10 / 21
砂上の楼閣
しおりを挟む
「お父さん、どういうことなの?」
その日、菜摘は六郎が帰ってくるまで八重子から離れなかった。
「苑田さんは父さんの会社で働いていた人の奥さんなんだよ。何も無い仲だよ。」
そう言って六郎は視線を逸らす。
「お父さん、嘘ついてる!」
菜摘はそう言って六郎を問い詰める。
「嘘なんてついてない。」
「だったらお父さんそんなに取り乱してない!!」
そんな押し問答が30分程続いた。
佑が部屋から出てきて頭が痛いと言い出した。八重子はまた痛み止めを飲むと聞こうとして佑の顔色があんまりにも悪いことに気がついた。佑はリビングまで来て足元から崩れ落ちた。
「救急車、救急車!!」
菜摘の声で八重子はハッとして電話をかける。
救急車が来るまでの時間、八重子は菜摘とソファに佑を寝かせた。
「何でこんな時に佑まで…。」
そう言って八重子は泣いた。六郎はバツの悪そうな顔をしている。
「今は佑の事が一番だよ。苑田さんの話はまたにしよう。」
そう言って六郎はタオルを濡らして絞り、佑の額にかけた。
私が何か悪いことでもしたのだろうか、八重子は泣き続けた。
5分ほどで救急車が到着し、佑はストレッチャーに乗せられた。
八重子は救急車に乗り込み、佑の問診票を書いた。救急隊員が受け入れ先について電話で確認を取っていく。幸い3件目で受け入れが決まった。
病院につくと薄暗い電灯がより一層不安を掻き立てる。菜摘と六郎が、後からやってきた。
「佑、寝ろって言っても寝ないで勉強してたから…。」
菜摘は不安げな声を出す。
「疲労から来てるだけかもしれない。そんなに心配いらないよ。」
六郎はそう言ったが、看護士が八重子を呼んだ。
「手術が必要です。同意書にサインしてください。」
「どういうことですか?」
八重子はギリギリだった。
「脳の血管が切れて脳出血しています。一刻を争います。」
その瞬間、八重子はぷつりと何かが切れた。
看護士に言われるままサインをし、涙はピタリと止まった。
「六郎さん、苑田さんを呼んで。」
「何故ここに苑田さんを呼ぶ必要かあるんだい?」
「あなたの壊した家庭がここにあるからです。」
そう言って八重子は背筋を伸ばした。
その日、菜摘は六郎が帰ってくるまで八重子から離れなかった。
「苑田さんは父さんの会社で働いていた人の奥さんなんだよ。何も無い仲だよ。」
そう言って六郎は視線を逸らす。
「お父さん、嘘ついてる!」
菜摘はそう言って六郎を問い詰める。
「嘘なんてついてない。」
「だったらお父さんそんなに取り乱してない!!」
そんな押し問答が30分程続いた。
佑が部屋から出てきて頭が痛いと言い出した。八重子はまた痛み止めを飲むと聞こうとして佑の顔色があんまりにも悪いことに気がついた。佑はリビングまで来て足元から崩れ落ちた。
「救急車、救急車!!」
菜摘の声で八重子はハッとして電話をかける。
救急車が来るまでの時間、八重子は菜摘とソファに佑を寝かせた。
「何でこんな時に佑まで…。」
そう言って八重子は泣いた。六郎はバツの悪そうな顔をしている。
「今は佑の事が一番だよ。苑田さんの話はまたにしよう。」
そう言って六郎はタオルを濡らして絞り、佑の額にかけた。
私が何か悪いことでもしたのだろうか、八重子は泣き続けた。
5分ほどで救急車が到着し、佑はストレッチャーに乗せられた。
八重子は救急車に乗り込み、佑の問診票を書いた。救急隊員が受け入れ先について電話で確認を取っていく。幸い3件目で受け入れが決まった。
病院につくと薄暗い電灯がより一層不安を掻き立てる。菜摘と六郎が、後からやってきた。
「佑、寝ろって言っても寝ないで勉強してたから…。」
菜摘は不安げな声を出す。
「疲労から来てるだけかもしれない。そんなに心配いらないよ。」
六郎はそう言ったが、看護士が八重子を呼んだ。
「手術が必要です。同意書にサインしてください。」
「どういうことですか?」
八重子はギリギリだった。
「脳の血管が切れて脳出血しています。一刻を争います。」
その瞬間、八重子はぷつりと何かが切れた。
看護士に言われるままサインをし、涙はピタリと止まった。
「六郎さん、苑田さんを呼んで。」
「何故ここに苑田さんを呼ぶ必要かあるんだい?」
「あなたの壊した家庭がここにあるからです。」
そう言って八重子は背筋を伸ばした。
0
あなたにおすすめの小説
『大人の恋の歩き方』
設楽理沙
現代文学
初回連載2018年3月1日~2018年6月29日
―――――――
予定外に家に帰ると同棲している相手が見知らぬ女性(おんな)と
合体しているところを見てしまい~の、web上で"Help Meィィ~"と
号泣する主人公。そんな彼女を混乱の中から助け出してくれたのは
☆---誰ぁれ?----★ そして 主人公を翻弄したCoolな同棲相手の
予想外に波乱万丈なその後は? *☆*――*☆*――*☆*――*☆*
☆.。.:*Have Fun!.。.:*☆
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
十年目の結婚記念日
あさの紅茶
ライト文芸
結婚して十年目。
特別なことはなにもしない。
だけどふと思い立った妻は手紙をしたためることに……。
妻と夫の愛する気持ち。
短編です。
**********
このお話は他のサイトにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる