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第6部 俺が『最強』になった理由《ワケ》
第19話 カチコミ、はじめました♪
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寅美先輩の元気が戻った、翌日のお昼。
天気は快晴。
俺と元気と寅美先輩は、私服に着替えて、我が家の玄関前に集合していた。
「点呼を取る。壱ッ!」
「にぃ~っ!」
「3やでっ!」
「ヨンっ!」
「よし、全員居るな」
自宅の玄関前で、姉ちゃんが満足そうに俺たちを見て頷いた。
どうやら、今日の引率は姉ちゃんらしい。
……不安しかないや。
「では、ただいまより『どきどき☆寅美のアニキと仲直り大作戦』を決行するっ!」
「「「イエーイッ!」」」
どんどんどーんっ!
ぱふぱふぱふ~♪
俺たちのアホみたいなハイテンションな声音が、青空へと吸い込まれる。
我ながら、ヤベェ薬をキメているとしか思えないハイテンションだ。大丈夫か、俺たち?
「作戦概要はこうだ! 寅美の作った肉じゃがを、奴におすそ分けし、その流れで仲直りする! 以上!」
「なるほど、モノで買収するワケね。了解」
「シンプルに言えば、そうだ!」
「流石は姉御や! 汚いことを考えさせたら、右に出る者はおらんで!」
「人心掌握に長けてると言え」
我が親友の絶賛の声をシャワーのように浴びながら、姉ちゃんは寅美先輩の方へと視線をよこした。
「さて、寅美よ! 本作戦の超重要アイテムの準備は、出来ているか?」
「もちろんだべ!」
ほらっ! と言って、寅美先輩はタッパ―に入った肉じゃがを姉ちゃんに見せつける。
……うん、相変わらず白い。
というより液体だ。
すごいな、コレ。
肉じゃがなのに、肉もジャガイモも見当たらないぞ?
どういう技術で作られたんだ、コレ?
「この肉じゃがで、お兄ちゃんの心を鷲掴みだべっ!」
「うっ!?」
寅美先輩の肉じゃがを目視した瞬間、姉ちゃんが急にえずき始めた。
ど、どうした姉ちゃん!?
つわりかっ!?
「肉じゃ、が? ニクジャガ……ニク、じゃが……にく、にくにくにくにくにくにく!?」
「あ、姉御っ!?」
「イカンッ、トラウマがフラッシュ・バックしている!? 速くその肉じゃがを隠すんだ、寅美先輩っ!」
「だ、だべぇっ!?」
俺に言われるがまま、頭の上に「???」を乱舞させながら、寅美先輩は肉じゃがを背後に隠す。
途端に光彩を失っていた姉ちゃんの瞳に、光が戻った。
「ハッ!? あ、あたしは一体なにをっ!?」
「姉御ぉ~っ!? 無事でよかった――ブルァッ!?」
元気が姉ちゃんに抱き着こうとした、その瞬間。
シュボッ!
どこからともなく飛んできた掌底が、元気の頬を捉えた。
「バルサミコ酢ッ!?」と謎の奇声を発しながら、吹き飛んだ元気が、キッ! と眉根を吊り上げて、自分をぶん殴ったヤツを睨みつけた。
「なにすんや、キサマッ!? ――ゲッ!?」
「五月蠅いですわよ、猿? アナタ如き腐れ雑草が、お姉さまの身体に触れようなど、100万年早いですわ」
元気の視線の先、そこには金色に輝く金髪縦ロールをした美女が立っていた。
姉ちゃんと同じく、背中に『乙女戦線』と書かれたライダージャケットを身に纏うこの美女を、俺たちは知っている。
そう、この人の名前は。
「そ、ソフィアさん!? お疲れさまですっ!」
「お、お疲れ様だべさっ!」
「弟くんも妹ちゃんも、お久しぶりですわね」
にこっ♪ と柔らかい笑みを浮かべるこの美女の名前は、ソフィア・モンタギューさん。
姉と同じ高校に通う3年生で、あのバーバリアンが住まう『乙女戦線』の副総長をなさっているお人だ。
「な、なんでキサマがここに居るんや!?」
「ふんっ! アナタごときに教える口など、わたくし、持ち合わせておりませんので」
「なにをぉ~っ!? ほんっっっっと! 気に喰わん『おっぱい』やで!」
「それはお互い様ですわね」
そう言って、至近距離でメンチを切り合う元気とソフィアさん。
もうお分かりいただけていると思うが、この2人、混ぜるな危険である。
どれくらい危険なのかと言えば、俺の目の前に意識を失った水着美女が横たわっているくらい危険。やっべ、超危険じゃん!
