魔女は美少年が好きなんて誰が決めたの?あたしはオジ専よ!若造は出直してきなさい!

歌龍吟伶

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第6話:嫉妬

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トゥリアが客の相手をしていると、ヴィンセントがひょっこり顔を出す。

話し声に気付き、気になって部屋から出てきてしまったのだ。


「おや、これは珍しい」


魔女の元に人間がいるのを初めて見た、とマルスは目を丸くする。


「勝手にウロつくんじゃないよ、まだ寝てな」


「す、すみません…」


「お弟子さんですか?トゥリアさん」


マルスの言葉に、トゥリアは嫌そうな顔。


「なに言ってるんだい、あたしが弟子なんかとるわけないだろ」


「ははは、可愛い子じゃないですか」


トゥリアの好みを知っていながらマルスはからかった。


「あたしの好みを知ってるくせにそんなことを言うのかい?全く、意地悪なジジイになったもんだね」


「貴女のおかげで元気な証拠、ですよ」


目を細めて笑うマルスの顔を見て、トゥリアは妖艶に微笑むと彼の頬にそっと口付けをする。


「まだまだ元気でいておくれよ、あたしが腹を空かせた頃に熟すのが一番なんだから」


「善処します、愛しのトゥリア」


マルスはトゥリアの頬に口付けを返し、薬を大切そうに抱えて帰って行った。

一連の様子を見ていたヴィンセントは、その幼い心を嫉妬の炎で熱くする。


「…トゥリアさんは、ああいう人が好きなんですか」


「そうだよ」


「…ば、僕がお爺さんになったら食べてくれるんですか?!」


ヴィンセントは必死だった。

叶わぬ初恋、頭では理解していても気持ちが納得しない。


「そうだねえ、あんたが良い爺さんになったら考えてやるよ」


生贄になれなかった自分は用済みだ、このまま外に出ても見つかれば父王に殺されるだろう。

ヴィンセントの出した答えは、


「…トゥリアさん、僕を隣国へ連れて行ってください」


亡命する。

生き永らえなければ、彼女好みの年齢まで成長できないから。


「僕、立派な大人になって見せます。生きて強くなって、時間はかかるけどこの国を助けに戻る。そして最後は貴女に食べて欲しい」


急に強い男の目になったヴィンセントを見て、トゥリアは笑う。


「ずいぶん大きな目標を立てたねえ。いいよ、外に逃してあげる」


その後数日間療養したヴィンセントは、隣国へと亡命した。

子供を道具としか思わない国王夫妻、そして甘やかされて育っている王子レオンハルト…彼らではこの国を救えない。

長きに渡る天候不良に苦しんでいる国民のために、必ず力をつけて戻ることを心に誓うヴィンセント。

トゥリアとの再会も夢見ながら、彼はこの後の人生を生きることになる。

彼を隣国まで送り届けたトゥリアは、少年の可愛らしさを思い浮かべ少しだけ笑みを浮かべた。


「全く、若いってのは勢いがあって羨ましいね…悪いことじゃないけどさ」


男として好みじゃない、ただそれだけなのだ。
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