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第4部 残酷すぎる天使のテーゼ
第22話 森実祭最終日 ~ナースの雄しごと♪ 編~
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しゃり、しゃり、しゃり、しゃり。
生娘の服を脱がすかの如く、あられもない姿に剥かれていく林檎の淫靡な音色が、鼓膜を撫でる。
森実高校文化祭、通称『森実祭』が開催されて3日目の最終日。
搬送先の森実大学付属病院の1室で1夜を過ごした俺は、目を覚ますなり、1人静かに涙をこぼしていた。
眠たいから、ではない。
俺の隣で林檎を剥いているのが――
「でぇ~きた☆ ほぅ~ら喧嘩狼? あ~ん♪」
そう言って、森実が誇るハードゲイ――鷹野翼は、器用に剥いた林檎を俺に食べさようと、口移しを敢行してきた。
なんで俺は朝から野郎の剥いた林檎を、口移しで食べなきゃいけないんだ?
そんなに俺、なにか悪いことした?
神様はそんなに俺のことが嫌いなの?
「……おい鷹野? これは何の冗談だ?」
「なんや、なんや? 林檎やなく、ワシが欲しいんか? この欲しがりさんめっ!」
ポッ❤ と頬を赤らめながら「いや~ん、喧嘩狼のえっちぃ~♪」とお尻をフリフリさせるハードゲイ。
腹立つ、心底腹立つ。
もう何が1番腹立つって、その言動もそうなのだが、この男、マイエプロン装着である。
裸エプロンじゃないのが、唯一の救いだ。
「ふざけんなっ! なんで朝からテメェに看病されなきゃならんのじゃ!? というか、何でマイエプロン装着? 腹立つんですけど!?」
「『何で』って、喧嘩狼、こういうの好きやろ?」
「確かに、入院先で看病してもらう。そういうシチュエーションは大好きだ。愛していると言ってもいい。でもさ? それは可愛い女の子がしてくれるからこそであって、野郎にやられても殺意しか沸かねぇんだよ」
「喧嘩狼、それは男女差別ってヤツやで? アカンで差別は?」
「うるせぇ、うるせぇ!」
俺の唇とパイルダーオンしようとしていた鷹野の顔をむぎゅっ! と押し退けつつ、小さくため息をこぼした。
おかしいよ、こんなの。
普通、こういうのはさ、可愛い女の子に看病されながら、林檎を剥いてくれたお礼に、彼女の服を剥いてあげてさ、そのまま流れるように『よぉ~し、次は俺の皮を剥いてくれ!』とズボンを下ろしてお楽しみタイムに突入する流れじゃん?
ついでに彼女のクリ剥きもしてあげる流れじゃん?
エロマンガで何度も見てきた流れじゃん?
それがどうして、マイエプロン装着のハードゲイが『来ちゃった❤』になるんだよクソがっ!
「頼むからもう帰ってくれ! 一生のお願いっ!」
「だそうやノブ。悪いが席を外してくれるか?」
「いえ、これはおそらくタカさんに言っているんですよ?」
鷹野の背後に控えていた未来のマイファミリー、大和田のお兄たまが頭痛を堪えるように、こめかみに手をあてる。
おっとぉ!?
俺としたコトが、兄者に挨拶するのを忘れていたぜ!
「おはようございます、あにあにっ! 今日も我らが妹の笑顔のように、カラッとしたイイお天気ですねっ!」
「誰が『あにあに』ですか? だから親族に食い込もうとしないでください、純粋に怖いです。あとタカさんも、そんな怖い目でわたくしを見ないでください……」
何故か朝から疲れた表情でそうぼやく兄上。
おそらく昨晩は、俺と大和田信菜ちゃんの結婚式用のスピーチを考えていて、夜更かしをしていたに違いない。
もっと身体は大切してね、兄者?
