みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される

けるたん

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第5部 嵐を呼べ オカマ帝国の逆襲!

第15話 芽衣ちゃんのリベンジR

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 オカマ姉さん襲来から、1時間後のアウトレットモールにて。

 俺は何故か芽衣の水着を購入するべく、女神さまと共にスポーツ用品店へとやって来ていた。



「いや、なんで水着を買いに来たの、俺たち?」
「それはもちろん、明後日、海に行くからですよ」



 俺の隣で女性用水着を物色しながら、さも当然のようにサラリと言いのける女神さま。

『もちろん』も何も、初耳なんだよなぁ……。

 そもそも、何で海に行くのかしらん? と首を捻っていると、いつも通り俺の心の中を覗いていたとしか思えないタイミングで、芽衣が口をひらいた。



「3日後、獅子本さんが士狼の前に現れる。なら彼女(?)に怪しまれないように、その前日から姿をくらました方がいい。ということは、どこか泊りがけで旅行するのがベストです」

「ふむふむ?」

「夏なので、やはり海のある場所へ旅行したいじゃないですか? というコトで、水着を買いに来たワケです。あぁっ、旅行先はわたしがテキトーに決めちゃうので、士狼は心配しなくても大丈夫ですよ」

「な、なるほど?」



 白のツーピースの水着を手に取りながら「あっ、これ可愛い~♪」と頬を緩ます芽衣。

 あ、あれ?

 なんか一緒に旅行すること前提で、話が進んでない?

 な、なに?

 俺、芽衣と旅行に行くの?

 マジで?

 男と女が『おでかけ』だなんて、そんなのもう新婚旅行以外の何物でもないよ!?

 えっ、俺、芽衣と結婚してたの?(錯乱)



「どうしたんですか士狼? そんな面白い顔をして?」
「いや、その……えっ? 俺たち、海に行くの? 泊りがけで?」
「はい、もちろん。ちなみに2泊3日の予定です」



 さも当たり前のように、サラリと首肯する芽衣。

 そっかぁ。俺、芽衣と海に行くのかぁ……。



「なんですか士狼、その顔は? ……わたしの水着、見たくないんですか?」
「そりゃもちろん――メチャクチャ見たい!」
「んっ、素直でよろしい♪」



 芽衣は今にも鼻歌を口ずさまんばかりのご機嫌さで、白のツーピースを自分の身体の前に持っていき。



「ところで士狼。率直な質問なんですが、この水着、どうですか?」

「おぉ、いいじゃん! 実はツーピースの方が、体の線や体型を目立たせないって言うし、芽衣にピッタリ――ぷぎゃぁっ!?」

「うふふ♪ それはどういう意味だ、キサマぁ?」



 ガッ――ギリギリギリギリッ! と、俺の喉に芽衣の指先が食い込んだ。

 片手で持っての、ネッグ・ハンギング・ツリーだ。

 男子高校生を平気で片手で持ち上げる女子校生……もはや女を辞めているとしか思えない。



「ち、違う違う!? バカにしたとかじゃなくて、褒め言葉のつもりで言ったの!」
「最後の言葉は、ソレでいいんですね?」



 アカンッ!?

 芽衣の瞳が、完全にわっていらっしゃる! 

 ここで俺の息の根を止めるつもりだっ!

 あぁ、ヤバい……意識が遠のいて行く。

 三途の川が見える……。

 川の向こう側では、まだ生きている俺の祖父母が『ばいば~い♪』と手を振っていた。

 ……完全に見送られてるんだよなぁ、ソレ。



「お、落ち着いてメイちゃん!? ししょーのデリカシーの無さは、いつもの事でしょ!?」
「会長。同情はするけど、一旦、手を離そうか……?」



 三途の川を出航する寸前、芽衣の両隣から女の子の声がバイノーラル音声として響いてきた。

 途端に芽衣は「チッ」と短く舌打ちを溢すと、俺の喉から指先を手放した。

 どちゃっ! とゴミのように床に横たわる俺を無視して、女神さまはファミレスからココまでついて来た『彼女たち』に、ジトッとした視線を送った。



「……なんで洋子と魚住先輩まで、ついて来ているんですか?」
「そ、それはホラッ! ボクも新しい水着が欲しいなぁと思って!」
「右に同じく……。去年の水着だと、胸回りがキツイから、新調したい……」
「あっ、ウオズミ先輩もですか? 実はボクもなんですよ。まだお胸が成長しているみたいで、毎年同じ水着を着ると、胸回りがキツくって……」



 な・ん・だ・と!?

