みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される

けるたん

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第9部 聖夜に水星は巡航する

第3話 創約 とある生徒会の役員目録

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「そ、そういえば! 新しい生徒会のメンバーは誰を誘うつもりなんだよ、芽衣?」
「あっ、それは僕も気になるなぁ」
「……実はワタシも」



 自分たちの後釜が誰になるのか気になるのか、珍しくソワソワしている3年生コンビ。

 我ながら、中々いい話題をチョイスしたと思う。

 やるじゃん、俺!

 思った以上に食いつきのいい2人を眺めながら、心の中でガッツポーズをとりつつ、俺は生徒会役員システムについて思いをせた。

 他の学校のことが知らないが、ウチは生徒会長が他の役員を使命する古き良き、任命スタイルだ。

 一応は役員の募集もつのってはいるが、基本的に生徒会長がスカウトすることが多い。

 とくに芽衣が生徒会長になった代は、役員募集数がシャレにならないくらい膨れたことで有名だ。



「先生から聞いたよ? 今年も『役員になりたい!』って子の募集が凄かったんだって? 流石はめぇちゃん! 人気者だねぇ」

「……それで? 誰を生徒会に引き抜くつもりなの、会長?」
「う~ん、そうですねぇ。別に隠すことじゃないのでいいですよ」



 廉太郎先輩と羽賀先輩に急かされる形になりながらも、微笑を崩すことなくクスクスと笑う芽衣。

 チクショウ、相変わらず猫を被っていても可愛い女だな。

 こういうのを【鑑賞用美人】というのだろうか?

 俺がひっそりと今の笑顔を心のアルバムに保存している間に、芽衣がその潤んだ唇をペロリと舐めた。



「まず会計なんですが、狛井先輩の引き継ぎ要員として、2年A組の猿野元気くんにお願いしました。猿野くんも喜んで快諾かいだくしてくれましたよ?」

「ほほぅ? 僕の後釜は、あの変態(てんさい)発明家かぁ。確かに能力的には申し分ないよね!」
「……それで副会長は?」
「副会長は、今の所は洋子にやっていただこうかと思っています」
「ぼ、ボク、ガンバルよ!」



 ふんすっ! と、鼻息を荒くしながら、可愛くその豊かなボインの前で、拳を握り締める爆乳わん

 相変わらず、やることがイチイチ子犬チックで……チクショウ。

 可愛いな、コイツ?

 目を凝らせば、架空のイヌミミとシッポが見えてきそうだ。

 このあと、お持ち帰りしてやろうかしらん?



「あとは、そうですねぇ……。まだ返事は貰っていませんが、書記に1年生の女子生徒と、庶務は適当に募集の中から探そうかなって思ってます」

「……あれ? ちょいちょい? 芽衣さんや?」
「? どうしました士狼? そんないつもに増して間抜けた顔をして?」



 こてん? と、小動物のように小首を傾げる会長閣下。

 可愛い♪

 けど、待って欲しい。



「いや、ちょっとさ? 腑に落ちないというかさ?」
「腑に落ちない?」
「うん。ほら? その新メンバーの中に、大切な誰か忘れてないかなぁって?」
「忘れている人ですか?」
「そうそう。ほら、居るよね? あの知的でクールなナイスガイのアンチクショウが、ね?」



 もう芽衣ちゃんったら、うっかりさんなんだから~♪

 バチコン☆ と、心の中でウィンクをかましながら、彼女の次の言葉を急かす。

 ほらほら、あの天下無敵のナイスガイの名前を言っちゃいなよ?

 具体的に言えば【お】から始まって【う】で終わる、7文字のイケてるボーイの名前をさ!



「んん~? わたし、誰か忘れてましたっけ?」

「も~うっ! 居るじゃ~ん! このお茶目さんめ☆ 『おおかみ』から始まって『しろう』で終わる、あのイケメンが――おっとぉ! これ以上は俺の口からは言えないなぁ~」

「もう全部言ってるよ、ししょー……?」
「……この男、自己主張が強すぎる」
「遠回しに伝えようとして、直球ど真ん中になってるしね!」



 周りの元役員たちが何かを言っていたが、俺は気にせず芽衣をまっすぐ見据え続けた。

 う~ん? と、相も変わらずとぼけた様子で首を傾げる女神さまに、だんだん気持ちが沈んでいってしまう。

 あ、あれ!?