「おいコラ? 時間ねぇんだから、喧嘩すんな?」
「うぐぅっ!? キサマのせいで、姉御に怒られたやないか!?」
「はぁんっ!? もとは言えば、アナタがわたくしに突っかかってくるから――」
「2人とも? もう1度、言わせる気か?」
「「……ごめんなさい」」
シュンッ……と肩を落とす、元気とソフィアさん。
すげぇ、完璧に調教されてやがる!?
流石はあの戦闘民族の血を受け継いでいるだけのことはあるぜ!
「ソフィア、首尾の方はどうだ?」
「問題ありませんわ。ちゃんと人数分の『足』を、向こうの公園で待機させておりますわ」
「んっ、助かる。ありがとう」
「んはぁ~♥」と艶っぽい声をあげるソフィアさんを無視して、姉ちゃんが改めて俺たちに向き直った。
「それじゃ今から『乙女戦線』の奴らが運転するバイクに乗って、出雲愚連隊が根城にしているらしい町はずれのスクラップ工場へと向かう。全員あたしに付いて来いっ!」
「ねえ、姉ちゃん? ソレは世間一般的に言えば『カチコミをかける』という意味になるのでは?」
大丈夫?
乙女戦線の奴らを連れて行ったら、喧嘩にならない?
その場で西日本統一王者決定戦とか、始まらない?
そんな俺の心配を吹き飛ばすように、姉ちゃんはカラッ! とした表情で笑った。
「心配すんな愚弟」
「姉ちゃん」
「そのときは、そのときだ!」
「姉ちゃん……」
THE☆脳筋♪
「よし、行くぞ! さぁ、あのクソ野郎の居る、出雲愚連隊にカチコミだ!」
「「「「おーっ!」」」」
俺たちは半ばヤケクソ気味にそう叫びながら、寅美先輩の兄ちゃんに会いに行くべく、家を出発するのであった。
天気は快晴。
俺と元気と寅美先輩は、私服に着替えて、我が家の玄関前に集合していた。
「点呼を取る。壱ッ!」
「にぃ~っ!」
「3やでっ!」
「ヨンっ!」
「よし、全員居るな」
自宅の玄関前で、姉ちゃんが満足そうに俺たちを見て頷いた。
どうやら、今日の引率は姉ちゃんらしい。
……不安しかないや。
「では、ただいまより『どきどき☆寅美のアニキと仲直り大作戦』を決行するっ!」
「「「イエーイッ!」」」
どんどんどーんっ!
ぱふぱふぱふ~♪
俺たちのアホみたいなハイテンションな声音が、青空へと吸い込まれる。
我ながら、ヤベェ薬をキメているとしか思えないハイテンションだ。大丈夫か、俺たち?
「作戦概要はこうだ! 寅美の作った肉じゃがを、奴におすそ分けし、その流れで仲直りする! 以上!」
「なるほど、モノで買収するワケね。了解」
「シンプルに言えば、そうだ!」
「流石は姉御や! 汚いことを考えさせたら、右に出る者はおらんで!」
「人心掌握に長けてると言え」
我が親友の絶賛の声をシャワーのように浴びながら、姉ちゃんは寅美先輩の方へと視線をよこした。
「さて、寅美よ! 本作戦の超重要アイテムの準備は、出来ているか?」
「もちろんだべ!」
ほらっ! と言って、寅美先輩はタッパ―に入った肉じゃがを姉ちゃんに見せつける。
……うん、相変わらず白い。
というより液体だ。
すごいな、コレ。
肉じゃがなのに、肉もジャガイモも見当たらないぞ?
どういう技術で作られたんだ、コレ?
「この肉じゃがで、お兄ちゃんの心を鷲掴みだべっ!」
「うっ!?」
寅美先輩の肉じゃがを目視した瞬間、姉ちゃんが急にえずき始めた。
ど、どうした姉ちゃん!?
つわりかっ!?
