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第2部 聖なる愚か者の行進
第19話 修羅場ですか? いいえ、王様ゲームです。
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「さて、場も温まってきたことだし! ここらで一発……王様ゲームッ!」
「「「「「イエェェェェェェェェイ」」」」」
生徒会の面々(廉太郎先輩)を除くメンバーが、雄叫びをあげながら片手を天に突きたてる。
だが会場のボルテージが上がっていく一方で、俺の心はどんどん冷え切っていた。
なぜなら。
「ほらっ、大神くん。ここの計算式が間違っていますよ?」
「あっ、ししょー、ししょー。ここの答えも間違っているよ?」
「……はい、はい、すみません」
場の空気をガン無視して、現在進行形でテスト勉強に専念させられているから。
古羊姉妹の鉄壁の布陣により、誰も俺に声をかけてくれない。
それどころか『空気が読めない変な奴』として、腫物扱いされている始末だ。
ちょっ、やめてぇ!?
そんな可哀そうな子を見る目で、俺を見ないで!?
「ほらほらっ! そこの3人も、勉強ばっかしてないでさ! せっかくなんだし、みんなで遊ぼうよ!」
「そ、そうですよね! 廉太郎先輩の言う通りだ、少しだけ休憩しようぜ!?」
「ダメですよ。大神くんの学力で、休む暇があると思っているんですか?」
「赤点を回避して学年順位100位に入りたいって言ったのは、ししょーの方だよね?」
う~ん、こりゃ説得はMU☆RI♪
ウチの鬼コーチたちは、手を緩める気が一切ないっすわ♪
というか、さっきから男どもの『古羊姉妹を独占すんな!』オーラが激し過ぎて、胃に穴があきそうなんですけど?
何コレ?
罰ゲームか何かですか?
「まぁまぁ2人とも! シロちゃんも、もう軽く2時間は勉強し続けているし、少しくらい息抜きした方が、勉強の効率もあがると思うよ?」
「むぅ……。確かにちょっと効率が落ちてきたのも否めないですし……。では、この王様ゲームだけ参加しましょうか」
「やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
廉太郎先輩、ナイスアシストです! と心の中で何度もお礼の言葉を口にする。
それと同時に双子姫も参加するとあって「おぉっ!」と歓喜の声をあげる男連中。
1回だ、俺はこの1回のチャンスに全てをかける!
「はいっ、それじゃルール説明をねこちゃん、お願い!」
「……なんであたしが」とブツクサ文句を言いつつも、机の下から10本の割りばしを収納している空のアルミ缶を取り出した。
「……ここに1から9までの番号を書いた数字と『王様』と書かれたクジがある。この王様のクジを引いた人は、他の番号の人に命令することができる」
例えば1番が9番にデコピンをするとか、4番がなにか面白い話をするとか。
と、羽賀先輩はいつもように淡々と説明していく。
そして最後に廉太郎先輩のことを嗜虐的な笑みで見つめながら、こう締めた。
「……そして王様の命令は」
「「「「「「「ぜったァァァァァいっ!」」」」」」」
俺は内心ほくそ笑んでいた。
そうこのゲーム、王様の命令は絶対。
それは即ち……どんなエロいお願いをしようが、断ることが出来ない勅命に他ならないのだ!
具体的に何をお願いするの? と問われれば、さすがの俺も言い淀んでしまうが、とりあえず、今まで夢想してきたプレイは、一通りチャレンジする所存だ。
「わたし、この軽薄な大学生のようなノリ、嫌いかもしれません……」
「あ、あはは……」
なぜか呆れている古羊姉妹を無視して、俺は机の上に置かれたクジへと手を飛ばす。
それに続いて、廉太郎先輩、キョンキョン先輩、ゆかりん先輩がまるで街灯に群がる羽虫のように、ワラワラとクジを引いていく。
そして最後に双子姫がクジを引き終え、いよいよ準備完了。
「みんな引いたかな? それじゃ行くよ……せーのっ!」
「「「「「「「「「王様だ~れだ?」」」」」」」」」
こいっ、王様!
俺をハーレム王にしてくれ!
