魔女は美少年が好きなんて誰が決めたの?あたしはオジ専よ!若造は出直してきなさい!

歌龍吟伶

文字の大きさ
12 / 16

第12話:初恋は消えない

しおりを挟む
ヴィンセントにお茶を出し、改めて勝利を祝うトゥリア。


「本当にお疲れ様。周辺の村の連中が喜んでるよ、早速良いまつりごとをしているようだね」

「ありがとうございます。長年苦しめられていた民を救うための戦いでしたから、直ぐに動くのは当然ですよ」


ひょろひょろだった少年が、今ではすっかり逞しくなった。

顔つきも男らしくなり、統治者としての自覚もある。

トゥリアは眩しそうに目を細め、そんなトゥリアをヴィンセントは愛おしそうに見つめ。


「トゥリアさん…」


真剣な顔になったヴィンセントは、思いを告げる。


「僕は貴女を愛している。僕の隣で共に生きて欲しい」


予想していたとはいえ、はっきりと告げられトゥリアは少しだけ心が痛んだ。


「無理だよ」

「なぜ」

「あたしの好みじゃ無いって言っただろ、あたしはあんたを愛してない」

「貴女以外考えられないんです」

「そんな事言われてもねえ。それに、王になったんだからこれから出会いがあるさ」

「他の人なんて嫌だ!」


子供に戻ったように感情を露わにするヴィンセントは、涙を浮かべてトゥリアの手を握る。


「愛してるんです…心から」


トゥリアにはそれは恋や愛というより、感謝などからくる依存に思えて受け入れられないのだ。

そもそも恋愛をする気などなく、子供相手に本気になることもない。


「気持ちは嬉しいよ、でも今までもそういう奴はいた。若いからね、あたしを求める気持ちは分かる。でも、あたしは受け入れられないんだ」


人間の寿命は100年あるかないか、それに対してトゥリアは500年以上生きられる。

通常の魔女の寿命で500年だから、森から生命力を貰えるトゥリアはもっと長いかもしれない。

すでに320歳のトゥリアだが、少なくともヴィンセントよりはまだ生きるだろう。


「別れに慣れてしまっているからね、今更特定の誰かと深い仲になりたいとも思わない。王妃なんて柄でもないし」

「僕は…僕では貴女の愛を得られませんか」


悲しげに揺れるヴィンセントの瞳を見るのは心苦しかったけれど。

トゥリアは手を振り解き、明確な拒絶を告げる。


「無理だよ。あたしがあんたに惚れることは無い」


ヴィンセントは項垂れしばらく肩を震わせていたが、


「…僕が貴女好みの年齢になったら、可能性はありますか」


顔を上げてそう言った。


「後何十年かしかしたら、あり得ますか」


トゥリアは唸ってしまう。

確かに自分は初老くらいが好みだが、精力を吸い取るために触れ合うだけ。

心から愛し合うわけではない。


「うーん…あんたが歳をとっても、人間でいうところの恋人同士みたいになるわけじゃないよ。死ぬ前の触れ合いはしても良いけど」


そういえば一目惚れされたときに「食べてください」とか言っていたなと思い出すトゥリア。

ヴィンセントは涙を拭い、


「わかりました。僕の最後は貴女に捧げます、必ず貰ってくれると約束してくれますか?そうしたら…諦めます」


顔を歪めながらもそう言った。

トゥリアは頷き、年老いてからの逢瀬を約束する。

そうして二人は別れ、その後何十年も会うことは無かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています

紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、 ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。 「もう君は、僕の管理下だよ」 退院と同時に退職手続きは完了。 住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。 外出制限、健康管理、過保護な独占欲。 甘くて危険な“保護生活”の中で、 私は少しずつ彼に心を奪われていく――。 元社畜OL×執着気味の溺愛社長 囲い込み同棲ラブストーリー。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

【完結/番外追加】サリシャの光 〜憧れの先へ〜

ねるねわかば
恋愛
彼女は進む。過去に囚われた者たちを残して── 大商会の娘サーシャ。 子どもの頃から家業に関わる彼女は、従妹のメリンダと共に商会の看板娘として注目を集めていた。 華々しい活躍の裏で、着実に努力を重ねて夢へと向かうサーシャ。しかし時には心ないことを言う者もいた。 そんな彼女が初めて抱いた淡い恋。 けれどその想いは、メリンダの涙と少年の軽率な一言であっさり踏みにじられてしまう。 サーシャはメリンダたちとは距離をおき、商会の仕事からも離れる。 新たな場所で任される仕事、そして新たな出会い。どこにあっても、彼女が夢を諦めることはない。 一方、光に囚われた者たちは後悔と執着を募らせていき── 夢を諦めない少女が、もがきながら光を紡いでいく軌跡。 ※前作「ルースの祈り」と同じ世界観で登場人物も一部かぶりますが、単体でお読みいただけます。 ※作中の仕事や制作物、小物の知識などは全てフィクションです。史実や事実に基づいていないことをご理解ください。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

【完】まさかの婚約破棄はあなたの心の声が聞こえたから

えとう蜜夏
恋愛
伯爵令嬢のマーシャはある日不思議なネックレスを手に入れた。それは相手の心が聞こえるという品で、そんなことを信じるつもりは無かった。それに相手とは家同士の婚約だけどお互いに仲も良く、上手くいっていると思っていたつもりだったのに……。よくある婚約破棄のお話です。 ※他サイトに自立も掲載しております 21.5.25ホットランキング入りありがとうございました( ´ ▽ ` )ノ  Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.  ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)

十年間虐げられたお針子令嬢、冷徹侯爵に狂おしいほど愛される。

er
恋愛
十年前に両親を亡くしたセレスティーナは、後見人の叔父に財産を奪われ、物置部屋で使用人同然の扱いを受けていた。義妹ミレイユのために毎日ドレスを縫わされる日々——でも彼女には『星霜の記憶』という、物の過去と未来を視る特別な力があった。隠されていた舞踏会の招待状を見つけて決死の潜入を果たすと、冷徹で美しいヴィルフォール侯爵と運命の再会! 義妹のドレスが破れて大恥、叔父も悪事を暴かれて追放されるはめに。失われた伝説の刺繍技術を復活させたセレスティーナは宮廷筆頭職人に抜擢され、「ずっと君を探していた」と侯爵に溺愛される——

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...