 も、もしかして俺、新生徒会の次期構想メンバーに入っていない感じで!?

 嘘でしょ!?

 1人絶望する俺を見て、何故か芽衣がクスリと笑った。



「もう冗談ですよ。だからそんな捨てられた子犬のような目をしないで、士狼?」
「ぐすんっ。もういいもん!」
「……いい男が『もん』とか使うな、気持ち悪い」
「ちょっ!? ねこセンパイ!? しーっ! しーっ!」



 羽賀先輩の口元を押さえながら、プルプルと首を振る俺の心のオアシス、よこたん。

 もう俺の味方はおまえしかいないよ。

 結婚しよっか?

 ハネムーンはハワイがいいかな? と、思考を巡らせていると、芽衣の申し訳なさそうな声がスルリと耳をくすぐった。



「ごめんなさいってば。そうふて腐れないで、ね?」



 プイッ! と、そっぽを向く俺に芽衣が「ごめん、ごめん」と身を乗り出しながら、


 ――むぎゅっ! 


 と俺の頬を、その白魚のような両手で挟んだ。

 それはまるで飼い犬とじゃれる主人のように、ふにふに♪ と俺の頬を弄りまわす。



「士狼にも、ちゃ~んと役職を用意してありますから。だから機嫌を直して、ね?」
「……うん」



 素直でよろしい! と、ばかりにニカッ! と笑う女神さま。

 ひんやりとした手が思いのほか気持ちよく、目元が緩むのが自分でも分かった。

 そんな俺たちを見て、残りの役員たちが驚いたように目を見開いていた。



「「「…………」」」

「ん? どうかしましたか、みなさん?」

「どうかしたっていうか、なんていうか……。ここ数カ月で結構変わったよね、めぇちゃん」

「……うん、大分変わった」



 何か見てはいけないモノを見てしまったとばかりに、頬を赤色に染め、俺と芽衣から視線を逸らす廉太郎先輩と羽賀先輩。

 そんな2人に対して、芽衣と俺は顔を見合わせながら「はて?」と首を傾げた。



「そんなに変わりましたか、わたし?」
「いや、別に何も変わってねぇと思うけど?」
「どうやら気づいていないのは、当の本人たちだけってところかなぁ」
「……見ていて顔が熱くなる」
「「???」」



 たはは……と、何とも言えない笑みを浮かべるチーム3年生。

 その瞳は孫の成長を見守る祖父母のように温かく……なんというか不愉快だった。

 芽衣が変わった?

 いやいや?

 人前でも普通に猫を被っているし、相変わらず超パッドで胸をギガ盛りしているエターナルフラットの胸部だし、何も変わってねぇと思うけど?

 よく分からんことを口にする3年生ズに、眉根をしかめていると、


 ――ゾクッ。


 と、背筋に直接氷柱つららをぶちこまれたような悪寒が、全身を駆け抜けていった。

 慌てて悪寒のした方向に視線を向けると、そこには何故かぷくぅっ! と、リスのように頬を膨らませたラブリー☆マイエンジェルよこたんが、瞳を吊り上げて俺を睨みつけていた。



「あ、あれ? どうしたの、よこたん? 師匠に向ける瞳じゃないですわよ、ソレ?」
「むぅぅぅぅぅっ……」
「いや『むぅぅぅぅぅっ』じゃなくて……」



 いつものおっとり♪ とした雰囲気からは想像できないくらい、刺々しいオーラをまき散らしながら、『むぅぅぅぅぅっ』製造機へと切り替わる、我が弟子1号。

 な、なんでオコなのお嬢さん? 

 俺が困惑していると、羽賀先輩が何かに気づいたようにボソリとつぶやいた。



「……コレって、もしかして?」
「うん。多分そうなんだろうねぇ」
「な、何が『もしかして』なんすか?」



 何故か悟ったような表情をする羽賀先輩と廉太郎先輩。

 その瞳からは『これから苦労するだろうけど、まぁ頑張れよ!』と、同情めいた色がありありと浮かんで見えた。

 何で俺は、この2人に同情されているのん?

 結局、よこたんの真意も分からないまま、今期生徒会メンバーでの最後の打ち上げは進んでいくのであった。
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