みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される

けるたん

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第9部 聖夜に水星は巡航する

第18話 それいけ! 森実高校硬式野球部!

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 股間をヘビに噛まれた亀梨少年を放置プレイして、3分後のグラウンドにて。

 グラウンドの中央からは、野太い男たちの声が、俺たちの鼓膜をくすぐってきた。



『日向峰! もっと当たり強く! ボールはセフレ、怖くない!』
『オッス、キャプテン!』

「おっ? この声は? よし行くぞ、おまえら!」
「あぁっ!? 待ってよ、ししょーっ!」
「へへっ、オイラわくわくしてきたっす!」



 俺とよこたん、そして亀梨少年は、声のしたグラウンドの方へと小走りで近づいていく。

 そこには真っ白なユニフォームに着替えた野球部員たちが、必死にサッカーボールを追いかけている姿が目に入った。



「……なんすか、コレ?」



 サッカーに青春の全てを捧げんと声を張り上げる野球部を前に、死んだ魚のような目をした亀梨少年がポツリと呟いた。



「なにって、野球部だが?」

「あ、あのね! う、ウチの野球部は、今はオフシーズンだから! 体力強化のためにサッカーをやってるんだよ、うん!」

「いやいや? 何言ってんだよ、よこたん? こいつら年中無休でサッカーしてんじゃん。サッカーに人生捧げた高校球児じゃん」

「サッカーに人生捧げた高校球児とは一体……」



 俺の言葉を聞いて、さらに愕然がくぜんとする亀梨少年。

 そのすぐ傍らで「も、もうししょーッ! 空気を読んでよぉ!」と、ユサユサと俺の身体を揺らしてくるマイ☆エンジェル。

 ちっちゃい子どもみたいで可愛いから、そのまま放置していたら、突然グラウンドの方から猿のような雄叫びが校舎を震わせた。



『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ! 喰らえ、必殺! タイガイシュートっ!』



 先ほどの日向峰くんとやらが大きく足を振りかぶり、全力でゴールに向かってボールを蹴り上げる。

 瞬間、彼の放ったサッカーボールはゴールへと吸い込まれるように消える。

 ――ことなく、何故か脇の方で見学していた俺達に向かって、轟音を発しながら迫って来た。……ってぇ!?



「おい! タイガイな方向へ飛んできたぞ!?」
「ひゃ、ひゃわぁーっ!?」



 俺は小さく悲鳴をあげる爆乳わん娘を、グッ! と胸の前まで引き寄せる。

 そのまま何故かコッチに向かって突進してくるサッカーボールを、足刀を叩きこむように右足で蹴り返した。

 サッカーボールは放たれた弓矢のように、今度こそ一直線にゴールへと消える。

 ……こともなく、ゴールキーパーの顔面へと突き刺さった。



『ウボロシャッ!?』
『わ、若林崎ぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?』



 日向峰くんの悲痛な叫びがグラウンドへと木霊する中、向こうの方から体操服に身を包んだショートヘアーの女子生徒が、慌てた様子でコッチに駆け寄ってきた。



「す、すみません! 大丈夫でしたか!? ケガはありませんか!?」
「俺は大丈夫だけど、よこたんはどうだ? どこもケガしてないか?」
「は、はひ……。だ、だいじょうぶれふ」



 俺の胸の前でギュッ! と身体を強ばらせながら、ポケーとした表情でコクコクッ! と頷く、マイ☆エンジェル。

 よほど怖かったのか、顔が茹でタコのように真っ赤で、呂律も怪しかった。

 そんな爆乳わんを見て、何を勘違いしたのか、ショートヘアーの女子生徒が「あらあら?」と、親戚のおばちゃんのようにニヤニヤ♪ していた。



「なんだか、お邪魔だったみたいですね? ごめんなさい――って、あれ? カメちゃんじゃない? どうしたの、こんな所で?」

「……オイラが何をしようと、ガッキーには関係ないだろ」

「えっ? えっ? なになに? 急に眼の前でラブコメが始まったけど、2人はどういう関係なの?」



 まるで姉弟のような雰囲気を醸し出す2人を前に、今度は俺がニヤニヤ♪ する番だった。

 亀梨少年は、少しばかり居心地が悪そうに眉をしかめるが『しょうがない』とばかりに溜め息を1つだけ溢して、女子生徒について説明し始めた。



「コイツの名前は新垣田千にいがきたち。通称ガッキーっす。今は野球部のマネージャーをしている物好きな女っすよ」
「物好きって、酷いなぁ」



 亀梨少年のじゃれ合うように話していた新垣ちゃんが、俺たちの方へと向き直り、そのショートヘアーの髪を揺らしながら、ペコリと頭を下げてきた。



「初めまして。1年C組の新垣田千穂です。カメちゃんとは家が隣同士で、小さい頃からの仲なんですよ。ねっ、カメちゃん?」

「あぁ~、うるさいっす。いいからアッチ行けっす」
「もうカメちゃんったら……高校上がってからツンケンしだして、反抗期なの?」
「えぇいっ、やめろ!? 頭を撫でるんじゃないっす!」



 やめろっす! と、新垣ちゃんの手を振り払い、キッ! と眉を吊り上げる亀梨少年。

 その仲睦まじい姿を前に、思わずほっこり♪ してしまう。

 ほっこり♪ してしまったからだろうか? 

 ついつい、亀梨少年の顔面を鷲掴みにしてしまったのは。



「イダダダダダダダダッ!? ど、どうしたんすか先輩!? な、なんで急にアイアンクロォォォォォォッ!?」

「おい亀梨少年よ? つまりアレか? おまえはこんな可愛い子と幼馴染で、小さい頃は一緒にお風呂に入って、あんなコトやこんなコトを、未来の猫型ロボットが居なくても叶えることが出来たと。そういうことか? あぁん!?」

「はわわっ!? お、落ち着いてよ、ししょーっ! 子どもの頃の話なんだからさ! 水に流してあげようよ! ねっ!?」

「そ、そうですよ! 一緒にお風呂に入ったと言っても、中学2年生までですから!」

「うがぁぁぁぁぁぁぁっ!? 憎しみでどうにかなっちまいそうだぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「ど、どうにかなりそうなのはオイラの方デデデデデデデデデッ!?」



 亀梨少年の悲痛な叫びが、冬の空へと吸い込まれるように消えていった。
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