 よ、よこたんの夕張メロンちゃんは、まだまだ成長途中だというのか!?

 そんなバカなっ!?

 チラッ、と爆乳わんのおっぱいを覗き見る。

 そこには制服の夏服を押し上げるように、彼女のマシュマロパイパイが、これでもかと己の存在を自己主張していた。

 あ、アレよりも、まだ大きくなるだなんて……。

 アイツは一体どこの頂を目指しているというのか?

 ありがとうございますっ!



「あっ……。この水着、庶務ちゃんに似合いそう……」

「えっ、どれですか? ――って、お、オフショルダーですか!? た、確かにカワイイですけど、流石にセクシー過ぎませんか?」

「そんなことない……。絶対似合う……」

「う、う~ん? ボク的には、もう少しハレンチ寄りじゃなくて、おとなしめの方がいいんですけど……」



 目の前で繰り広げられる、ラブリー☆マイエンジェルよこたんとメバチ先輩の魅惑のやりとりに、つい心がほっこりしてしまう。

 うんうんっ!

 やっぱり女の子は、こういうキャピキャピ♪ した話題で盛り上がらなくちゃね!

 いやぁ、本当に心がほっこりするなぁ。



「胸回りがキツイ……? もしや、おっぱいか? また『おっぱい』が成長したのか? ふぁ●く」



 ……ほんと、隣で親の仇のような目で妹を睨みつけている女神さまが居なければ、最高だったのになぁ。



「クソったれめ……あの頃小学生時代は差なんて無かったハズなのに……ッ!」

「……(´・ω・`)…… 」

「……あによ?」
「いえ、何も」



 ジロリッ! と、芽衣に睨まれ、反射的に顔を逸らしてしまう。

 正直、別に芽衣も2人に負けていないと思う。

 細見でありながら、しっかりとした肉感を伴った脚、絞られたウェストはなだらかな曲線を描き、その曲線はやがて大きく隆起したバスト(商品偽装アリ)へと到達する。

 きっと、今の芽衣を額縁に納めたら、さぞ素晴らしい絵画になる事だろう。

 まあ唯一残念と言わざるを得ないのは、その背後に運慶うんけい快慶かいけい作の金剛力士像のような恐ろしいスタ●ドが、見え隠れしている事くらいかな。

 なにアレ? 領域展開かな?



「なんで? どうして? 同じ遺伝子を受け継いでいるハズなのに、なんでここまで差が……くぅっ!? み、認めない! 姉より優れた妹なんて、絶対に認めない!」

「珍しく頭の悪いコト言ってる、コイツ」



 女神さまの発する邪悪なプレッシャーに気持ち悪くなっていると、急に芽衣が横たわっている俺の方へと膝を折り曲げ、



「い、言っておくけどね? ア、アタシも胸周りがちょこ~~~~~っっっと! キツくなってたから、買いに来ただけだからね? な、なによ、その目は? ほ、ホントなんだからねっ!?」
「俺、何も言ってないけど?」



 素に戻った芽衣が、俺にしか聞こえない声量で、言い訳を開始し始める。

 どうでもいいけど、芽衣ちゃん?

 膝を折るとき、ちょっとパンツが見えたよ?

 ありがとうございますっ!