「先に言っておくが喧嘩狼? 別にノブは喧嘩狼の見舞いに来たワケやないで?」
「えっ、そうなの? じゃあ、俺がソッチに婿入りするか、それとも我らが妹が我が家に嫁入りするか、どっちにするかのご相談にきたの? う~ん? 正直、ウチは人間の皮を被ったモンスターが跋扈するワンダーランドだから、嫁入りは推奨しないよ?」
「全然違います。推奨もなにも、信菜さんはゼッタイに嫁入りさせませんから」
確固たる決意に満ちた瞳で、そう断言するサンフランシスコン。
だが、次の瞬間には言いづらそうに口をモゴモゴさせていた。
「今日はその……別件で参りました」
「別件?」
「はい。大神様にこんなコトを頼むのは筋違いだとは思うのですが……実はアナタに折り入ってお願いしたいことがありまして……」
「俺にお願い? 兄様が? 珍しいな――って!? おい鷹野!? なんでこのタイミングで服を脱ごうとするんだテメェ!?」
「えっ? いやだって喧嘩狼が『食欲の前に性欲を満たしたい!』っていうから、文字通りワシが一肌脱ごうかと」
「言ってねぇよ!? おまえには一体ナニが聞こえているんだ!?」
鷹野は実に鷹野らしいバカな判断で、エプロンの下から器用にズボンを脱ごうとする。
おいバカ、ふざけんな!?
なんで朝からテメェのストリップショーを見なきゃならんのだ!? どんなプレイだ!?
「そんなっ!? ワシを弄んだんか!? この青い果実を彷彿とさせる瑞々しい肉体に、指1本すら触れることなく、ワシの清純な心だけを弄ぶやなんて!? なんて『いとおかし』なんや! アカン、喧嘩狼がテクニシャン過ぎて、イクッ!?」
「タカさん。話が進まないんで、ちょっと横にズレててもらえませんか?」
んほぉぉぉぉぉぉ❤❤❤ と朝っぱらの病院内に似つかわしくない嬌声をあげながら、ガッツリと己を股間を握りしめ、小刻みに震える鷹野を手慣れた様子で脇にどかす兄たま。
びくんびくん❤ とだらしない顔で痙攣する鷹野をその場に、お兄様は何事もなかったかのように再び口をひらいた。
「大神様、今から一緒に森実高校文化祭のミスコン控室に来ていただけませんか? ――いえ、正確に言えば、信菜さんの居るミスコン控室に、わたくしを連れて行ってくれませんか?」
「へっ? な、なんで?」
「口惜しいことに、わたくしはミスコンの関係者ではありませんから、控室まで行くことが出来ないんですよ。でも大神様は仮にも生徒会役員。その権限で、わたくしを控室に連れて行って欲しいんです」
そう淡々と口にする兄上。
その足下で「あへぇぇぇぇぇぇ~~~❤❤❤」とワケの分からないことを呻きながら、カクカクと腰を震わせて痙攣する鷹野。
正直、直視に堪えない……。
なんだコレ?
視覚の暴力か?
「いや、俺が聞いてんのは、なんでミスコンの控室に行きたいのかってこと。別に応援するなら控室じゃなくてもよくない?」
「……そうですね。わたくしとしたコトが、焦っているせいか、少々言葉が足りなかったようで」
あにあにはそう言って、病室に備え付けられている時計へと視線をよこした。
現在の時刻は午前8時少し過ぎ。
ミスコン開催まで、残り4時間ちょっとである。
大和田の兄者は、自分を落ち着かせるように、1度大きく息を吐き捨てて。
「時間が無いので、手短に説明します」
と言って、捲くし立てるように、その色素の薄い唇を動かした。
「昨日も言いましたが、森実高校文化祭のミスコンには、黒い噂があります」
「あぁ、あの裏ビデオの件ね」
それが? と話しの続きを促しながら、何故か妙に嫌な予感が俺の胸を占めていく。
俺はソレにあえて気づかないフリをしながら、お兄たまの言葉に耳を傾けた。
「その件で、ちょっとよくない噂をまた耳にしてしまいまして……」
「よくない噂?」
「はい。何人かのミスコン関係者を締め上げ――ごほんっ。失礼。お話した所によると、どうも裏ビデオ製作に関わっていた主要人物たちを、校舎の中で見かけたという情報を入手しまして……」
色々と気になる点は多々あったが、俺は無理にツッコまず、兄上の言葉を静聴した。
「それだけなら良かったんですが、どうもその主要人物たちと何人かの男子生徒たちの間で、不穏な動きがあるようでして――」
「分かった、行こう」
「……いいんですか?」
俺が頷くと、大和田の兄貴が驚いたように目を見開いた。
「わたくしが自分で言うのもアレなんですが……結構身勝手なお願いをしている自覚はあるんですが?」
「ナニ言ってんだよ、兄者? 嫁入り前の俺たちの妹の身に、何かあったら大変だろ? 協力するのは弟として、いや、未来の旦那として当たり前のことさ」
「大神様……」
大和田の兄たまは、感極まったような表情を浮かべ、
「言っておきますが、信菜さんは絶対に嫁には出しませんからね?」
「う~ん、このシスコン☆」
殺意が迸るお茶目な視線を俺によこす、大和田のあにぃ。
まったく、俺の未来の兄様は素直じゃないんだから♪
「よし、話は纏まったな! それじゃ喧嘩狼、ほいっ!」
温めておいたで! と絶頂ダウンから回復した鷹野が、どこにしまっていたのか、エプロンの下から紙袋を取り出してみせた。
んっ?