「肉じゃ、が? ニクジャガ……ニク、じゃが……にく、にくにくにくにくにくにく!?」
「あ、姉御っ!?」
「イカンッ、トラウマがフラッシュ・バックしている!? 速くその肉じゃがを隠すんだ、寅美先輩っ!」
「だ、だべぇっ!?」
俺に言われるがまま、頭の上に「???」を乱舞させながら、寅美先輩は肉じゃがを背後に隠す。
途端に光彩を失っていた姉ちゃんの瞳に、光が戻った。
「ハッ!? あ、あたしは一体なにをっ!?」
「姉御ぉ~っ!? 無事でよかった――ブルァッ!?」
元気が姉ちゃんに抱き着こうとした、その瞬間。
シュボッ!
どこからともなく飛んできた掌底が、元気の頬を捉えた。
「バルサミコ酢ッ!?」と謎の奇声を発しながら、吹き飛んだ元気が、キッ! と眉根を吊り上げて、自分をぶん殴ったヤツを睨みつけた。
「なにすんや、キサマッ!? ――ゲッ!?」
「五月蠅いですわよ、猿? アナタ如き腐れ雑草が、お姉さまの身体に触れようなど、100万年早いですわ」
元気の視線の先、そこには金色に輝く金髪縦ロールをした美女が立っていた。
姉ちゃんと同じく、背中に『乙女戦線』と書かれたライダージャケットを身に纏うこの美女を、俺たちは知っている。
そう、この人の名前は。
「そ、ソフィアさん!? お疲れさまですっ!」
「お、お疲れ様だべさっ!」
「弟くんも妹ちゃんも、お久しぶりですわね」
にこっ♪ と柔らかい笑みを浮かべるこの美女の名前は、ソフィア・モンタギューさん。
姉と同じ高校に通う3年生で、あのバーバリアンが住まう『乙女戦線』の副総長をなさっているお人だ。
「な、なんでキサマがここに居るんや!?」
「ふんっ! アナタごときに教える口など、わたくし、持ち合わせておりませんので」
「なにをぉ~っ!? ほんっっっっと! 気に喰わん『おっぱい』やで!」
「それはお互い様ですわね」
そう言って、至近距離でメンチを切り合う元気とソフィアさん。
もうお分かりいただけていると思うが、この2人、混ぜるな危険である。
どれくらい危険なのかと言えば、俺の目の前に意識を失った水着美女が横たわっているくらい危険。やっべ、超危険じゃん!
「おいコラ? 時間ねぇんだから、喧嘩すんな?」
「うぐぅっ!? キサマのせいで、姉御に怒られたやないか!?」
「はぁんっ!? もとは言えば、アナタがわたくしに突っかかってくるから――」
「2人とも? もう1度、言わせる気か?」
「「……ごめんなさい」」
シュンッ……と肩を落とす、元気とソフィアさん。
すげぇ、完璧に調教されてやがる!?
流石はあの戦闘民族の血を受け継いでいるだけのことはあるぜ!
「ソフィア、首尾の方はどうだ?」
「問題ありませんわ。ちゃんと人数分の『足』を、向こうの公園で待機させておりますわ」
「んっ、助かる。ありがとう」
「んはぁ~♥」と艶っぽい声をあげるソフィアさんを無視して、姉ちゃんが改めて俺たちに向き直った。
「それじゃ今から『乙女戦線』の奴らが運転するバイクに乗って、出雲愚連隊が根城にしているらしい町はずれのスクラップ工場へと向かう。全員あたしに付いて来いっ!」
「ねえ、姉ちゃん? ソレは世間一般的に言えば『カチコミをかける』という意味になるのでは?」
大丈夫?
乙女戦線の奴らを連れて行ったら、喧嘩にならない?
その場で西日本統一王者決定戦とか、始まらない?
そんな俺の心配を吹き飛ばすように、姉ちゃんはカラッ! とした表情で笑った。
「心配すんな愚弟」
「姉ちゃん」
「そのときは、そのときだ!」
「姉ちゃん……」
THE☆脳筋♪
「よし、行くぞ! さぁ、あのクソ野郎の居る、出雲愚連隊にカチコミだ!」
「「「「おーっ!」」」」
俺たちは半ばヤケクソ気味にそう叫びながら、寅美先輩の兄ちゃんに会いに行くべく、家を出発するのであった。
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