 芽衣(今日は気合が入っているのか、赤色だったよ!)は、確実に俺を仕留められる領域に踏みとどまったまま、鋭い視線で俺を睨んでくる。



「嘘じゃないからっ! ホントにおっぱいが成長したからっ!? 確かに微々びびたる成長かもしれない。それでもっ! この成長はアタシにとっては大きな1歩なのよっ!」

「だから、俺、何も言ってないけど?」

「目ぇっ! 目が言ってんのよ!『まるで成長していない……』って、雄弁に語ってんのよ! ふざけんなっ!? 成長しとるわっ! ランジェリーショップでも、お店の人に『び、Bってことにしときましょっ! そうしましょっ!』って言ってもらえる位には、成長してんのよっ! バーカッ!」

「……そっか」



 んん~?

 それは結局、Aカップなんじゃないの?

 そう思わず口に出そうになった言葉を、慌てて飲みこみ、ニッコリと微笑む俺。

 そんな俺の気遣いが癪に触ったのか、犬歯剥き出しのまま、さらに言いつのり始める女神さま(B寄りのAカップ)。



「その顔、ゼッタイ信じてないでしょ!? ほんと何だからっ! 調子の良いときはBカップなんだからっ! 四捨五入すればBカップなんだからぁぁぁぁっ!?」



 調子の良いときはBカップって、どういう意味なんだろう?

 心の中で1人ひっそりと首をかしげている間に、いつの間にやら芽衣のおっぱい論を聞く流れてになっていた。



「いいっ!? おっぱいはね、確かに思春期に1番膨らみやすいけれども、それは思春期を過ぎたら膨らまないって意味じゃないからっ! 女性ホルモンの増加で、大人のおっぱいも成長するのよっ!」

「へぇ~」

「さらには正しい姿勢、質のいい睡眠、バランスの摂れた食生活、そしてマッサージや筋力トレーニングを行うことで、さらに膨らみやすくなって豊胸ドン! 倍プッシュよ!」



 芽衣からの『おっぱいトレビア』を聞きながら、素直に感嘆の声をあげる。

 それにしても、芽衣ちゃんのその血走った瞳が怖いなぁ……。

 おっぱいに『命』けすぎじゃない?

 なんて思っていると、芽衣の目尻からポロポロと涙が零れてきてぇっ!? ちょっ!?



「だ、だからっ! あ、アタシだって、キチンと成長して……成長して……うぅ」
「もういいっ! もういいんだ!」



 すかさず芽衣の心のリングにタオルを投げこむ俺。

 バカ野郎、ヤムチャしやがってからに……もう心がボロボロじゃねえか。



「芽衣の言いたいことは、よぉ~く分かった。ようは『おっぱい』のサイズが合わないから、新しく新調するんだろ?」
「ぐすん……ええっ、そうよ」



 すんすんと鼻を鳴らしながら、人差し指で目尻に溜まった涙をぬぐっていく女神さま。

 本当にこの女は、何をやらしても絵になるな。

 ちょっと色っぽくて、ドキッとするじゃねぇか……。



「でもさ? 最終的には超パッドを着用した状態の水着を選ぶんだろ?」
「ぐすん……もちろん。EからFカップの水着を選ぶことになると思う」
「それってさ、結局おっぱいのサイズは関係な――くもないかっ! うんっ!」



 本格的に芽衣が泣きに入りそうだったので、慌てて言葉をぶった切る。

 あ、あぶねぇっ!?

 危うくマジで芽衣を泣かせる所だったわ!

 それにしても、泣き顔も可愛いなコイツ?

 妙に胸がドキドキしやがるぜ!



「……? なによ、士狼? そんなにアタシの顔をジッと見て?」
「あぁ、いや、そのっ!?」



 あどけない表情で床に転がる俺を見下ろす芽衣。

 いやぁ、流石に『女神さまの泣き顔に興奮しちゃった☆』とは言えないよ……。

 俺は胸の高鳴りを誤魔化すように、顔に笑みを張りつけながら「あ、アレだ!」と適当なコトを口にし始めた。



「お、女の子の水着ってさ、胸のサイズが重要じゃん?」
「??? そうね、それが?」

「だから、そのぉ……パッドのままでも試着とか出来んのかなぁ~? って思って――ぷぎゅるっ!?」

「そこまでだ、小僧。ソレ以上は舌を引きちぎるぞ?」
「ふぁ、ふぁい……」



 ガッ! と芽衣に頬を掴まれ、強制的にタコ唇にさせられる。

 その光を感じさせない瞳は、大量殺人鬼のソレで……うん。

 どうやら、いつもの芽衣ちゃんに戻ってきたらしい。

 おかえりっ!