なにこれ?
とりあえず、素直に受け取って中身を確認してみると……そこには学校へ置いていたハズの俺の制服一式が、綺麗に折りたたまれて鎮座していた。
「こんなこともあろうかと、昨日のうちに持ち出しといたんや!」
「お、おう。サンキュ……」
褒めて褒めて! とバカ犬のように顔を華やかせる鷹野の目の前で、我が制服を取り出してみせる。
……なんか、洗濯してあるんですけど?
アイロンが効いて、ノリがパリッとしているんですけど?
いや、ありがたいよ?
ありがたいんだけどさ? ……コイツがすると、どうも身の危険を感じて仕方がないのは、どうしてなんだろう?
「では時間も無いことですし、さっそく行きましょうか」
「ほらほら喧嘩狼っ! 早ぅ着替えるぜよ!」
あにあにと鷹野に急かされ、俺はベッドから起き上がり、着ていたナース服を脱ぎ。
――カシャ、カシャ、カシャ、カシャッ!
ナース服を脱ぎ捨てると、鷹野がスマホの内蔵カメラを俺に向け、シャァ~ッ! とか聞こえてきそうな邪悪な笑みを浮かべていた。
生娘の服を脱がすかの如く、あられもない姿に剥かれていく林檎の淫靡な音色が、鼓膜を撫でる。
森実高校文化祭、通称『森実祭』が開催されて3日目の最終日。
搬送先の森実大学付属病院の1室で1夜を過ごした俺は、目を覚ますなり、1人静かに涙をこぼしていた。
眠たいから、ではない。
俺の隣で林檎を剥いているのが――
「でぇ~きた☆ ほぅ~ら喧嘩狼? あ~ん♪」
そう言って、森実が誇るハードゲイ――鷹野翼は、器用に剥いた林檎を俺に食べさようと、口移しを敢行してきた。
なんで俺は朝から野郎の剥いた林檎を、口移しで食べなきゃいけないんだ?
そんなに俺、なにか悪いことした?
神様はそんなに俺のことが嫌いなの?
「……おい鷹野? これは何の冗談だ?」
「なんや、なんや? 林檎やなく、ワシが欲しいんか? この欲しがりさんめっ!」
ポッ❤ と頬を赤らめながら「いや~ん、喧嘩狼のえっちぃ~♪」とお尻をフリフリさせるハードゲイ。
腹立つ、心底腹立つ。
もう何が1番腹立つって、その言動もそうなのだが、この男、マイエプロン装着である。
裸エプロンじゃないのが、唯一の救いだ。
「ふざけんなっ! なんで朝からテメェに看病されなきゃならんのじゃ!? というか、何でマイエプロン装着? 腹立つんですけど!?」
「『何で』って、喧嘩狼、こういうの好きやろ?」
「確かに、入院先で看病してもらう。そういうシチュエーションは大好きだ。愛していると言ってもいい。でもさ? それは可愛い女の子がしてくれるからこそであって、野郎にやられても殺意しか沸かねぇんだよ」
「喧嘩狼、それは男女差別ってヤツやで? アカンで差別は?」
「うるせぇ、うるせぇ!」
俺の唇とパイルダーオンしようとしていた鷹野の顔をむぎゅっ! と押し退けつつ、小さくため息をこぼした。
おかしいよ、こんなの。
普通、こういうのはさ、可愛い女の子に看病されながら、林檎を剥いてくれたお礼に、彼女の服を剥いてあげてさ、そのまま流れるように『よぉ~し、次は俺の皮を剥いてくれ!』とズボンを下ろしてお楽しみタイムに突入する流れじゃん?