精一杯の祈りと願いをこめて、クジを確認する。
……9番だった。
「あっ! ウチが王様だっ! やったぁ!」
キョンキョン先輩が嬉しそうにそう告げた途端、男どもから盛大なため息が漏れた。
わかる、わかるぞ、その気持ち。
自分が王様になって、あわよくばエロいお願いがしたかったんだよな? 俺もだ。
男たちが瞬間、心、重ねている間に、キョンキョン先輩は「そうだなぁ」と王様のクジをピコピコ動かして、
「じゃあね~、9番が王様にお腹を触らせる!」
「よろしくお願いしまぁぁぁぁぁぁぁぁぁすっ!」
俺は某『夏の戦い』の映画に出てくる主人公のようなことを叫びながら、間髪入れずに制服をめくりあげていた。
「ちょっ!? だ、ダメだよ、こんなの! エッチだよ!」
「洋子の言う通りです。女性が男性のお腹に触るなんて、不健全です」
「おいおい2人とも、忘れたのか? 王様の命令はぁ~?」
「「「「「「「ぜったい!」」」」」」」
くぅぅぅっ、と涙目を浮かべるよこたんと、若干笑顔を崩れてきている古羊。
その悔しそうな顔を見て、ほんの少しだけ溜飲が下がった。
「じゃあ触るね、シロウくん?」
「「……『シロウくん』ねぇ」」
「なんだよ?」
「「べっつにぃ~」」
何か言いたげな2人を尻目に、俺は「撫でて、撫でて!」と警戒心ゼロのバカ犬のように、お腹を見せ続ける。
キョンキョン先輩のひんやりとした指先が肌に触れた瞬間、そこだけ熱した鉄棒のように熱くなった。
「うわぁっ!? かたぁ~い♪」
妙にエロイ声を出すキョンキョン先輩。
男どもが「いいなぁ……」と羨ましそうに俺を見ていた。
「カッチカチだぁ! 何かスポーツでもしてるの?」
「い、いえ! 家で筋トレする程度です!」
「えぇ~、なんか勿体なくない? こんないい筋肉してるのにぃ~」
「おっふ!? そ、そうですか?」
俺の腹筋で『の』の字を書きながら、イタズラめいた笑みを浮かべるキョンキョン先輩。
おいおい、これはもう確実に俺のことが好きなんじゃねぇの?
いやむしろフォーリン♥ラブじゃね?
先輩にいつ「あなたと合体したい」「アク●リオォォォォン」と言われるか、ワクワク☆ドキドキしていると。
――グイッ!
と、よこたんの身体が、強引に俺たちの間に割って入ってきた。
「も、もうお腹も触ったしいいでしょ? つ、次のゲームやろ? 次のゲーム!」
「えぇ~? もうちょっと触ってたぁ~い」
「えぇ~? 俺ももうちょっと――なんでもないです、ハイ」
俺ももうちょっと触られたぁ~い♪ と、軽口を叩こうとして……やめた。
なんだかもう、よこたんの顔がいっぱいいっぱいといった感じで、今にも泣き出しそうだったから。
流石にこんな場所で泣かれたら罪悪感が凄まじいし、何よりこの合コンがお流れになりかねない。
まだ何もなし得ていないのに、そんなの許されるはずがない!