「ね、ねぇねぇっ! ししょーは、このタンキニとかどう思う?」



 メバチ先輩とキャピキャピ♪ 水着を選んでいたよこたんが、ショートパンツ型のタンクトップ・ビキニを持って、横たわる俺の前までやってくる。

 芽衣から視線を切り、よこたんが「どうどう?」とわくわく☆ した面持ちで、自分の身体の前にタンキニを持ってくる。

 ふむふむ。かなりゆったりしたタイプの大きなタンキニだな。

 うん。色気は無いが、よこたんには似合うと思う。



「おぉ~、いいんじゃねぇの? 可愛い、可愛い」
「却下だね。反応がかんばしくない。これは無かったことにしよう」
「えっ、なんで!?」



 俺のリアクションが気に入らなかったのか、ぶすっ! とした表情でタンキニを戻しに行く爆乳わん

 そんな彼女と入れ違いになるように、今度はメバチ先輩が水着片手に俺の前にやって来た。



「大神くん……。コレ、どうかな……?」



 黒のコルセット・ビスチェを胸の前に持ってきて、どこかうかがうように俺を見てくるメバチ先輩。

 てっきりメバチ先輩のことだから、露出の少ない白の清楚系で攻めるかと思いきや、意外にも黒の大人っぽい水着をチョイスしてきたなっ!

 肌の露出もそこそこなのに、妙に色っぽく、なんともオシャレに感じて仕方がない1品を前に、思わず「おぉっ!」と語気を強めてしまう。



「いいじゃないですかっ! 普段の清楚な先輩からは想像できない位、大人の黒っ! 最高ですっ! しかも適度に肌を露出させつつ、オシャレも忘れない……やりますね先輩っ!」

「むふぅ~……♪」
「「…………」」



 どこか満足気に鼻息を荒げながら、どやぁ! と言わんばかりに古羊姉妹を見やるメバチ先輩。

 瞬間、俺の周りの温度が3度ほど下がった。

 あ、あれ?

 誰ぇ、冷房いじったの?

 ちょっと寒くない?



「それじゃ、これ試着してくる……あっ」

「どったんすか先輩? そんな可愛らしく口をポカンと開けて? キスして欲しいんです――ぐぁっ!?」

「あら、ごめんなさい士狼? そんな所で寝そべっているから、気づかずに踏んじゃいましたよ♪」



 うふふふふっ! と、お口に手を当て、上品にコロコロ笑う女神さま。

 いやまぁ、いつまでも寝転がっている俺も悪いんだけどさ? 

 芽衣ちゃんさ、さっき「ふんっ!」って気合を入れながら、俺のお腹を蹴り上げなかった?

 俺の頭をぐりぐり踏みつけながら「ごめんなさい」と頭を下げる芽衣。

 そんな俺たちの姿に若干ドン引きしているメバチ先輩。



「あ、あの会長……? 大神くんの頭、踏んでるけど……?」
「魚住先輩は気にしないでください。ちょっと士狼と『話し合い』をしていただけですから」



 にっこり♪ と、天使のような笑みを顔に張りつける女神さま。

 へぇ~、古羊家では頭をぐりぐり踏みつけることを『話し合い』って言うのかぁ。

 ちょっとした異文化コミュニケーションだね☆



「ところでメバチ先輩? さっき『しまった!?』みたいな声を出してましたけど、なんかあったんすか?」

「……よくその体勢で普通にお喋りできるね、ししょー?」
モーマンタイ問題ないさ」



 心配そうに俺を見つめてくるラブリー☆マイエンジェルにピースサインを浮かべてやりながら、メバチ先輩の言葉を待つ。

 先輩は少々恥ずかしそうに頬を朱色に染めながら、



「この水着、胸のサイズが1ランク小さいのしかなかった……」



 芽衣が静かに涙を流したことを、俺だけは見逃さなかった。
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