ついでに彼女のクリ剥きもしてあげる流れじゃん?
エロマンガで何度も見てきた流れじゃん?
それがどうして、マイエプロン装着のハードゲイが『来ちゃった❤』になるんだよクソがっ!
「頼むからもう帰ってくれ! 一生のお願いっ!」
「だそうやノブ。悪いが席を外してくれるか?」
「いえ、これはおそらくタカさんに言っているんですよ?」
鷹野の背後に控えていた未来のマイファミリー、大和田のお兄たまが頭痛を堪えるように、こめかみに手をあてる。
おっとぉ!?
俺としたコトが、兄者に挨拶するのを忘れていたぜ!
「おはようございます、あにあにっ! 今日も我らが妹の笑顔のように、カラッとしたイイお天気ですねっ!」
「誰が『あにあに』ですか? だから親族に食い込もうとしないでください、純粋に怖いです。あとタカさんも、そんな怖い目でわたくしを見ないでください……」
何故か朝から疲れた表情でそうぼやく兄上。
おそらく昨晩は、俺と大和田信菜ちゃんの結婚式用のスピーチを考えていて、夜更かしをしていたに違いない。
もっと身体は大切してね、兄者?
「先に言っておくが喧嘩狼? 別にノブは喧嘩狼の見舞いに来たワケやないで?」
「えっ、そうなの? じゃあ、俺がソッチに婿入りするか、それとも我らが妹が我が家に嫁入りするか、どっちにするかのご相談にきたの? う~ん? 正直、ウチは人間の皮を被ったモンスターが跋扈するワンダーランドだから、嫁入りは推奨しないよ?」
「全然違います。推奨もなにも、信菜さんはゼッタイに嫁入りさせませんから」
確固たる決意に満ちた瞳で、そう断言するサンフランシスコン。
だが、次の瞬間には言いづらそうに口をモゴモゴさせていた。
「今日はその……別件で参りました」
「別件?」
「はい。大神様にこんなコトを頼むのは筋違いだとは思うのですが……実はアナタに折り入ってお願いしたいことがありまして……」
「俺にお願い? 兄様が? 珍しいな――って!? おい鷹野!? なんでこのタイミングで服を脱ごうとするんだテメェ!?」
「えっ? いやだって喧嘩狼が『食欲の前に性欲を満たしたい!』っていうから、文字通りワシが一肌脱ごうかと」
「言ってねぇよ!? おまえには一体ナニが聞こえているんだ!?」
鷹野は実に鷹野らしいバカな判断で、エプロンの下から器用にズボンを脱ごうとする。
おいバカ、ふざけんな!?
なんで朝からテメェのストリップショーを見なきゃならんのだ!? どんなプレイだ!?
「そんなっ!? ワシを弄んだんか!? この青い果実を彷彿とさせる瑞々しい肉体に、指1本すら触れることなく、ワシの清純な心だけを弄ぶやなんて!? なんて『いとおかし』なんや! アカン、喧嘩狼がテクニシャン過ぎて、イクッ!?」
「タカさん。話が進まないんで、ちょっと横にズレててもらえませんか?」
んほぉぉぉぉぉぉ❤❤❤ と朝っぱらの病院内に似つかわしくない嬌声をあげながら、ガッツリと己を股間を握りしめ、小刻みに震える鷹野を手慣れた様子で脇にどかす兄たま。
びくんびくん❤ とだらしない顔で痙攣する鷹野をその場に、お兄様は何事もなかったかのように再び口をひらいた。
「大神様、今から一緒に森実高校文化祭のミスコン控室に来ていただけませんか? ――いえ、正確に言えば、信菜さんの居るミスコン控室に、わたくしを連れて行ってくれませんか?」
「へっ? な、なんで?」
「口惜しいことに、わたくしはミスコンの関係者ではありませんから、控室まで行くことが出来ないんですよ。でも大神様は仮にも生徒会役員。その権限で、わたくしを控室に連れて行って欲しいんです」
そう淡々と口にする兄上。
その足下で「あへぇぇぇぇぇぇ~~~❤❤❤」とワケの分からないことを呻きながら、カクカクと腰を震わせて痙攣する鷹野。
正直、直視に堪えない……。
なんだコレ?