「よし! 第二回戦、いくよぉ!」
「「「「「「「「「王様だ~れだ?」」」」」」」」」
キョンキョン先輩の音頭で王様ゲーム2回戦目がスタート。
今度の王様は、
「きたっ! きたきたきた! 天内優の時代がキターッ!」
王様のクジをジッチャンの形見のように大事に抱きかかえ、狂ったように喜ぶ天内先輩。
「僕の願いはただ一つ! 童貞卒――っ」
「……天内」
「じゃなくてぇ!」
ギロッ! と、羽賀先輩に睨まれて、気持ち悪い笑みを浮かべる天内先輩。
なんだろう、俺この先輩大好きかもしれない。
「6番! 6番が今、この場でスクール水着に着替えること!」
と中々に爵位を有する変態発言を口にした。
天内変態、もとい天内先輩は、バックから何故か持参してきた女性用スクール水着を机の上に放り投げる。
瞬間、女性陣から純粋な悲鳴が飛び交った。
「ちょっ、天内!? ソレマジでありえないから! つーかキモいっ!? マジキモい!?」
「なんでそんなの持ってきてるし!? マジ無理、ほんと無理!」
「……純粋に気持ち悪い」
「うぅ、天内先輩、ヘンタイさんだぁ……」
「こ、これは困ったことになりましたね……」
「ウルセェ! 王様の命令は絶対! いいから6番がこの水着に着替えるんだよ!」
女性陣のブーンイングなぞ意にも反さんとばかりに、強権を発動させ、意地でもスクール水着に着替えさせようとする天内先輩。
どうしよう、俺やっぱり先輩のことが大好きかもしれない。
周りを見渡すと男性陣が「よく言った天内!」と小さく拳を握り締め、俺と同じく喜びに打ち震えていた。
この森実高校にはプールの授業は存在しない。
ゆえにこそ、彼女たちのスクール水着姿は尊く、儚いのだ。
スクール水着と現役女子校生、それままさに生真面目爆乳女騎士と発情期のオーク並みに相性抜群に違いない。
それが分かっているからこその、この命令……。
天内先輩、あなたとは良いオレンジジュースが飲めそうだ。
「フハハハハハハハハハッ! ほら6番! 誰だ6番? はやく着替えなさい!」
高笑いを浮かべる天内先輩。
まったく、こんな衆人観衆の中、スクール水着に着替えなきゃならないなんて、6番が可哀そうでならないね。
まあ、ただ。
「さぁっ! さぁさぁさぁっ! 6番は誰だぁ~?」
「……俺です」
その可哀そうなヤツが、俺なんだけどね♪
男たちの「ふざけんなカス!?」という視線が肌を刺す。
ほんと申し訳ないと思っている……。
「さ、さすがにコレはやめとい――」
「何を言っているんですか大神くん?」
「そうだよ、ししょー。もう忘れちゃったの?」
この地獄のような環境の中、さっきと打って変わってご機嫌な古羊姉妹が、打ち合わせでもしていたかのように、2人そろってニッコリ♪ と微笑んだ。
「「王様の命令はゼッタイ、でしょ?」」
「「「「「イエェェェェェェェェイ」」」」」
生徒会の面々(廉太郎先輩)を除くメンバーが、雄叫びをあげながら片手を天に突きたてる。
だが会場のボルテージが上がっていく一方で、俺の心はどんどん冷え切っていた。
なぜなら。
「ほらっ、大神くん。ここの計算式が間違っていますよ?」
「あっ、ししょー、ししょー。ここの答えも間違っているよ?」
「……はい、はい、すみません」
場の空気をガン無視して、現在進行形でテスト勉強に専念させられているから。
古羊姉妹の鉄壁の布陣により、誰も俺に声をかけてくれない。
それどころか『空気が読めない変な奴』として、腫物扱いされている始末だ。
ちょっ、やめてぇ!?
そんな可哀そうな子を見る目で、俺を見ないで!?
「ほらほらっ! そこの3人も、勉強ばっかしてないでさ! せっかくなんだし、みんなで遊ぼうよ!」
「そ、そうですよね! 廉太郎先輩の言う通りだ、少しだけ休憩しようぜ!?」
「ダメですよ。大神くんの学力で、休む暇があると思っているんですか?」
「赤点を回避して学年順位100位に入りたいって言ったのは、ししょーの方だよね?」
う~ん、こりゃ説得はMU☆RI♪
ウチの鬼コーチたちは、手を緩める気が一切ないっすわ♪
というか、さっきから男どもの『古羊姉妹を独占すんな!』オーラが激し過ぎて、胃に穴があきそうなんですけど?
何コレ?
罰ゲームか何かですか?
「まぁまぁ2人とも! シロちゃんも、もう軽く2時間は勉強し続けているし、少しくらい息抜きした方が、勉強の効率もあがると思うよ?」
「むぅ……。確かにちょっと効率が落ちてきたのも否めないですし……。では、この王様ゲームだけ参加しましょうか」
「やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
廉太郎先輩、ナイスアシストです! と心の中で何度もお礼の言葉を口にする。
それと同時に双子姫も参加するとあって「おぉっ!」と歓喜の声をあげる男連中。
1回だ、俺はこの1回のチャンスに全てをかける!
