叭らっぱのように、俺には聞こえた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

乳首当てゲーム

はこスミレ
恋愛
会社の同僚に、思わず口に出た「乳首当てゲームしたい」という独り言を聞かれた話。

処理中です...