視覚の暴力か?
「いや、俺が聞いてんのは、なんでミスコンの控室に行きたいのかってこと。別に応援するなら控室じゃなくてもよくない?」
「……そうですね。わたくしとしたコトが、焦っているせいか、少々言葉が足りなかったようで」
あにあにはそう言って、病室に備え付けられている時計へと視線をよこした。
現在の時刻は午前8時少し過ぎ。
ミスコン開催まで、残り4時間ちょっとである。
大和田の兄者は、自分を落ち着かせるように、1度大きく息を吐き捨てて。
「時間が無いので、手短に説明します」
と言って、捲くし立てるように、その色素の薄い唇を動かした。
「昨日も言いましたが、森実高校文化祭のミスコンには、黒い噂があります」
「あぁ、あの裏ビデオの件ね」
それが? と話しの続きを促しながら、何故か妙に嫌な予感が俺の胸を占めていく。
俺はソレにあえて気づかないフリをしながら、お兄たまの言葉に耳を傾けた。
「その件で、ちょっとよくない噂をまた耳にしてしまいまして……」
「よくない噂?」
「はい。何人かのミスコン関係者を締め上げ――ごほんっ。失礼。お話した所によると、どうも裏ビデオ製作に関わっていた主要人物たちを、校舎の中で見かけたという情報を入手しまして……」
色々と気になる点は多々あったが、俺は無理にツッコまず、兄上の言葉を静聴した。
「それだけなら良かったんですが、どうもその主要人物たちと何人かの男子生徒たちの間で、不穏な動きがあるようでして――」
「分かった、行こう」
「……いいんですか?」
俺が頷くと、大和田の兄貴が驚いたように目を見開いた。
「わたくしが自分で言うのもアレなんですが……結構身勝手なお願いをしている自覚はあるんですが?」
「ナニ言ってんだよ、兄者? 嫁入り前の俺たちの妹の身に、何かあったら大変だろ? 協力するのは弟として、いや、未来の旦那として当たり前のことさ」
「大神様……」
大和田の兄たまは、感極まったような表情を浮かべ、
「言っておきますが、信菜さんは絶対に嫁には出しませんからね?」
「う~ん、このシスコン☆」
殺意が迸るお茶目な視線を俺によこす、大和田のあにぃ。
まったく、俺の未来の兄様は素直じゃないんだから♪
「よし、話は纏まったな! それじゃ喧嘩狼、ほいっ!」
温めておいたで! と絶頂ダウンから回復した鷹野が、どこにしまっていたのか、エプロンの下から紙袋を取り出してみせた。
んっ?
なにこれ?
とりあえず、素直に受け取って中身を確認してみると……そこには学校へ置いていたハズの俺の制服一式が、綺麗に折りたたまれて鎮座していた。
「こんなこともあろうかと、昨日のうちに持ち出しといたんや!」
「お、おう。サンキュ……」
褒めて褒めて! とバカ犬のように顔を華やかせる鷹野の目の前で、我が制服を取り出してみせる。
……なんか、洗濯してあるんですけど?
アイロンが効いて、ノリがパリッとしているんですけど?
いや、ありがたいよ?
ありがたいんだけどさ? ……コイツがすると、どうも身の危険を感じて仕方がないのは、どうしてなんだろう?
「では時間も無いことですし、さっそく行きましょうか」
「ほらほら喧嘩狼っ! 早ぅ着替えるぜよ!」
あにあにと鷹野に急かされ、俺はベッドから起き上がり、着ていたナース服を脱ぎ。
――カシャ、カシャ、カシャ、カシャッ!
ナース服を脱ぎ捨てると、鷹野がスマホの内蔵カメラを俺に向け、シャァ~ッ! とか聞こえてきそうな邪悪な笑みを浮かべていた。
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