かわいい後輩

key

文字の大きさ
上 下
4 / 6

元彼と後輩

しおりを挟む
『久しぶり。』
『………。』
ランチの帰り、
背の高い男前に、声をかけられた。
私が返事を返すより早く、
かわいい後輩が、私の前に立ちはだかる。

『近寄らないでください。』と、

『この人、イケメン苦手なんで。』
そう先方に告げると、ペコリと軽く会釈し
私の肩に手を添えて歩き出した。

私のかわいい後輩は、
エスコートもお手の物だ。
私は感心してしまう。

『大丈夫ですか?怖かったですよね、先輩!』
あんな男前に声かけられるなんて!
後輩は心配するけども、何のことはない、

『さっきの人、私の先輩だよ。』
『え・・・!まじか?』

かわいい後輩は目を真ん丸にして驚く。
初めてみたから、社外の人かと思って。と
少し焦った表情をみせる。

『それから。』
『それから?』

実は、私の元カレです。

『・・・ま、じ、か。』
『スタッカート(笑)』

あぁ~俺ってば何てことを!と
後悔するように、こめかみに手をおく。
『先輩、すんません。』
余計なことを。と。

ふふふ、私は笑う。

『大丈夫だよ。』と。

苦悶の表情で、下をみていた後輩が
はっ!と突然、顔をあげ叫ぶ。

『あんたイケメン苦手なのに?!
あんな男前と付き合ってたのか!?』

『こら、先輩に向かって、あんたって(笑)』

あははっ!
 かわいい後輩の驚く様子がおかしくて、
もう私の肩はがくがく震えた。


はぁ~おかしい。百面相みたい。
もぅ昔のことだからさ。

そういうと私は自分のデスクに戻る。
じゃ仕事しよう?というように。


 元カレ。
もしかしたら、
遭遇することもあるかと思っていた。
先日、本社に戻ってくるという噂をきいていたから。

少しも気にしていなかったといえば、
嘘になる。
そりゃ、気になるもの。

でも。
私はパソコンを叩きながら、
小さく思い出し笑いをする。
何てことはなかったなぁ、と。

不思議。
かわいい後輩のおかげで、
元カレとの再会も怖くない。
危惧する必要もなかった。
と安堵するくらいに。

『先輩、コーヒー。』
午後の作業が一段落するころ、
かわいい後輩は、
私にコーヒーを持ってきてくれた。

『ありがとう。』
何か言いたそうな顔でコーヒーを飲む、
かわいい後輩を見つめる。

この子のお陰で、
イケメンにも慣れてきたかもしれない。
そんなことを考えていると、
後輩が、気まずそうに口をひらいた。
もしかして、と


『もしかしてまだ、好きですか?あの人のこと。』

驚きの質問だ。

『なにそれ。(笑)』

そんな風にみえたの?
ちょっとずるいけど、
私は質問に質問でかえす。

そうは、みえなかったですけど。
かわいい後輩は、困った顔で頭をかいた。
わからんって感じで。


『好きだったら、あれだけど、』
ちがうなら、好きじゃないのに、
言い寄られたりするんだったら、
いつでも言ってくださいね、僕に。


『はい。』
ありがとうございます。
と私は、頭を下げる。


私のかわいい後輩は、
イケメンの元彼氏からも、守ってくれる。
スパダリ感満載の後輩なのだ。
しおりを挟む
1 / 2

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

再婚なんて致すわけ無いじゃないですか!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

赤い口紅トリック

ミステリー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

りご三郎君とのフシギな旅

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

閉じない口

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

処理中です...