「はいっ、それじゃルール説明をねこちゃん、お願い!」
「……なんであたしが」とブツクサ文句を言いつつも、机の下から10本の割りばしを収納している空のアルミ缶を取り出した。
「……ここに1から9までの番号を書いた数字と『王様』と書かれたクジがある。この王様のクジを引いた人は、他の番号の人に命令することができる」
例えば1番が9番にデコピンをするとか、4番がなにか面白い話をするとか。
と、羽賀先輩はいつもように淡々と説明していく。
そして最後に廉太郎先輩のことを嗜虐的な笑みで見つめながら、こう締めた。
「……そして王様の命令は」
「「「「「「「ぜったァァァァァいっ!」」」」」」」
俺は内心ほくそ笑んでいた。
そうこのゲーム、王様の命令は絶対。
それは即ち……どんなエロいお願いをしようが、断ることが出来ない勅命に他ならないのだ!
具体的に何をお願いするの? と問われれば、さすがの俺も言い淀んでしまうが、とりあえず、今まで夢想してきたプレイは、一通りチャレンジする所存だ。
「わたし、この軽薄な大学生のようなノリ、嫌いかもしれません……」
「あ、あはは……」
なぜか呆れている古羊姉妹を無視して、俺は机の上に置かれたクジへと手を飛ばす。
それに続いて、廉太郎先輩、キョンキョン先輩、ゆかりん先輩がまるで街灯に群がる羽虫のように、ワラワラとクジを引いていく。
そして最後に双子姫がクジを引き終え、いよいよ準備完了。
「みんな引いたかな? それじゃ行くよ……せーのっ!」
「「「「「「「「「王様だ~れだ?」」」」」」」」」
こいっ、王様!
俺をハーレム王にしてくれ!
精一杯の祈りと願いをこめて、クジを確認する。
……9番だった。
「あっ! ウチが王様だっ! やったぁ!」
キョンキョン先輩が嬉しそうにそう告げた途端、男どもから盛大なため息が漏れた。
わかる、わかるぞ、その気持ち。
自分が王様になって、あわよくばエロいお願いがしたかったんだよな? 俺もだ。
男たちが瞬間、心、重ねている間に、キョンキョン先輩は「そうだなぁ」と王様のクジをピコピコ動かして、
「じゃあね~、9番が王様にお腹を触らせる!」
「よろしくお願いしまぁぁぁぁぁぁぁぁぁすっ!」
俺は某『夏の戦い』の映画に出てくる主人公のようなことを叫びながら、間髪入れずに制服をめくりあげていた。
「ちょっ!? だ、ダメだよ、こんなの! エッチだよ!」
「洋子の言う通りです。女性が男性のお腹に触るなんて、不健全です」
「おいおい2人とも、忘れたのか? 王様の命令はぁ~?」
「「「「「「「ぜったい!」」」」」」」
くぅぅぅっ、と涙目を浮かべるよこたんと、若干笑顔を崩れてきている古羊。
その悔しそうな顔を見て、ほんの少しだけ溜飲が下がった。
「じゃあ触るね、シロウくん?」
「「……『シロウくん』ねぇ」」
「なんだよ?」
「「べっつにぃ~」」
何か言いたげな2人を尻目に、俺は「撫でて、撫でて!」と警戒心ゼロのバカ犬のように、お腹を見せ続ける。
キョンキョン先輩のひんやりとした指先が肌に触れた瞬間、そこだけ熱した鉄棒のように熱くなった。
「うわぁっ!? かたぁ~い♪」
妙にエロイ声を出すキョンキョン先輩。
男どもが「いいなぁ……」と羨ましそうに俺を見ていた。
「カッチカチだぁ! 何かスポーツでもしてるの?」
「い、いえ! 家で筋トレする程度です!」
「えぇ~、なんか勿体なくない? こんないい筋肉してるのにぃ~」
「おっふ!? そ、そうですか?」
俺の腹筋で『の』の字を書きながら、イタズラめいた笑みを浮かべるキョンキョン先輩。
おいおい、これはもう確実に俺のことが好きなんじゃねぇの?
