みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される

けるたん

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真・最終部 みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される

第13話 おうち帰りゅぅぅぅぅぅっ!?

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 2月ももうすぐ終わり、3月。

 春の気配が足下から這い上がる今日この頃。

 1つの物語が終わり、新たな物語が幕を開く準備を始めるそんな中、俺、大神士狼は――



「おい待て、芽衣! なんで逃げるんだよ!? っていうか足速っ!?」
「に、逃げてない! 逃げてないから! これは戦略的撤退よ!」
「やっぱ逃げてんじゃねぇか!」
「逃げてないもんっ!」



 早朝、森実高校へと続く坂道を全力疾走で駆け上がって行く、我らが生徒会長の尻を必死に追いかけていた。

 登校中の生徒たちが「な、何事だ!?」と目を見開き立ち止まる。

 が、すぐさま俺と芽衣の姿を認識するなり「あぁ、いつものヤツか……」と納得したように再び歩き始める。

 そんな納得いかないリアクションをする生徒たちの脇を尻目に、オグリキャップもビックリの末脚すえあしで駆け抜けて行くメイ・コヒツジ。

 もはや猫を被る事さえ忘れて「逃げてないもんっ!」と叫ぶ芽衣の姿は、ほんのちょっとだけ可愛かった。ちょっとだけだよ?



「いやいや、逃げてるよ!? 現在進行形で逃走中だよ! なんだよコレ? 俺はハンターか!? 別に俺から逃げ切っても100万円は手に入らないぞ!?」

「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁっ!? 追いかけてこないでぇぇっ! 誰か助けて犯されるぅぅっ!?」
「えっ、ウソ? ガチの悲鳴じゃん? なんでだよ!? 俺、何かやったか?」
「『やった』って言うか、これからヤルんじゃない!」

「これからヤルって……セクロス? そ、そんな芽衣ちゃん……みんなが見ているのに……シロウ、恥ずかしい(ぽっ❤)」

「くたばれ、この猥褻人間っ!」
「おいおい? 素がハミ出てるぜ、生徒会長ぉ?」



 その自慢の虚乳をバルン♪ バルン♪ 揺らしながらも、俺への罵倒を忘れない女神さま。

 あとどうでもいいけど、登校中の男どもが芽衣の激しく揺れる虚乳に目を奪われて、盛大にコケたり、電柱に激突したりしているんだけど……なんなのアイツ? 走る厄災なの?

 騙されるな、みんなっ!

 あのパイパイはニセモノだ!

 と心の中で叫んだ瞬間、俺の前を先行していた『まな板怪獣パッドマン』が、


 ――クルリッ!


 と身を反転させた。

 そのままロケットスタートの要領で、迫りくる俺に向かって超ダッシュ!



「うぉっ!? 芽衣、ちょっ――」



 待って!? そう俺が口にするよりも早く、芽衣がスカートをひらめかせながら、俺に向かって大ジャンプ!

『おっ? 今日のパンツは水玉かぁ、いいセンスだ!』と、1人ほっこりしている隙を縫うように、女神さまのドロップキックが俺の腹部に突き刺さった。

「バルサンッ!?」と謎の奇声を上げながら、地面に倒れるナイスガイ俺。

 そんな鼻血も滴るイイ男の腹を、ドスッ! とローファーで踏みつけ睨みつける会長閣下。

 危うくドMでもないのに「ありがとうございます!」とお礼の言葉を口にする所だった。

 おいおい?

 いつからココはSMルームに早変わりしたんだ?

 もしかして芽衣ちゃんは、前世は花びら大回転の【あの人】だったのかな?



「おいキサマぁ? 今、何を考えた? あぁん?」
「ぶはっ!? す、すいませんっ! でもあの……芽衣さん? 猫被らなくていいんですか?」 
「周りを見てみなさい、カス。ちょうど今、誰も居ないわ」



 グリグリッ! と、みぞおちを踏みつけられながら、言われた通り首だけ動かして辺りを確認してみる。

 どうやら、いつの間にか集団のトップに躍り出ていたらしい俺たち。

 おそらく他の生徒達の声の様子から察するに、あと5分は俺たちに追いつかないだろう。

 ほほぅ、これはケガの巧妙というヤツだな。

 俺は芽衣の水玉パンツを下から覗き見つつ、覚悟を決めた男の顔で、



「ちょうどいいや、芽衣っ! 聞いてくれ! 俺はおまえが――ッ!」
「~~~~ッ!? き、聞かない! 聞かない、聞かない、聞かなぁぁぁぁぁいっ!」
「あっ、ちょっと待て!? クソっ、またかよ!?」



 芽衣は俺の雰囲気が変わった事を一瞬で察知するなり、再び顔を真っ赤にしながら、俺を置いて校舎の中へと全力全開で駆け抜けていった。

 俺はというと、寝転がっていた事もあり、反応が数秒ほど遅れてしまう。

 それでも必死に追いかける、追いすがる!



「待て芽衣! 俺はおまえが――ッ!」
「聞こえなぁぁぁぁぁぁい!」
「だから俺は、おまえがっ!」
「聞こえませぇぇぇぇぇんっ!」
「俺は――」
「聞こえないもぉぉぉぉぉんっ!」

「……この貧乳(ボソッ)」

「シバき倒すぞ、このクソガキがぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?」
「やっぱ聞こえてんじゃ~んっ!」



 何なの? 

 生徒会長じゃなくてデビルマンなの?

 デビルイヤーは地獄耳なの?

 気がつくと鬼の形相でブーメランの如く切り替えしてきた芽衣のドロップキックが、俺の腹部に深々と突き刺さっていた。
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