いやむしろフォーリン♥ラブじゃね?
先輩にいつ「あなたと合体したい」「アク●リオォォォォン」と言われるか、ワクワク☆ドキドキしていると。
――グイッ!
と、よこたんの身体が、強引に俺たちの間に割って入ってきた。
「も、もうお腹も触ったしいいでしょ? つ、次のゲームやろ? 次のゲーム!」
「えぇ~? もうちょっと触ってたぁ~い」
「えぇ~? 俺ももうちょっと――なんでもないです、ハイ」
俺ももうちょっと触られたぁ~い♪ と、軽口を叩こうとして……やめた。
なんだかもう、よこたんの顔がいっぱいいっぱいといった感じで、今にも泣き出しそうだったから。
流石にこんな場所で泣かれたら罪悪感が凄まじいし、何よりこの合コンがお流れになりかねない。
まだ何もなし得ていないのに、そんなの許されるはずがない!
「よし! 第二回戦、いくよぉ!」
「「「「「「「「「王様だ~れだ?」」」」」」」」」
キョンキョン先輩の音頭で王様ゲーム2回戦目がスタート。
今度の王様は、
「きたっ! きたきたきた! 天内優の時代がキターッ!」
王様のクジをジッチャンの形見のように大事に抱きかかえ、狂ったように喜ぶ天内先輩。
「僕の願いはただ一つ! 童貞卒――っ」
「……天内」
「じゃなくてぇ!」
ギロッ! と、羽賀先輩に睨まれて、気持ち悪い笑みを浮かべる天内先輩。
なんだろう、俺この先輩大好きかもしれない。
「6番! 6番が今、この場でスクール水着に着替えること!」
と中々に爵位を有する変態発言を口にした。
天内変態、もとい天内先輩は、バックから何故か持参してきた女性用スクール水着を机の上に放り投げる。
瞬間、女性陣から純粋な悲鳴が飛び交った。
「ちょっ、天内!? ソレマジでありえないから! つーかキモいっ!? マジキモい!?」
「なんでそんなの持ってきてるし!? マジ無理、ほんと無理!」
「……純粋に気持ち悪い」
「うぅ、天内先輩、ヘンタイさんだぁ……」
「こ、これは困ったことになりましたね……」
「ウルセェ! 王様の命令は絶対! いいから6番がこの水着に着替えるんだよ!」
女性陣のブーンイングなぞ意にも反さんとばかりに、強権を発動させ、意地でもスクール水着に着替えさせようとする天内先輩。
どうしよう、俺やっぱり先輩のことが大好きかもしれない。
周りを見渡すと男性陣が「よく言った天内!」と小さく拳を握り締め、俺と同じく喜びに打ち震えていた。
この森実高校にはプールの授業は存在しない。
ゆえにこそ、彼女たちのスクール水着姿は尊く、儚いのだ。
スクール水着と現役女子校生、それままさに生真面目爆乳女騎士と発情期のオーク並みに相性抜群に違いない。
それが分かっているからこその、この命令……。
天内先輩、あなたとは良いオレンジジュースが飲めそうだ。
「フハハハハハハハハハッ! ほら6番! 誰だ6番? はやく着替えなさい!」
高笑いを浮かべる天内先輩。
まったく、こんな衆人観衆の中、スクール水着に着替えなきゃならないなんて、6番が可哀そうでならないね。
まあ、ただ。
「さぁっ! さぁさぁさぁっ! 6番は誰だぁ~?」
「……俺です」
その可哀そうなヤツが、俺なんだけどね♪
男たちの「ふざけんなカス!?」という視線が肌を刺す。
ほんと申し訳ないと思っている……。
「さ、さすがにコレはやめとい――」
「何を言っているんですか大神くん?」
「そうだよ、ししょー。もう忘れちゃったの?」
この地獄のような環境の中、さっきと打って変わってご機嫌な古羊姉妹が、打ち合わせでもしていたかのように、2人そろってニッコリ♪ と微笑んだ。
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